アジア映画巡礼

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インド映画研究会第3回をクリア!

2023-05-27 | インド映画

本日は、第3回インド映画研究会でした。えー、そんな研究会あるの??? あるんです、本年1月から始めたもので、インド映画研究を志向する方ならどなたでもご参加になれます。ただし条件が1つあって、メンバーになってから1年以内に研究発表をすること。研究会は毎回オンラインで、奇数月後半の土曜日、午後7時から9時まで開いているのですが、残念ながらメンバーのみが参加できる限定研究会です。

↑もうご覧になりましたか? まだの方はお早めに劇場へ!

なぜこんな研究会を始めたかと言いますと、元々日本映画大学の石坂健治さんや多摩美術大学の金子遊さんらが、日本映像学会の下部組織として始めたアジア映画研究会というのがあって、その活動の中からスピンオフしたものです。毎年12月初めのアジア映画研究会では、インド組が研究発表をすることになっていて、昨年の12月6日(火)の研究発表は下のようなプログラムだったのでした。

P.C.バルアー©NFAI

①「インド映画黎明期の作家P.C. バルアー:その再評価に向けて」
   ゲスト/発表者:拓徹(大阪大学大学院人文学研究科) 40分+討議

P.C.バルアー監督作『 Devdas』

②「『~ウッド』の終焉 『インド映画』の誕生   マルチプレックス革命とOTT革命」
   ゲスト/発表者:高倉嘉男(インド映画研究家、豊橋中央高等学校校長)40分+討議

インドのマルチプレックス第1号ニューデリーのサーケートにあるPVR

この時のお二人の発表は、インド映画関係の我々から見ると凄く刺激的で面白かったのですが、発表が終わっての討議ではほとんど意見が出ず、とても残念に思いました。それで、インド映画関係の研究者だけで、このお二人の研究発表をネタに、あれこれ言い合いたい、と思って始めたのが、インド映画研究会第1回となりました。上記の②を1月28日に、①を3月25日に再度発表をしてもらい、勝手な感想などを言い合って、両方の回とも結構充実した研究会になりました。お二人の発表はともに、ちょっとまとめれば学術誌の論文か研究ノートに載せられるのでは、と思うできばえで、さすが研究者として大学で鍛えられた方たち、という感じでした。

RRR Poster.jpg

そして本日の発表は、こんな内容でした。

 発表者:藤井美佳
 発表タイトル:非英語圏の映画翻訳について

藤井美佳さんは皆さんご存じのように、『バーフバリ』二部作(2015&2017)、『RRR』(2021)始め、『ガンジスに還る』(2016)、『バルフィ!人生に唄えば』(2012)等々、インド映画の字幕をたくさん担当している字幕翻訳者です。今回の発表は、まず字幕翻訳者の仕事の説明と、監修者の仕事の説明――その映画の言語がわからない字幕翻訳者が英語字幕を元に作った日本語字幕を、チェックしていく役割が字幕監修者なのですが、両者の協力体制がどんなものなのか、双方の視点の違いなどを解説しながら、字幕は誰のためにあるのかというお話をしていただきました。その中で具体的に取り上げられたのが、『RRR』の歌「ドースティ」の歌詞で、英語字幕ではこうなっていたけれど、監修者の山田桂子先生の指摘ではこうこうだったのでこう直した、というお話は実に面白かったです。今回の「an・an」特集号にもテルグ語文字の歌詞とその日本語字幕が出ていましが、あの「ドースティ」のトップ部分の解説でした。下に「ドースティ」の動画をつけておきますが、テルグ語文字ではなくローマナイズの歌詞だったらよかったのに、と残念に思った方は、英語版Yahoo!とかで「RRR song Dosti lyrics」と入れて検索すると、歌詞のサイトがいろいろ出てきます。たとえばこちらなんか、ローマナイズのテルグ語歌詞と英語訳が付いているので、わかりやすいですね。ローマナイズ歌詞を見て、ぜひ一緒に歌ってみて下さい。

 Dosti Full Video Song (Telugu) | RRR | NTR, Ram Charan | MM Keeravaani | SS Rajamouli|Kaala Bhairava

 

インド映画研究会、この先も7月、9月と発表者はもう決まっています。こんな研究テーマがあるからぜひ参加して発表したい、とおっしゃる方、コメントでご連絡いただければ検討しますので、よろしくお願いします。

Adipurush poster.jpeg

最後にオマケをちょっと。すでにプラバース・ファンの方はチェック済みだと思いますが、6月16日(金)にプラバース主演作『Adipurush(आदिपुरुष アーディプルシュ/最初の人)』が公開となります。「ラーマーヤナ」の映画化で、プラバースはもちろんラーマ様。ただし劇中名はラーガヴァとなるようで、以下同様に、シーター⇒ジャーナキー(クリティ・サィノーン)、ラーヴァナ⇒ランケーシュ(サイフ・アリー・カーン)、ラクシュマナ(サニー・シン)、ハヌマーン(デーヴァダット・ナーゲー)となります。監督は、2020年にアジャイ・デーウガン主演の『Tanhaji: The Unsung Worrior(ターンハージー:讃えられぬ戦士)』を大ヒットさせたオーム・ラーウートです。予告編は大分前に出たのですが、少し前にソング・シーンの一つ「Jai Shri Raam」がアップされ、間もなく2曲目がアップされるのでは、と思います。プラバース、見れば見るほどハマり役ですねー。シーター役のクリティ・サィノーンの顔がちょっとモダンすぎる気がしますが、誰でも知ってる「ラーマーヤナ」が今回はどんな風にプレゼンされるのか、楽しみにしていましょう。

Jai Shri Ram (Hindi) Adipurush | Prabhas | Ajay-Atul, Manoj Muntashir Shukla | Om Raut | Bhushan K

 


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