アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

TIFFの予習:その1『新少林寺/SHAOLIN』

2011-10-12 | 香港映画

東京国際映画祭開催まであと10日。チケット発売も始まって、というか、熾烈な争奪戦も終わって、あとは上映当日までの期待が高まるのみ、ですね。今年は六本木だけでなく、日比谷シャンテでの上映もあるので、作戦がちょっと立てにくいところです。

 そんな中で早々に売り切れたのが、土日と夜の中国語圏映画各作品と、『ラジニカーントのロボット』。取れなくてくやしい思いをなさった方も多いと思いますが、ここ数年の例からすると、直前になって突然空席が出てくることがよくあります。上映1週間前ぐらいになると、それまで何かでキープされていた席が放出されるのか、「あれ? 売り切れだったはずじゃ?」と目を疑うようなマークがチケットのサイトに出て、すんなり席が取れたことが何度かありました。今年はどうかわかりませんが、もう少ししたらチケットのサイトを連日チェックしてみて下さいませ。

で、映画祭への期待を盛り上げるために、旗振りを3度ばかりやってみることにしました。最初は、チケット完売の『新少林寺/SHAOLIN』です。まあ、劉徳華(アンディ・ラウ)、謝霆鋒(ニコラス・ツェー)、それにジャッキー・チェンまで出ているのですから、これはアジア映画ファンなら見たくなるのが当たり前ですよねー。この映画、11月19日(土)から公開されるのすが、1日でも早く見たいのがファン心理。私も先日試写を見せていただきましたが、細部もいろいろ面白く、手元にある香港版VCDでサワリを再度見直したぐらいですから、映画祭でご覧になってもう一度劇場で、というのもアリですね。

では、まず映画のデータを。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『新少林寺/SHAOLIN』

© 2011 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved

2010年/香港・中国/131分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/北京語/原題:新少林寺(英題:Shaolin)/PG-12  公式サイト

 

出演: アンディ・ラウ(『インファナル・アフェア』)
        ニコラス・ツェー(『孫文の義士団』)
        ファン・ビンビン(『墨攻』)
        ジャッキー・チェン(『ベスト・キッド』)

監督・製作: ベニー・チャン(『香港国際警察/NEWPOLICESTORY』)
アクション監督: コリー・ユン
アクション指導: ニッキー・リー

提供: カルチュア・パブリッシャーズ 
配給: ブロードメディア・スタジオ/カルチュア・パブリッシャーズ

公開情報:11月19日(土)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー!

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実はこの映画のチラシは、最初こんなのが配られました。TIFFの記者発表時にピックアップしたものです。

これを見て一瞬、わざと主演者たちの顔を載せない宣伝を展開するのかしら!?と思ったのは私だけではないはずです。も、もったいな~い、と思っていたら、試写の時にはちゃんと主演者皆さんのご尊顔が使われたヴィジュアルに変わっていました。ホッ。

ストーリーはもうご存じかと思いますが、舞台は辛亥革命直後、1912年の中国。中華民国が成立したとはいえ、国内は戦乱状態で、少林寺の僧たちは戦争で傷ついた人を助けたり、犠牲になった人を葬ったりするのに忙しい毎日でした。その少林寺へ、敵の将軍を追って乗り込んできたのが、将軍侯杰(アンディ・ラウ)とその腹心の部下曹蛮(ニコラス・ツェー)。彼らは敵の将軍を殺し、少林寺を荒らして去っていきます。

(香港版VCDカバーより)

侯杰には美しい妻(ファン・ビンビン)とかわいい娘がいましたが、義兄弟の契りを結んでいながら邪魔になった将軍を亡き者にするため、娘とその将軍の息子との婚約を口実に将軍一家をおびき出します。ところが、腹心とばかり思っていた曹蛮がまさかの裏切り! 侯杰と妻子は少林寺に逃げ込むことになります....。

これが前半で、後半は写真からもおわかりのように、侯杰が少林寺の僧となり、曹蛮と対決するのがクライマックス、というわけです。ジャッキー・チェンは少林寺の厨房係で、ちょっと変わったお坊さん悟道を演じます。ジャッキー・チェンが出てくると、緊迫感に溢れたこの映画がそこだけジャッキー・ワールドになってしまうのが面白いです~。そのほか、呉京(ウー・ジン)、余少群(ユイ・シャオチュン)、釈延能(シー・イェンレン)が少林寺の僧侶になって、なかなかの見せ場を作ってくれます。

シー・イェンレンは旧名を釈行宇(シー・シンユー)と言って、『カンフーハッスル』 (2004)で大きな袋をかつぐクーリーの功夫達人を演じていた人です。この人は本物の少林寺のお弟子さんだそうで、さすがの迫力ある功夫を見せてくれます。もちろん、中国の全国武術大会優勝者で、アクション・スターとして活躍するウー・ジンも負けてはおらず、格調高い功夫をご披露。悪者役が多いウー・ジンですが、この映画では英雄に近い役でステキでした。で、この2人のピリピリする演技を和らげてくれるのが、『花の生涯 梅蘭芳』 (2008)のユイ・シャオチュンくん。かわいいし、ちょっと女形演技が入っているのもご愛敬。あの坊主頭をナデナデしたくなりますね~。下の写真、アンディ・ラウの左側がユイ・シャオチュンです。ナデナデ。

(香港版VCDカバーより)

アンディ・ラウは前半、思いっきり憎たらしい役です。そして、ニコラスは、最後まで憎たらしい役です(笑)。その悪の部分があってこそ、少林寺が引き立つ仕掛けになっています。

そして、目を見張るのが、わざわざセットを作ったという少林寺。戦いでボロボロになるからでしょうが、古色もよく出ていて、本物かと見まごうばかりです。前半の、曹蛮が裏切るシーンの料理屋も美しいセットで、さすが奚仲文(イー・チョンマン)、いい仕事ぶりが拝めます。

昔の『少林寺』 (1982)を想像していくとうっちゃりを喰いますので、アンディ・ラウ演じる男の生き方映画、と思って見にいらして下さい。そのアンディ、前半では年相応の顔ですが、後半どんどんいい顔になって、若返っていきます。これも演技力なんでしょうねー。

(香港版VCDカバー)

それでは『新少林寺/SHAOLIN』、たっぷりお楽しみ下さい。TIFFで逃した方は、少し待って再度六本木へどうぞ。 

 


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