本日、1月26日はインドの共和国記念日です。「共和国記念日」というのは耳慣れない休日名だと思いますが、8月15日の「独立記念日」と並ぶ、インドという国の大きな記念日であり、祝日です。1947年にイギリスからの独立を宣言した8月15日を「独立記念日(Independence Day)」と呼ぶのに対し、1月26日は1950年のこの日にインド憲法が発布され、インドが共和国となったことを記念する日で、「共和国記念日(Republic Day)」と呼ばれます。今日はニューデリーでは、大統領官邸や国会がある地区から東に延びるラージ・パト(国家通り、とでもいう意味)で、10時半からパレードが繰り広げられることになっています――という報道だったのですが、今、インド時間では朝9時なのに、もうパレードがライブ放送されています。各州の山車が通り過ぎていくところでは、つい見入ってしまいました。絞りのターバンを巻いたモーディー首相と共に、ドラゥパディ・ムルム大統領のサリー姿も時々登場します。
Republic Day 2025 LIVE | Republic Day Parade 2025 LIVE | PM Modi LIVE | 76th Republic Day | N18L
そして、共和国記念日の前日にはいろんな人に勲章が授与されるのですが、今回も映画人を含む139名に対する叙勲が発表されました。おっ、と思う人たちの名前が挙がっているので、ちょっと書いておきます。なお、インドの国家勲章のうちパドマー勲章は、次の3段階に分かれています。「パドマー」はインドの国花である蓮の花のことです。
パドマー・シュリー
パドマー・ブーシャン
パドマー・ヴィブーシャン
そしてこのさらに上に位置する勲章が「バーラト・ラトナ」で、「ラトナ」とは「宝」のことです。パドマー勲章の方は一緒のリストになって発表されるので、その中の「Art(アート)」カテゴリーになっている人を捜せば映画関係者の受賞がわかりますが、今回話題になっている人たちを下に挙げておきます。「パドマー・ヴィブーシャン」には映画人はいないのですが、スズキ自動車の鈴木修氏(故人)が授与されていました。日本の勲章も同じですが、死後の叙勲というのも結構多いです。
「パドマー・ブーシャン」では、映画関係者が19人中6人を占めるという大盤振る舞い。リスト登場順に名前を挙げておきます。写真はWikiより取りました。
アナント・ナーグ~俳優。カンナダ語映画『K.G.F. Chapter 1』(2018)の老ジャーナリスト役を演じた人。1970~80年代のインディアン・ニューシネマでも活躍、『芽ばえ』(1974)等が日本でも紹介されている。
ナンダムリ・バーラクリシュナ~俳優、政治家。NTRの息子で、NTR Jr.の叔父。
パンカジ・ウダース(故人)~ヒンディー語映画のプレイバック・シンガーとして活躍。ガザル歌手としても評価が高く、特に1980~2000年代は人気が高かった。昨年病死していたのを知らず、びっくり。RIP.
S.アジット・クマール~タミル語映画の男優。レーサーでもあり、マッチョな役柄で人気がある。日本のファンは「アジト」が言いにくいためか「アジット」という表記を好むとかで、「アジット・クマール」というカタカナ表記で知られている。IMWでは『兄貴の嫁取り物語』(2014)など、何作品かが上映されている。
シェーカル・カプール~映画監督。俳優として出演することも。ヒンディー語映画『女盗賊プーラン』(1994)で高い評価を受け、その後イギリスで『エリザベス』等を撮る。
ショーバナ・チャンドラクマール~言わずと知れた、『カルキ 2898-AD』の反乱軍のリーダー、マリアムを貫禄十分に演じた女優。古典舞踊の名手でもある。今回の叙勲は、『カルキ』の演技が評価されたから?
©2024 VYJAYANTHI MOVIES. All Rights Reserved.
続いて「パドマ・シュリー」ですが、こちらは4人だけ映画関係者をご紹介。歌手などで映画と関わりを持った人も何人かいるようですが、よく知っている人だけ挙げておきます。
アリジート・シン~西ベンガル州出身の歌手、作曲家。映画のプレイバック・シンガーとして大活躍しており、最近のヒット曲は彼の歌によるものが多い。まだ37歳なので、異例の早さの叙勲と言える。
アショーク・ラクシュマン・サラフ~マラーティー語映画とヒンディー語映画で活躍する脇役俳優。コメディ・シーンを担うことが多く、顔を見れば「ああ、この人」とわかる、お馴染みの役者。最近はマラーティー語映画出演がほとんど。
バリー・ゴッドフレー・ジョン~バリー・ジョンの名前で知られる、イギリス出身の舞台演出家。1970年代にインドに来て、映画の西洋人役を演じたりする傍ら、『サラーム・ボンベイ!』(1988)の子役たちの演技指導ワークショップなども手がける。現在はインド国籍を取得し、舞台人の指導に当たっている。
マムター・シャンカル(モムタ・ションコル)~ベンガル語映画を中心に、ヒンディー語映画にも出演する女優。最近では『ピンク』(2016)のアミターブ・バッチャンの妻役などが印象に残るが、1980年代、90年代は、サタジット・レイ、ムリナール・セーン、ゴータム・ゴースら芸術映画の監督に愛され、彼らの作品に多数出演した。父親は『カルプナー』(1948)で知られる舞踊家ウダイ・シャンカル、叔父は名シタール奏者のラヴィ・シャンカルであり、自身も父の残した舞踊団を引き継ぎ、多くの弟子を育てている。
ということで、共和国記念日おめでとうございます。ニューデリーではまだまだパレードが続いています。大気汚染のゆえかどんより曇っていた空が晴れてきて、すばらしい青空を背景に、いろんな山車のパレードが続きます....。
セキュラリズムを表現しているところはパチパチですが、女性も入れなあかんやん、の共和国記念日お祝いカード。パレードには、女性兵士とかもぎょうさん出てたで~(と外野はいつも文句を言うのでした)。