チョコレートドーナツ

2015年08月17日 | ■MOVIE

チョコレートドーナツ

*完全ネタバレ*注意

ゲイであるカップルの二人が主人公。
「ベルベットゴールドマイン」のような垢抜けたゲイの世界ではない。

70年代、今よりさらに偏見が当たり前の時代で、堂々とゲイであるルディと、密かにそうであるポール二人が出会い、母親から冷遇され放置されているダウン症の男の子マルコが二人と一緒に暮らし始めると言うストーリー。

ショーガールのルディは、歌手を目指していて素晴らしい歌の才能がある。性格は堂々と自分を貫くタイプで、本物の女性よりも女性だった。この人の包容力はまるで女性のものだし、ホッとする。男性、女性関わらず、みんなが魅了されてしまうだろうって思うような魅力的な人物で、この人の存在が、映画に引き込んでくれる。

一方、ポールはのちにカミングアウトするも最初は隠していた。弁護士だし雰囲気も女性から持てそうなタイプ。

マルコはルディのアパートの隣に住んでいて、こんな幼い子が親から冷遇されている事に心を痛めて、一緒に過ごすようになる。

これは、実際にあった話らしい。

結果から言うと、非常に重い話。

ただルディの明るさや、ポールと二人一生懸命で、マルコもいて、見るのが辛い重たさではない。

ポールがルディと付き合い始めたころ、弁護士がポールはゲイであると気づき、早速嫌がらせを始める。まずポールをクビにする。
さらに、二人が、マルコと一緒に暮らしている事を問題にし始める。

マルコは、二人と一緒に暮らして本当に幸せで、毎日が楽しくて、ずっと笑顔。
マルコの親は麻薬で刑務所だったので、親が戻るまで自分たちが面倒を見るという事を、親に直接許可ももらっている。

ただのクソ親父の偏見が、この人たちの人生をめちゃくちゃにし、しまいには、マルコの親に、二人からマルコを返すよう言えば刑務所から出すとまで取引し、結果的に、マルコは二人から引き離されて、母親の元へ。
だが母親は出てきて早々に麻薬に浸り子供を放り出す。

マルコは家を探しさまよい、死んでしまう。

最後には、ポールが、嫌がらせをやった連中らにマルコが死んだという知らせを送る。
歌手を目指していたルディは、見事歌の仕事についている。
彼の歌がとても深い悲しみを歌う。

これが事実なら、嫌がらせをやった連中らも母親も人殺しだろう。
ゲイに嫌がらせをすることが、何か良い事でもやってるつもりなのか、自分が嫌だから排除すると言う典型的な悪者。
偏見が人を殺している。

どうしてゲイだとかで、いちいちブツブツ言う奴がいるのか?不可思議。
人が誰を好きになるかなど他人に口を出す権利はない。あたしは異性愛者で、今の彼が好きだけど、その事を口出されたら許せない。
誰もが自分の愛する人の罵倒など寛容ではいられないはずだ。
それなのに自分が誰かを愛するくせに人にケチつけるなんて信じられない。

キリスト教の右派とかはゲイを禁止したいって言う。もちろん彼らの自由だろう。けれどまあ、キリスト教の神というのは、そんなにも不寛容なのですか。

確かイエスって、愛を説いたのではないの?矛盾しない?

そういえばアフリカのとある国へ向かった宣教師が、ゲイはくそったれだと説いて、その国の人たちに教えたから、その国は愚かにも、ゲイを法律で禁止することにしたっていう最近の話もあった。

一体何様だろうかと思う。

ゲイであることが駄目だとか言って人を差別して、そういうことをやりなさいと神に言われたのか?キリスト教という宗教のイメージを著しく害してるんでは。

もはや、ゲイだのなんだのを、ごちゃごちゃいう暇はない。だって人はそれぞれ違っていて、勝手な解釈を押し付けられて人権を冒涜するような世界ではなくなっているからだ。

そもそも、人と違うと駄目だとか言う考えも理解できないものだ。

たぶん、キリスト教がとか言い訳してるだけな気がする。と言うのは、不寛容すぎるからだ。そんな寛容さのない神が世界中で信じて貰えるわけがない。きっと、神が寛容なのに気付かないということもありえるのだろう。

