アジア映画巡礼

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インド映画年末のデッドヒート

2011-12-27 | インド映画

またまた『DON 2』のがらみの話題です。

12月23日に公開された『DON 2』ですが、この週末だけで何と4億5千万ルピー(約6億7500万円)もの興行収入を上げました。『Ra. One』の興収が現在までで約11億5000万ルピー(約17億2500万円)なので、その半分近くを数日間で稼いでしまった、ということですね。今回はオリジナルのヒンディー語版に加えて、タミル語吹き替え版、テルグ語吹き替え版も公開されています。タミル語版のポスターはこんな感じです。

タミル語版の予告編はこちら。シャー・ルク・カーンのタミル語吹き替え声優さん、声がそっくりです! オーム・プリーとプリヤンカ・チョープラーはちょい違うなあ。

ついでに、テルグ語版ポスターもどうぞ。こんなフェイス・オフするシーンがあるみたいですねー。

YouTubeには歌をフィーチャーしたプロモがこれまたドンドンとアップされています。"Mujhko Pehchaanlo"(俺を見分けろ)の歌はこちら『DON 過去を消された男』 (2006)の字幕では、「俺が誰だかわかるはず」と訳しましたっけ。

 "Dushman Mera"(俺の敵)の歌はこちら。冒頭のプリヤンカ・チョープラーのダンスが、幻想的でとてもステキです。 UTVという映画会社のロゴ・フィルムに似てるけど、美女なので許しちゃいます。

セクシーなラーラー・ダッターが踊る"Zara Dil Ko Thaam Lo"(心を抱きとめろ)はこちら。 テーマソング的に使われている"Hai Ye Maya"(これは幻想)はこちら。これはみなプロモ用画像なので、本編ではどのように使われているのか楽しみですね。

ところで、『DON 2』より3週間前に公開され、思いがけずスーパーヒットになっている作品があります。『ダーティーな映画』 (原題:Dirty Picture)で、1980年代にセクシーな脇役女優として知られていたシルク・スミターをモデルにした作品です。現在興収がすでに10億5000万ルピー(約15億7500万円)に達しているとかで、ボリウッドの話題になっています。

シルク・スミター(1960-1996)は、タミル語、テルグ語、マラヤーラム語等の南インド諸言語の映画と共に、ヒンディー語映画にも何本か出演しています。そのグラマラスなボディと黒く輝く肌、セクシーな表情と大胆な演技で話題になった女優です。日本で上映された作品には『三日月』 (1984/タミル語原題:Moondram Pirai/ヒンディー語タイトル:Sadma)がありますが、その中では純情なカマラハーサン扮する青年を誘惑する人妻、という役をやっていました。ちょっと画像の顔部分にキズがありますが、『三日月』のシルク・スミターです。

『三日月』の一部をYouTubeで発見しましたので、シルク・スミターの”ダーティー”ぶりをこちらでご覧下さい。また、彼女の本領は何と言ってもソング&ダンスシーン。いつもあまり品の良くない格好をさせられ、こんな踊りや、あんな踊りを踊らされていました。今で言うところの”アイテム・ガール”だったのですが、セックスに直結するような雰囲気をたたえた、まさに”ダーティー”な存在でした。1996年に35歳で亡くなったのですが、自室で独り死んでいるのが発見されたため、自殺ではと言われています。

そんな彼女に再び光を当てたのは、ミラン・ルトリヤー監督。ちょっと面白い映画を撮る監督で、昨年は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ムンバイ』でヒットを飛ばし、話題になりました。あれも1970年代のムンバイ(ボンベイ)が舞台でしたが、今度も少し前の映画界が舞台になっています。予告編はこちら。当時の映画製作の舞台裏が見られて、なかなかに興味深いですね。

シルク・スミターに扮するのは、演技派女優のヴィディヤー・バーラン。大胆なコスチュームで、男優役のナスィールッディーン・シャー相手に歌い踊るシーンはこちら。あと、監督役のイムラーン・ハーシュミーとの歌のシーンもこちらに。そのほか、トゥシャール・カプールも出演しています。

ただ、これら予告編等を見る限りでは、ヴィディヤー・バーランの”ダーティー”ぶりは今ひとつな感じです。もっと、男をとろけさせるような、下卑た妖艶さがほしかったですねー。とはいえ、検閲というか検定でA(アダルト)指定になったこともあって、観客は興味本位の人も含め、映画館にどっと詰めかけているようです。

ところで、日本でもいち早くシルク・スミターを紹介していた人がいました。次良丸章さんで、「旅行人」No.91(1999)掲載の「インド映画の名脇役たち」という文章の中でこのように書いています。

”(ヘレンと)同じ分野で、タミル語映画で名を馳せたのがシルク・スミターである。88年の大インド映画祭で『三日月』をご覧になった方なら、主人公の先生を誘惑する校長の若い妻の、妖しい三白眼と艶めかしいダンスを記憶しているだろう。「南のモンロー」と呼ばれた彼女は、96年に借金苦から自ら命を絶ち、官能の美女として永遠の存在になった。”(pp.16-17)

さすが次良丸さん!

2011年も押し詰まってから出た大ヒット2作品。新年をまたいで、まだまだ快進撃を続けそうですが、さて、軍配はどちらに挙がるでしょうか?

 

 


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