今、TIFFで上映されるインド映画『ボリウッド~究極のラブストーリー』の字幕をせっせとやっています。まだ終わっていないのですが、ようやく一山越えたので、ブログでちょっと息抜きしている次第です。
この映画は、ボリウッド映画を紹介するショーケースのような作品で、ものすごい数の作品がコラージュされています。しかも、単なるコラージュではなく、画像と音声が別々にコラージュされていて、あるヒット曲が流れる中に、元々のダンスシーンのほか、類似する映像が山と詰め込まれているという、頭も目もクラクラするような構成になっています。中には1秒も使われていない画像があったりして、動体視力を試されている思いがします。
こんなすごい作業をした監督は、インド人のラーケーシュ・オームプラカーシュ・メーヘラーと、アメリカ人のジェフ・ジンバリスト。ラーケーシュ・オームプラカーシュ・メーヘラー監督は、日本でも上映された『デリー 6』 (2009)や、『愛国の色に染めて』 (2006/原題:Rang De Basanti)を作った人です。ですので、この『ボリウッド』の中でも、特にヒット作となった『愛国の色に染めて』が随所で使われていますし、『デリー 6』のシーンも登場します。事前学習は、まずこの2本からどうぞ。YouTubeにタイトルを入れると、歌のシーンや予告編がいっぱいヒットしてきます。
『ボリウッド』は元々はカンヌ国際映画祭出品を目指して作られたようですが、その後再編集がなされて、今回のTIFFバージョンはカンヌ版とかなり違ってきています。例えば、何人かのボリウッド・セレブにインタビューしているのですが、カンヌ版ではインタビューが存在したデーウ・アーナンドなどは今回カットされています。ですのでインタビューに登場するのは、次の人たちです。
シェーカル・カプール(映画監督・プロデューサー。『女盗賊プーラン』『Mr.インディア』『エリザベス』など)
アミターブ・バッチャン(男優)
プラスーン・ジョーシー(作詞家・脚本家。『愛国の色に染めて』『デリー 6』など)
ジャーヴェード・アクタル(作詞家・脚本家。ファルハーン&ゾーヤー・アクタルの父。女優シャバーナー・アーズミーの旦那でもあります。『炎』『壁』など、ヒット作の脚本をたくさん担当)
シャンミー・カプール(男優。ラージ・カプールの弟で、シャシ・カプールの兄。今年の8月14日に死去。これが最後の仕事かも)
アイシュワリヤー・ラーイ(女優)
マードゥリー・ディークシト(女優)
サロージ・カーン(舞踊監督)~発言がカットされたせいか、画面にクレジットが出てきません。マードゥリーの聞き手として、一瞬顔が出てきます。
アニル・カプール(男優)
カトリーナ・カイフ(女優)
特に、シャンミー・カプール(1931.10.21~2011.8.14)とアミターブ・バッチャン(1942.10.11~)は、若き日の映像と共に、現在かなりお年を召したご本人たちが出てくるのですから、なかなかに興味深いものがあります。シャンミー・カプールの作品では『3階』(1966/原題:Teesri Manzil)が使われ、アミターブ・バッチャンの作品では主として『壁』 (1975/原題:Deewar)が使われています。『3階』では、シャンミー・カプールのエルヴィス・プレスリー的ダンスが見られるほか、ダンスの女王ヘレンの踊りも見られます。
このほか、古いものでは次のような作品が登場します。
新しい作品はもう盛りだくさんすぎて、紹介し切れません。でも、長めのフッテージが使われている作品をいくつか挙げてみると....。
これらは日本では上映されていませんが、もちろん日本で上映済みの作品もいっぱい登場します。上に挙げた古い作品3本は、福岡市総合図書館、国際交流基金アジアセンター、そしてエルメスによって上映済み。今回の『ボリウッド』を見てわかったのは、なんだかんだといってもボリウッドの主な作品では、結構な本数が日本では上映されてきたことでした。私が字幕を担当した作品も多かったので、その字幕から流用することもできて助かりました。では、そんな作品のいくつかを。
あと、うーんと新しいところでは、こんな作品が使われています。
これを見て、「ちぇ、前もってバラすなよ~。映画を見て、いくつ題名を当てられるか楽しみにしてたんだから」と思われた方、ごめんなさい。実は今回、ここに挙げたような作品は少し長めに出てくるので、映画のタイトル名を入れてあるのです。しかしながら、タイトル名の入っていない、というか入れられなかった作品はその3倍ぐらいありますので、どうぞ動体視力を駆使してタイトル当てゲームを楽しんで下さい。白状すると、私もタイトルのわからなかった作品がいくつもあります。あとで答え合わせができるといいですね~。
では、ラストに使われている歌の画像をこちらでどうぞ。エンドクレジット画面なので、残念ながら音のみです。この画像を想像しながら、『ボリウッド』の余韻を味わって下さいね。
とっても楽しみです!