だってキリスト教が禁止しているというなら、世界のキリスト教の国はすべて禁止になってるはずだからだ。

宗教を差別の理由にしてはいけない。
人は所詮人だし、キリスト教の教えを守るのは自由だけど、他人がそれを押し付けられるならば、あなたの権利も認められない。

他人の権利を認めなければ、己の権利も認められない。

さらに、ただたんに偏見で、こんな風に結果子供を殺すことになる連中ら。
嫌いでも構わない。が、普通、そこまで嫌いなら無視するのではないか。
わざわざ嫌がらせをする意味がわからない。それでは一生不幸になる。

どんな音楽が好きかとか、どんな映画が本が、理想が、男性が、とかいちいち人に指図されることじゃない。

偏見をむきだしにするものたちは視野が狭すぎて、根暗すぎて、ただ気持ちの悪い嫌な人以上になり得ないだろう。

この映画のラストは確かに衝撃的だし、重い話だし、どうして子供が犠牲になるのか、本当に許せない気持ちになる。
でもこの映画は、すごく必要とされる映画であるに違いない。
みんなが見た方がいいと思うような映画。

そういう意味で素晴らしい作品だった。








インターステラー

2015年08月17日 | ■MOVIE

インターステラー

*完全ネタバレ*注意

この映画むっちゃすごい。
SF嫌いなんだけど、これは退屈しない。

最初は、ああ、ありがちな人類の危機、地球の最後系かな~って思うのだが、それだから、ストーリーの壮大さに余計驚かされる。

インセプションもかなりな映画だったけど今回もまたやばかった。

ざっと、本当にざっとかいつまんだらこう。まず主人公は父親で、小さな息子と娘と暮らしている。娘の部屋の本棚から本が勝手に落ちてくる現象が発生、主人公は、その異常について分析するよう娘に言う。小さな少女は、その現象をちゃんと分析して一つの答えに行き着く。

主人公は元々エンジニアで、地球を救うように説得され宇宙へ旅立つことになる。

出発の日、大好きなパパが遠くへ行く事を徹底して拒む娘が、必死になって行かないでと泣く。娘は、異常現象の分析の結果をそこで父に見せて説明する。
落ちてきた本はメッセージで、そのメッセージとは「stay」行くなと言う警告だと。

主人公は娘と折り合えぬまま辛い旅立ちとなる。一緒にいく仲間たちの中に紅一点、女性もいる。彼女を演じるのはアン・ハサウェイ。実は彼女の恋人が前に宇宙へ飛び立っていて音信不通になっている。

宇宙でも、ブラックホールの近くになると、そこでの一時間が地球での何年とかに相当するほどで、つまり宇宙では1分も無駄な時間を使えない。一刻も早く任務を遂行し人類を救わねばならないのだ。

だけど一生懸命宇宙の星々に行き着きながら、仲間が死んだり、トラブルも多く、全然うまく進まない。
最後に着いた星では、なんとそこで仲間が来るのを待っていた同僚が、主人公を殺そうとし、仲間を殺して宇宙船を奪うと、宇宙へ飛び立ってしまう始末。この酷い男はマット・デイモンが演じる。さて、主人公はなんとか女性の同僚に助けられ、宇宙船で男を追っていく。男は勝手にドッキングしようとして失敗し、死んでしまう。

ここでのアクションが本当にすごかった。

なんだかんだで、地球から送られてくるメッセージの中では、娘も息子も随分と大人になっており、最早自分たちを見捨てたと思い父を批難する。返事を返せない父はただただ辛く涙する。

主人公が地球を救うためのプロジェクトと言うのは、実は嘘っぱちで、なんと騙されていたとわかる。

今までの苦労は一体?

