西鉄では、2003年度から福岡県が事業主体となり春日原~下大利間3.3キロの連続立体交差事業を行なってきた。2010年度からは福岡市が事業主体で雑餉隈駅付近1.9キロの連続立体交差事業を行なってきた。雑餉隈駅近くまでと下大利駅前後は、既存の線路の隣に高架を新設する仮線方式を採用、それ以外の間の区間では既存線路の直上に高架を新設する直上方式を採用している。支障物の埋没などで1年5か月遅れの2022年8月に高架化された。高架となった距離は5.2キロ、19か所の踏切を解消した。参考までに京急の蒲田付近を高架化したときは本線4.7キロ、空港線1.3キロの計6.0キロで28か所の踏切を解消、京王は笹塚から仙川の7.2キロで25か所の踏切を解消予定となっている。最近の首都圏以外の高架化というと阪神本線の芦屋~住吉間の4.0キロとか、近鉄奈良線の八戸ノ里~瓢箪山の3.3キロとかあったが、今回の西鉄の高架化はそれを上回る距離になる。九州では大分付近の5.6キロに及ばす、唐津線の5.1キロに匹敵する距離だが、4駅も高架になるのは初めてだ。
西鉄の福岡口の高架化は1961年の福岡付近を皮切りに、1978年の平尾~大橋間、1995年の福岡~平尾間と進めてきた。今回の高架化で、西鉄福岡駅から下大利の先の九州道をアンダーパスする地点まで井尻駅前後を残して高架になった。距離にして約12キロ、新宿からだと京王は仙川の先、小田急は成城学園前の先に匹敵する。井尻駅前後1.5キロが地上線で残ったのは、福岡寄りで新幹線、大牟田寄りで福岡高速5号が西鉄の線路をオーバーパスするから、この区間を高架にするためにはそれを越える高い高架にしなければならない。
当初予定では新駅の桜並木駅だけ巡る予定となっていたが、新たに高架になった4駅も巡ることにした。福岡地下鉄4000系を中洲川端で1時間以上待つつもりでいたが、博多ですんなり乗れたので、スケジュールに余裕ができたのだ。フェリーの朝食ビュッフェでお腹がいっぱいだったので、昼食も取る必要もなかった。西鉄の高架駅を巡った順序は以下の通り、かっこ内は駅ナンバリング。二重線は急行利用で、それ以外が普通利用。
西鉄福岡1238=1243(T05)大橋1245-1250(T07)雑餉隈1311-1314(T09)春日原1328=1330(T11)下大利1347-1349(T10)白木原1417-1421(T08)桜並木
桜並木駅は、南福岡駅まで歩く予定なので一番最後に、急行停車駅を途中で挟むことで駅滞在時間を縮小した。福岡に一番近い雑餉隈から飛び石で春日原、下大利へ、折り返しで飛ばしてきた白木原を訪れる形となった。白木原駅では3000系『水都』を撮影するために30分近く滞在してしまった。
西鉄福岡の改札を12時35分に通ると、『THE RAIL KITCHEN CHIKUGO』が3番線に停車していた。『アーリーランチコース』で花畑まで往復してきて到着したばかり、13時22分まで停車して、『レイトランチコース』として大牟田へ向かう。
12時38分発の急行花畑行は転換クロスの西鉄3000形運用、改札から遠い前に乗ったものの7割くらいの利用率だ。西鉄福岡を出ると、次の薬院に停車、西鉄平尾、高宮を通過した後、若久川を渡り、大橋駅で普通と緩急結合する。これは京成の快速が京成上野を出ると、次の日暮里に停車、新三河島、町屋を通過した後、隅田川を渡り、千住大橋駅で普通と緩急結合するのと同じパターンだ。ただし、西鉄の緩急結合は平日朝上り以外終日行われるのに対し、京成の緩急結合は朝夕のごく一部に限られる。特急が春日原に停車したことだし、緩急結合駅を春日原にすれば、井尻、雑餉隈、桜並木利用者が普通列車に分散されると思うが、福岡での折り返しを考えると大橋での緩急結合の方が好都合なのだろうか。普通と急行の間隔が開くと、薬院、大橋ユーザーが急行に集中するデメリットもある。なお、今年のダイヤ改正では平日朝の上り急行の大橋以北を各駅停車にすることで、大橋待避を取りやめて、急行に客が集中しないような処置がとられた。
大橋からは西鉄福岡を5分前に出た普通に乗り継ぐことに、急行よりはだいぶ空いている。先述した通り、地平駅の井尻を出て、高速道路をくぐると新設の高架区間へと入ると、雑餉隈(ざっしょのくま)に到着する。
雑餉隈は相対式、コンコースは1階にあり、3階ホームとは大牟田寄りのエスカレーター、中程のエレベーター、福岡寄りの階段に結ばれている。階段は2階コンコースで集約され、1階コンコースへは1箇所で降りている。改札は大牟田寄りと福岡寄りの2箇所、大牟田寄り改札は東西に抜けられるが、東側は少し低いところにあるため、幅の広い階段とスロープが設置されている。西口は大屋根が特徴、その工事のために供用開始が去年の夏までにずれ込んだ。
福岡寄りの改札は、小さいICカード専用の北口、西口が工事で出られない間は西側へ抜ける改札だった。コンコースが1階にあるため、天井とコンコースの間は丸柱で支えられている。内壁及び丸柱は木目調になっており、黒い天井も相まって落ち着いた感じになったいる。駅舎のデザインコンセプトは『歴史を受けつぎ 未来につなげる 親しみのエントランス』、イメージカラーは宿場町からモノクロモノトーン、アクセントカラーは穀物を連想する黄蘗色としている。西口の大屋根が飛び出ているデザインだが。高架駅になったものの、直上式での建てられたため、駅前広場を作るスペースは確保されなかった。ただ、コンコースが1階にあるため、出入り口は他の駅に比べて開放的になっている。以前は橋上駅舎が西口の辺りにあったが、2018年1月に大牟田寄りに仮駅舎を設置、高架化後も2024年3月まで仮駅舎を使った。
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