マドゥリーが特に楽しみ
ありがとうございます
ラジニ様のチケットは残念ながら(>_<)
一般公開を楽しみに待ちます
実は今回の上映はDCP上映という方式で、もおぉぉぉぉのすごく画像がきれいです。まさに、「目の覚めるような」という表現そのままの画像になっています。
DCP上映というのは最近増えてきた上映方式だそうで、本国からはゲーム機みたいな小さなボックスに入った、いわば信号満載のファイルがやってきて、それをハードディスクに読み取らせて映写するんだそうです。私も詳しいことはチンプンカンプンなんですが、それゆえに単なるデジタル上映よりも画像・音声共にクリアになるのだとか。
この間試写で見た時は、最初に出る製作会社UTVの3原色を使ったロゴ・フィルムで、早くもその美しさに圧倒されました。ヒルズのスクリーンでも同様の迫力が出ると思いますので、ぜひお楽しみ下さいね~。
私は26日の回ですが、cinetamaさんの字幕と美しい映像を楽しみにしています♪
昨日はNHKアジアンフェスで「秘剣ウルミ」を見てきました。とってもハリウッドっぽい感じでしたが、面白かったです。俳優・女優さん達の目ヂカラに圧倒されっぱなし…
TIFF、週末の台湾映画2本とも取り損ねた組です。cinetamaさん情報で、ぴあのサイトをできるだけチェックしてましたが、台湾2本は今のところ取れずじまい他の作品は△が◎に変わったりしたので、動きがあったようですね。
「秘剣ウルミ」、私は火曜日夜の予定です。りからんさんのコメントを拝見して、期待が高まります。女優さんたちはアイシャドーというか、カージャルというか、目の縁取りもすごいので、よけいに目ヂカラがバリバリなんでしょうね。
TIFFのチケット、瞬間的に空席ができることもありますので、思い出したらチェックなさってみて下さい。私が見たい作品は売れ残ってて、楽勝でした。喜ぶべきか、ちょっとフクザツ...。
カットの短さ(早さ)に目が回りそうな気配ですが、サブリミナル効果だと思ってインド映画に洗脳されてきたいと思います!
字幕、ちょっと「小さな親切、よけいなお世話」もやっちゃってます。ご覧になったら、感想を聞かせて下さいね。ドキドキ....。
cinetamaさんの字幕なら最強ですよね。
TIFFに行くのは無理そうなので、
一般公開か、せめてDVDが出てくれれば(ブルーレイなら尚可)。
インド映画に興味がある方には嬉しいと思うのですが…。
でも、日本はなかなかドキュメンタリー映画のDVD発売は実現しない国なので、ちょっと望み薄です。DVDになれば、サブリミナル効果的映像もコマ落としで見られて、映画のタイトルとか特定できるし楽しいんですけどねー。
本国インドでもDVD/ブルーレイは出ないかも、という内容(権利関係のクリアが難しそう...)ですが、私的にはちょい不満もありますので(あんまりコラージュしすぎ、いぢりすぎ! それに”ボリウッド”作品と言えないものも使ってるしぃ)、そのうちこの手のドキュメンタリーのBest of the Bestが作られることを願っている、というのが本音です。
今日、「ボリウッド・・」を観に行ってきました!
なんかすごく良かったです!
こんなこと言ったら失礼ですが、想像してたよりかなり良かったです。
この作品とボリウッド映画たちに素直に感動してしまいました。
エンディングのBand Baaja Baaratの曲はなじみのある曲でよく耳にしていたのですが、cinetamaさんの字幕を観て「こんな歌詞だったんだ~」と微笑みながら、最後の最後まで楽しませていただきました。
「僕は君にドキドキ。お茶にビスケットを浸したみたいに、そんな風にやられちゃったのさ~♪」っていうその例えが、なんと言うか、衝撃的でしたww
今までヒンディー語も分からずに、インドでたくさん映画を観てきましたが、ヒンディー語を理解してボリウッド映画を観たらきっと数倍楽しくなるだろうな・・と思いました。
お茶(チャーイ=スパイスの入ったミルクティー)にビスケットを浸して食べるのはインドの庶民が大好きな食べ方で、おやつや朝食にこうやって食べています。あのフニャ~感がいいんですよね。
歌詞の訳はそのまま訳してあるものもあれば、「シーラーの若さ」を「シーラーは若くてピチピチ」にしたりと、誤訳に近いぶっ飛び訳までいろいろあります。ま、お楽しみいただければ、という感じですので、おおらかにご覧下さいませ~。