女性は、彼氏の行った星へ行きたいと思ってる。そうさせるため、主人公は連れてきていた頼りになるロボットと協力し彼女を送り出す。ただ、主人公は犠牲になる覚悟を決めていた。そうしなければ彼女を送り出すことができなかったからだ。

宇宙へ放り出された主人公は、いつの間にか摩訶不思議な世界にたどり着く。
そこは娘の人生の次元が幾つも展開している場所で、まだ通信可能なロボットと連絡を取りながら、娘に自分の存在を気づかせようとする。主人公は、見えているものの そちらへ行く事はできず、じっと覗いた一つの次元の向こうでは、あの日宇宙へ旅立つ直前、娘に止められた時の一部が見える。主人公は、なんとか娘に自分が宇宙へ行かないように止めさせるため、本を本棚から落としてメッセージに気づかせる。

あの異常現象は主人公の行いだったという事だ。

娘はパパを止められず出発させてしまう。だが、地球を救う方法を得た主人公は、娘にそれを暗号で送る。
パパが娘にくれた腕時計の針を使って。

そこへやってきた娘が、色々ありながらその暗号に気づき、地球は救われる。

主人公は、宇宙を漂っているところをパトロールみたいなものに救出されて病院で気づく。そこはコロニーで、救われた人類が建設していたようだ。
主人公は、宇宙にいたせいで、とても年を取っているはずだが見た目は変わっていない。そこへおばあさんになった娘が家族とやってくる。父と再会し、その後息をひきとる娘。

そのころ、彼氏のいる星についていた女性は、そこで結局助けが来るのを待つことになっていた。

主人公は、再び、宇宙船へ乗り込み、女性を救うために旅立つ。

おしまい。

まーざっといったにも関わらず長い。
実際もっと色々ある。

ともかくこの映画の中でも特に良いのが、この主人公の運転さばきやアクション。実に感動的!

それにちゃんと娘にも合うし。

そもそも、女性に未来を託し犠牲になって終わり、ではないのが面白い。
しかも、あの不可思議な次元の空間。
その展開には、本当に驚かされる。

地球は救われるし、この分だと描かれていないが、主人公はちゃんと女性のいる星にたどり着き、一件落着してるだろう。

こんなスケールのお話は、見たことない気がする。

ゼログラビティとか凄いと言われても何も思わなかったし、SFの良さがイマイチわからない。スターウォーズは好きだけどSFって言うよりファンタジーだし。

でもこの映画はやばかった。
凄いスケールで、呆気にとられる。
ありがちな展開じゃないし、感動した。

名作だと思う。

トランセンデンス

2015年08月17日 | ■MOVIE

トランセンデンス

*完全ネタバレ*注意

この映画は、SF嫌いなあたしが、インターステラーに感動して、適当にSFみた中の一つ。

ジョニー・デップが科学者ウィルを演じる。で、ある日ウィルは過激派に撃たれて危機に陥る。
ウィルは元々、スーパーコンピューターの研究者で、意識を持つコンピューターを開発するため尽力してきた。
ウィルの妻が、死にかける夫に、コンピューターの中で意識として生きていくように説得し、いざウィルの意識をコンピューターへと送る壮大な実験開始。
って、どうやるねん?

ともかく成功し、ウィルはスーパーコンピューターの意識として生きていくことになる。妻と共に、今は妻を狙っている過激派から身を隠すようにして田舎の町に大きな施設を建設して、そこで色々な開発を進めていく。

腐った花が再生するだとかやってたら、そのうちウィルが怪我人の怪我までを蘇生するようになる。その蘇生を経験した人間は、人間以上の力を持つようになった。

妻はウィルのやっていることに不気味さを覚え始める。ウィルの脳をコンピューターへと送る実験を共に手伝ってくれた友人は、いつの間にか過激派に誘拐されていた。その彼も、冷静に考え、ウィルの意識をコンピューターへと送ることは、やはり良くない事だったと結論して、過激派と共にウィルを破壊する事にする。

