インド映画の予告編を、日本公開作、インド公開作共に、しょっちゅうチェックしています。インド公開作の予告編は「fan made(ファンが作りました)」が多くて、正式な予告編に当たるのは10回に1回ぐらい。最近は、動画のアップ元を見ると大体見当が付くようになりましたが、以前は「fan made」とちゃんと断ってあったのに、最近は「Fox Studio」「Uncut Cinema」「Rockers Studio」等々、一見製作会社名か、と思ってしまうようなアップ元が溢れています。その点、日本公開向けの予告編は安心してご紹介できます。今日は、ちょっと対照的な2つのインド映画の予告編をご紹介します。
『SALAAR/サラール』公式サイト
2023年/インド/テルグ語/174分/原題:Salaar/字幕:藤井美佳/字幕監修:山田桂子
監督:プラシャーント・ニール
主演:プラバース、プリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブ、イーシュワリ・ラーオ、シュリヤー・レッディ
提供:ツイン、Hulu
配給:TWIN
※7月5日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
『SALAAR/サラール』予告編
『アハーン』
2019年/インド/ヒンディー語/81分/原題:Ahaan/字幕:福永詩乃
監督:ニキル・フェルワニ
主演:アブリ・ママジ、アリフ・ザカーリア、ニハリカ・シン、ラジト・カプール、プラビタ・ボールタークル
配給:生活の医療社
※現在クラウドファンディング開催中
映画『アハーン』の予告編
え、こんな映画が公開だなんて聞いてないよ、というインド映画ファンの皆様、そうなんですよ。まだ公開情報を各映画サイトとかにリリースする前に、配給元である医療関係の出版社「生活の医療社」のしゃちょーがYouTubeに予告編をアップしてしまったんですよ。初めてのインド映画、いや、初めての映画配給であるこのしゃちょー、バックにはいろいろ助言して下さる映画配給関係者の方がいらっしゃるようなんですが、「はじめてのはいきゅうううぅぅ」街道まっしぐら、みたいで、同社「X」を見てみるとこんな投稿が続いています。
生活の医療社、インド映画配給に挑戦しちゃいます! ダウン症当事者が主役を演じる『アハーン』、上映映画館絶賛大募集中&クラファンも今日開始しました。
●「アハーン」の話vol.1 主演のアブリ・ママジさんにインタビューした時に印象的だった言葉。 ——監督のニキルとの仕事は楽しかった? 「ニキル? あぁ、『アハーン』の! うん、彼はいい人、でももう終わったことだし、ぼくはサルマーン・カーンと共演したい。」とニコニコ
●『アハーン』配給こぼれ話vol.2 左上が監督のニキル・フェルワニ、下が脚本を弟ニキルと共著した共同制作者でもある兄アビシェク。二回目か三回目のZoomミーティングにて。 ニキルは接続が悪いことが多く、度々兄のアビシェクと二人になる。今だから言えますが、ちょっと、びびってました。
●『アハーン』配給こぼれ話vol.3 作中のあるシーンで、人参を使った甘味がでてきます。これを英語字幕版では、"Carrot pudding"としているのですが、どうしてもつなぎを使ったプリンの類いには見えず、気になっていました。 字幕翻訳者の福永詩乃さんは「ハルワー」としてくれました。
おお、しゃちょー、日々お勉強もなさってますね。人参のハルワーは「ガージャル(人参)・ハルワー」と言い、細かくスライスした人参をスパイス&砂糖入り牛乳で水分がなくなるまで煮ていく、という感じで作ります。ほかにも、「スージー・ハルワー(セモリナ粉で作るハルワー)」や「バーダーム(アーモンド)・ハルワー」など、いろんなハルワーがあります。上写真の右上がしゃちょーですが、お名前も秋元麦踏さんとユニークなら、この映画『アハーン』を買うことになるきっかけもユニーク。そのうち、いろんな宣伝が繰り広げられると思うので、その中のエピソードをお楽しみに。そうそう、予告編を先走ってアップしてしまったのには、こういう経緯があるみたいです。
●しゃちょーの「X」投稿より
「クッ…なぜ、ネタバレしすぎずに映画の魅力をアピールすることがこれほどまでに難しいのだ…と頭を抱えていたのですが、世の中にはトレーラーという便利なものがあるんですよね。感じて下さい。」
うう、しゃちょー、予告編の発見と制作が「やったぜ!」だったのはよくわかりますが、予告編は公開情報がある程度行き渡ってから、もったいぶった感じで「予告編もできましたぞ」とアップするのが効果的なんですよ。とまあ、いろいろ型破りの『アハーン』ですが、皆様、ぜひ応援して下さい。クラファンの特典はいずれも結構魅力的なので、アクスタをお買いになるお金を『アハーン』ではクラファンに投資して下さいませ。