アジア映画巡礼

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『SALAAR/サラール』の補足

2024-06-09 | インド映画

昨日の記事では、『アハーン』のご紹介に力が入ってしまって、『SALAAR/サラール』について書きたかったことを忘れてしまいました。ごめんなさい。もう一度、『SALAAR/サラール』のデータも入れて、昨日書き漏らしたことを書いておきますね。

『SALAAR/サラール』 公式サイト

2023年/インド/テルグ語/174分/原題:Salaar/字幕:藤井美佳/字幕監修:山田桂子
 監督:プラシャーント・ニール
 主演:プラバース、プリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブ、イーシュワリ・ラーオ、シュリヤー・レッディ
   提供:ツイン、Hulu
 配給:TWIN
7月5日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

『SALAAR/サラール』は、国家内国家の物語です。インドが独立したあとも、地図に載らないままかつてのように国家として存続し、マンナル族、ショウリャンガ族、ガニヤル族という3つの部族が住んでいる国「カンサール」を舞台に、物語は進行していきます。カンサールの現在の王ラージャ・マンナル(ジャガパティ・バーブ)には、第一王妃の息子ルドラと第二王妃の息子ヴァラダがいましたが、ヴァラダは常に兄ルドラから虐げられていました。そんなヴァラダに味方するのは、ショウリャンガ族の庶民である親友デーヴァ。ところが、ラージャ・マンナルがショウリヤンガ族撲滅をはかる事態が起き、危機に陥ったデーヴァ母子をヴァラダが自らの領地を投げ出して救います。これによりデーヴァと母(イーシュワリ・ラーオ)は遠い所に去って行くのですが、その時デーヴァはヴァラダに「俺の名を呼べば、お前のためにいつでも駆けつけて戦う」と言い残します。それが1985年のこと。

そして時は移って2017年、北東地方のアッサム州に移り住んだデーヴァの母は、小学校の教師をしながらデーヴァ(プラバース)を育て上げ、デーヴァはたくましい青年として肉体労働に従事していました。ですが、母はデーヴァが力を振るうことを何よりも恐れ、彼に武器になる物を持つことを一切禁じていました。そんな時、アメリカ在住の女性アディヤ(シュルティ・ハーサン)が母の遺灰をガンジス河に流すためインドに戻ってきたものの、アディヤの父と因縁のある一団に襲われそうになり、助けてくれた人と共にアッサムにたどり着き、デーヴァの母のもとで教師として働くようになります。一方王子ヴァラダ(プリトヴィラージ・スクマーラン)は混乱した王国の中で、自分を奉じようとする臣下のために立ち上がることを決意します。そして、デーヴァと長年の時を経て再会するのですが....。

上記はものすごくはしょったストーリーで、実はカンサール王国を巡る勢力争いはもっと複雑に入り組んでおり、本作もご覧になる前にパンフレットをお求めになって、人物相関図(絶対付いているはず!)等で事前学習をしておかれることをお勧めします。人物構成の複雑さは、さすが『K.G.F:CHAPTER1&2』のプラシャーント・ニール監督で、似た人物をたくさん登場させる趣味は変わっていません(見てるこちらは混乱の中に落とされるので、”悪趣味”かも)。『バーフバリ』二部作ぐらい単純明快化してくれればいいのに、と思ってしまいますが、王家の物語はまさに『バーフバリ』路線。王族を表す鼻輪や財力を表す腕輪など、小道具もバッチリ用意されています。そして、二人の親友が一度別れ、再び相まみえる、というのは『RRR』路線。しかしながらこの先、大きなひねりが入るようで、ラストでそれへと続く不穏な事実が明かされます。

とまあ、昨日、これぐらいは書こうと思っていたのですが、タイトルとデータだけになってしまってすみませんでした。見所は多いのですが、気になるのがWikiに「『Ugramm(怒り)』に基づく」とあることで、プラシャーント・ニール監督のデビュー作『Ugramm』(2014)がこうなるとぜひ見てみたくなります。配給会社のツイン様、今年の「熱風!! 南インド映画の世界」とかでの上映はいかがでしょうか? 興行的にはたった3億ルピーしか稼いでいないのですが、『K.G.F:CHAPTER1&2』の時もこのデビュー作が引き合いに出されていましたし、どんな作品なのか、きちんと日本語字幕で見てみたいです。

ところで、本作はシリーズものの前半作、ということで、原題は『Salaar : Part 1――Ceasefire(将軍:第1部――停戦)』となっており、来年2025年に後半の『Salaar : Part 2――Shouryaanga Parvam』が公開される予定となっています。「Shouryaanga」ば部族名の「ショウリャンガ」だと思いますが、「Parvam」は「章」でしょうか? いろいろ楽しみな『SALAAR/サラール』、まずは第1作に浸りましょう! 最後に特報と予告編の両方を付けておきます。

『SALAAR/サラール』特報

 

『SALAAR/サラール』本予告

 


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2 コメント

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インド特集 (Jaan)
2024-06-10 15:15:32
cinetamaさん、ご無沙汰しております。
久しぶりにコメントいたします。

今朝、NHKのニュースとあさイチという番組で、インド特集をしていました。
その中で、『サラール』も紹介されており、プラシャーント・ニール監督のインタビューもありました。
映画だけでなく、食や結婚など内容盛りだくさんでした♪
『K.G.F:CHAPTER1&2』は、TVで見たのですが、とても面白かったので、『サラール』も楽しみです(^^♪
監督さんが、ストーリーはシンプルだけど、友が敵となる複雑な内容だと意味深なことを言っていました。cinetamaさんのブログを見て、もしかして敵になる内容は、 Part 2になるのかしら?といろいろ考えてしまいました。
返信する
Jaan様 (Cinetama)
2024-06-10 16:43:33
コメント、ありがとうございました。
お元気そうで嬉しいです。

あれ、NHKの朝番組、もう取材にいらしたのでしょうか。ベンガルールに行ってプラシャーント・ニール監督にインタビューする、と言ってらしたのは別の局だったような気が....。まだほかにも、インド映画現地情報を伝えて下さるところが出てくるかも知れません。

プラシャーント・ニール監督、先の展開をバラしちゃったんですね。今、「2」を作っているところでは、と思うので、つい口をついて出たのかも知れません。『K.G.F』も『1』より『2』がヒットしたので、『SALAAR/サラール』もそうなることを願っています。

ご覧になる時は、ぜひIMAXでどうぞ。私も楽しみにしています~♡。
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