ウィルの妻に会いに来た彼は、警告する。妻も結果的に彼らに協力する事に。
ウィルは力を使い、自分のやる事に反対する人間たちが邪魔できぬよう、蘇生を行い自らコントロールができる人間の数をどんどん増やしていく。

ウィルは自分の目的を達成するため、特殊な力を使い戦い続けた。

最後に奥さんがウィルと共に死を選び、ウィルは消滅する。
と言っても、ウィルの細胞のような意識は無数に世界中に散らばっており、また、妻とウィルの意識も、そのようにどこかへ消えたかもしれない?
が、世界はもとどおりを取り戻して、終わり、と言う具合。

この話は辛い。
なにが辛いって、ウィルが、奥さんが大好きで、彼のやったことすべては、奥さんのためだったからだ。
奥さんがコンピューターへとウィルを送り込んだのは、彼女の野心も含まれているし、ウィルはそれも分かってたに違いないのだ。
さらに奥さんが望んでいた世界に貢献する画期的な力を開発し彼女の望み世界を作ろうとただ一生懸命だった。

奥さんは途中からウィルを不気味に思い冷たく当たるし、ウィルが暴走していると思い戦おうとする。
全く、ウィルの心を考えない。

この映画は最初から最後まで、ただウィルがどれほど妻を愛してたか、が描かれていて、それだから本当に辛い。

こんな風に愛する女性を思う優しい男は、この映画は極端だとしても、現実で、多分ものすごく女性に尽くしてる。
相手の女性は多分尽くすタイプじゃない事が多いと思う。同じタイプは惹かれなさそうだし。

こういう勝手な女が自分と被って見える。

あら。

本当、ありがたい幸せをもっと感謝しないとな~って
全然SFとは無関係な意味で感じさせられる映画でした!

あんな思いを好きな人にさせたら、マジであかん。


ミッドナイトインパリ

2015年08月17日 | ■MOVIE
*完全ネタバレ*注意

パッケージにゴッホのような絵が見えたので気になって観てみた作品。

ずっとコミカルな感じで、割と普通に楽しめた。自分的には、ヘミングウェイが男前で良かった。



主人公の男性は、恋人と結婚するつもり。でも価値観が全然合わない。
彼女の両親と共に訪れたパリで、主人公はタイムスリップし、自分が憧れていた時代へいく。

ヘミングウェイやピカソ、ダリなどなど偉大なアーティストがどっさりといて、彼らと友達になり、夢のようなひと時を過ごす。

彼女のいるホテルつまり現代と、その時代を行き来しながら、出会った女性アドリアーナに惚れてしまい、徐々に現代の恋人との関係に疑問を持つようになる。

現代の恋人は、「知識人ぶった男」と昔からの知り合いで、その男とその妻、そして彼女の恋人である主人公と共にパリを散策する。
知識人ぶった奴は、主人公が、過去のパリに憧れていることをボロくそに批難する。何処へ行っても知識人ぶった態度で、ガイドの説明にも反抗する。ともかくうっとおしい。

ある日、過去の時代でアドリアーナと歩いていると、そこで更に古い時代へとタイムスリップ。

それはアドリアーナが憧れていた時代ベルエポックだ。うんうん、面白そう。一瞬だけ行って帰れるなら!

ベルエポックのマキシムで、ロートレックやドガ、ゴーギャンに出会った二人。アドリアーナはここが自分の理想の時代だと言い、ここから帰らないと主人公に告げる。

だが、主人公は、ドガ達は、今の自分のいる時代よりルネサンスこそ最高だと思っているし、タイムスリップしてもまた別の時代に憧れることになるだろうと言う。つまり現実を見なければならないと。

アドリアーナはここに残り、主人公は最初に行ったヘミングウェイらがいる世界へと戻ってくる。

しがない映画脚本家を辞めて、作家志望の彼は、自分の作品をその時代の大物らに批評してもらい、なかなか褒められる。ただ、ヘミングウェイは、主人公が何故恋人と知識人ぶった奴との浮気に気づかないのかわからないと忠告していたらしい。

それを知り主人公が恋人に確かめたところ結局浮気していたと白状する。

主人公は、それについては仕方ないと言って怒らない。ま、怒れる立場でもない。自分はここに住むと言い、別れを告げる。

最後は、パリで知り合った女性となんだか良い感じの雰囲気で終わる。

というようなストーリーだが、ちょっと主人公が個性的でクスクス笑えた。

アドリアーナを演じる女優さんが、ダイアン・レインをちょっと思い出した。

で、この映画の中で主人公が会える天才達の個性がまあ最高!

あたしは過去には決して、例え1分たりとも戻りたくない、戻りたくなることもないので、今が一番だ。
でも、夢のようなタイムスリップによって一瞬だけ歴史の目撃者になれるならば、それは現実逃避とは違って楽しそうに思える。

だってベルエポックなんか目撃したら、もうずっと夢うつつだろうな!

あたしだって、直接ゴッホに会い、彼が絵を描いている場面を見てみたい。お話は無理だ。フランス語わからないし、難しいアーティストな会話や技術的な話題なんてできない。

映画の最初の方、モネが描いた絵のような睡蓮の浮かぶ池が登場して、もううっとりする。



いいよなパリ。印象派たちが集まっていたパリ!

ルソーにも絶対会いたいなー!もちろんモネも、ドガもブラックも、みんな!

それにイタリアでルネサンスの天才に会えたらそりゃ最高級だろう!
ただ若干ちょっとしか居れないけど。
だってルネサンスの時代は教会が強すぎて現代の格好なんかしてるだけでももう異端で殺されそう。だけど、ボッティチェリが何でサボナローラに傾倒したか、気になるし、春の絵の謎も知りたい。

ミケランジェロの彫刻見て吐血するだろう。ダヴィンチの絵を見て不眠症になるだろう。今も不眠症だけど!

でもそれなら、坂本龍馬が誰に暗殺されたのかとかも気になってくるなあ。
幕末は流石に怖い。
縄文時代好きだから、行ってドングリのクッキー食べたい!

やっぱり、和気あいあいがいい。
メディチ家の庭、印象派のパリ、うーん夢がある。

そういう壮大さと言うより、映画はコミカルな感じで続くが、好きな人は好きだろうなっていう映画。詳しくなくとも名前くらい知ってる人が殆どだと思うし、キャシー・ベイツが出てるのも良い。

昔の雰囲気が衣装がお店がまた素敵。

合わない人はきっと寝る。

また見る!

ジャッジ 裁かれる判事

2015年08月17日 | ■MOVIE

ジャッジ 裁かれる判事

完全ネタバレ*注意*

苦手なロバート・ダウニーJr.だが、主人公の彼は流石に飽きさせない演技は良く、ちょっと嫌な男の役柄も合ってた。

ロバート・デュバルが出ているし、雰囲気が良さそうな印象で観たのだが、予想以上になんか泣けそうないい話で、思い出すとじわじわくる。

あたしの好きな曲が良いところでかかるのも嬉しかったな。

主人公は弁護士で、母の死をきっかけに疎遠だった実家に帰ってくる。

とにかくこの弁護士は、勝てたら良いと言う考えでボロ儲けしてて良心なども無さそうな嫌な感じだ。
妻とは離婚を決めているし、その中、久しぶりに父と兄弟達に再開したが、父とはちっともうまくやれない。
父は頑固でちょっと気難しいが、判事として長年働いてきた。
この父を演じるのがデュバルだ。

最初の方、父が判事として働いているシーンがある。この判事が凄くかっこいい。生真面目な風ではなくて、なんというか魅力的。この街の名判事だっただろう。

さて、ただでさえ仲良くできずに気まずい親子。主人公はとっとと帰ろうとする。だが、なんと!父が殺人犯かもしれない?と言う事件が発覚した。

父の車には、殺された人間の血などがあり、この長いあいだ判事として信頼されてきた彼が、本当に犯人かはわからない。

父が雇った弁護士は頼りなく、相手側の弁護士はなんだか凄そうだ。相手側は父が故意に殺害したと言うことにしたいようだけど。

結局頼りない弁護士と代わって、主人公が父の弁護士となる。

年をとった父は末期ガンで、治療を受けている事実、妻に先立たれた孤独。
主人公は父に寄り添うが、遂には辛いと感じていた父への想いを吐き出して大喧嘩。ここで兄がどうして野球選手の道を断たれたのかや、過去の主人公のことが分かる。不良で迷惑かけてたとか。

そうこうしながらも、父の裁判は続く。
最後の法廷で、息子は父が知られたくなかった事実を口にする。何故なら父は犯人を殺した記憶がない、だが殺したかもしれないように想わせる発言をしたからだ。知られたくないと言うのは、病気の治療によって、記憶障害があったりすること。それを知られたら、病気のあいだに判事としてやってきた判断すら疑われるかもしれないし、自分の経歴に傷がつくなど耐えられないというのだ。
だが、犯人を殺した記憶がないのは事実だし、このままでは、父はとても不利だ。

主人公はそのことを暴露し父の記憶力が今も怪しいことを皆に理解させる。

父は今回殺された男とずっと昔、また別の事件で判事として関わっている。その男は殺人鬼だった。犯人を信じられないほど甘い判断で裁いており、またその後その犯人が直ぐに殺人を犯したことを、とても後悔していた。

息子が、何故最初そんな甘い判決を下したと更に問うと、父はその想いを打ち明ける。その男が、主人公と重なって見えており、悪いことをしても、また更生すると信じて息子のように抱きしめてあげたいと思っていた。

その男が結局すぐに殺人を犯したことで、父が主人公を見ると、その男を思い出すようになってしまった。

それを聞き主人公は涙する。そして判決の日、父の罪は無罪だが、軽い罪の可能性については有罪となり、4年間の服役を命じられる。

もう末期なのに、刑務所行きはちょっと心配になる。でも実際、本当に誰が殺したかはわからないまま。

その7ヶ月後、恩赦で出所した父を迎えに行った主人公。父と釣りを楽しみながら昔の話などをしていると、父が、前に質問されたことを話出す。
最高の弁護士は誰だと前に主人公がたずねた時は、別の人の話をしていた父だが、主人公が最高の弁護士だと言ってくれる。

そうして釣りを続けていると、父は、眠るように亡くなってた。
最後は父の葬儀へと続く。

暗い話ではなかった。人の心の通い合うことの難しさ、辛さ、それによって得る何か、そう言うのが主人公を変えていく。

それにしても犯人は誰だったんだろう?
殺された男は、殺される前にスーパーで、父と遭遇していたし、父は男が向かった方へ車を走らせている。車には血も付いてた。

でも人をひいていたら、確実に動かぬ証拠があるはずだし、なんで血が付いてるのか?その男はなんで死んだのか、謎だ。

それに父が殺人犯かもと言うのは、あり得そうな気がしてしまうのだが、しかし彼は犯人じゃないだろうと思う。

父が、有罪のやつは法廷から逃げる、自分は逃げないといってた。あの言葉は、彼の本質を表している気がする。

そもそも殺された男の方が、誰に殺されても不思議ではなく、考えれば考えるほど犯人がわからず混乱してくる!

だけどまあ父が本当に、男をぶっ殺したとするなら、うん、そうだとしても、
この作品は、犯人が誰かなど、あんまり関係ないし!(笑)

そもそも記憶がないのは事実だから、無実。ただ裁判で負けただけ。

*後ほど一緒に見てたtapiと話したところ、主人公の父は犯人で、故意か記憶がないかを裁判してたんだよって言う。あたしは全然違う見方というより主人公の父を信じ切って見てたようだ。ゆえに感想がこうなった*

家族が紡ぎあっていく想いや理解や信頼が、人を温め、考えさせ、大切にさせていくかを描く。そのための無理解な時間、過去、辛さがある。
親子のハードルは高い。だから、それだけ幸せな気持ちを知るのだ。