プリズナーズ

2015年08月23日 | ■MOVIE

プリズナーズ

*完全ネタバレ*注意

ところどころ、あれは何だったかわからないと言うところもあったけど、
最後まで犯人がわからなかった。予測もつかなかった。

あたしとしては、この作品はかなり良かった。何がって、主人公のキャラが。
最初は普通の人って感じなんだけど、実はやんちゃな過去もある。
何ともいいキャラでした。

で、話は、要は子供が二人誘拐されて、その親が犯人らしき怪しい男を捕まえて拷問する。結構長いこと拉致ってるが、男は全然、確信的なことを話さない。で、途中で怪しい男がまた出てきて、そいつの家に刑事が行くとむっちゃ気持ち悪い。蛇がいっぱいな中に子供達の服がたくさん見つかるのだ。この変な男を捕まえて取り調べ。でもミスでこの男に銃を奪われ自殺されてしまう。そんで、一人子供が見つかってというか逃げてきて、その子供が言うには、自分がさらわれていた場所には、友達の父親がいたという。最初に怪しいやつを拷問してた人のことだ。で、なんだかんだで、この父親は、拷問してた奴の母親が犯人であり、その母親にはめられて地面に掘った穴に入れられてしまう。最後に刑事が偶然に地面の底から聞こえてくる笛の音に気づくって言う話。

他にも怪しい奴がいたりとか、なんかいろいろあったけど、端折った。

最初に言ったように主人公のキャラがいいし、どうなるのかわからないからハラハラした。

まあまた、犯人の女のイラつくこと!
刑事が優秀で良かった。
でも、おばあさんが犯人なんて、ショックだし、眼中にもなかった。

この映画の主役の刑事のキャラが
とにかく良い!!

また見てしまう感じ。

おやすみなさいを言いたくて

2015年08月23日 | ■MOVIE

おやすみなさいを言いたくて

*完全ネタバレ*注意

この作品すごい。

ある時ちらっと、アフガニスタンの映像でよく見かける、あの服。
顔まで覆ってて、中国の安物の。
予告?か何かで見かけて、
とにかくアフガニスタンだろうと思って
見る事にした。

ストーリーは、娘二人と夫のいる女性カメラマンが主人公。紛争地域などに出かけ名前も知られている写真家で、アフガニスタンでの取材中、爆破に巻き込まれてドバイの病院へ。
家に帰ってくるけど久々の家族の様子になんだか違和感。下の娘はまだ小さいから無邪気だけど、夫も長女も言いたい事を黙ってる風だ。旦那はソファで寝るし。主人公は戸惑い、やがて旦那が、妻が戦場へ行く間に待つ方は辛い、って言うような事を吐き出した。
主人公は、もう行かないと決めてカメラマンをやめる事にする。
さて家族とうまくやろうと努めてきたおかげで旦那ともだいぶ関係を修復し始める。ある日長女といる時にケニアでの仕事を依頼される主人公。安全な場所だと相手は言うが主人公は断る。
話を聞いていた長女は、自分が行きたいと言い出した。今度アフリカの事について発表する事になっているので、現地で取材できたら注目される発表内容になるというわけだ。もちろん母親と一緒に。

結果的には旦那が、ケニアに行くべきだと言ってくれる。
主人公は娘とケニアの難民キャンプへ。
するとその難民キャンプに人殺しのグループがやってくる。逃げようと言う仲間に娘を預けて、主人公はカメラを手に現場へ。

主人公は無事だったものの長女は拗ねてしまい、傷ついてるのか何なのかも言わないで、自分の殻に閉じこもる。主人公が話をしようと言うが、その気もない。

帰国してからも長女はヘソを曲げていて、主人公が話をしようと部屋に行く。娘が難民キャンプで撮った映像を見ていると、娘を預けて主人公が現場へ向かおうとするシーンの映像が出てくる。勝手に娘が撮っていたようで、タイミングわるくもそこへ旦那が入ってきてその映像を見る。旦那はあっちで危険な事があった事を聞いていない。なぜかというと娘が口止めしていたからで、主人公は夫に言う前に娘と話さなければと思って部屋に来たのだった。

その映像見てブチ切れて妻に出て行けて喚く。妻はもう危険な所へは行かないから許してほしいと言うが出ていかされる。

その後長女と会い、話をするが、とても酷い言葉を浴びせられる。
だけど、その後に電話があってあれは本音ではないと謝罪してくる。
主人公は、娘のイベントを見にいく。
そこで、娘は、母親はカメラマンであり、自分よりずっと母を必要としている子供達がいると話す。

娘が理解してくれ、その後主人公は、再び家に戻ってくる。娘達に別れを告げて、夫に気をつけてと告げられて、いざカブールへ向かう。

カブールで、やはり前と同じようにテロを起こす女性らを取材していたら、自爆テロに向かうのは女性ではなく子供だった。子供の体に歩き難いだろうってくらいの爆弾をつけて、車で出て行くテロリストら。
止めなくちゃ、と思い動揺して、仕事どころではなくなっている主人公は恐ろしさとショックとで、ただ車が出て行くのを愕然と見送る。

この映画はこんな感じの話。主に戦場へ出て行くカメラマンの主人公と家族との関係がメイン。

ちゃんとカブールで撮ってるのが最高級。多分しっかりとはモロッコなどで撮ってるのだろう。

実際に監督の自伝のような作品でもあるとの事だ。自分が紛争地へ行く事で家族にかける負担を考えているそうだ。ちなみに監督は男性。

音楽、特にエンディングが相当やばかった。

今回の作品ではアフガニスタンの女性らが、または子供が自爆テロをおこなう。

先に言っておくべきは、アフガニスタンでは、国を良くしたくて命懸けになって努力している女性らがいるという事。
なぜ命懸けになるかというと、タリバンが、女性が権利を求めるとか許さないからだ。

軽く触れておく。

アフガニスタンでは、ソ連との戦争後(戦時の話は端折るが、ソ連には勝った形)軍閥による戦闘が続き、そこにタリバンが登場し軍閥らと闘った。タリバンは何せパキスタンのバックアップもあり、勢いまして軍閥を追い込み首都を制圧。当時の大統領を殺し晒し者にして政権を担い始めた。

信じがたいが、政権を担い始めた。
国として認められるには、国際社会がタリバン政権を認めなくては話にならない。パキスタンなど数ヶ国が認めたけれど、他は認めなかった。
タリバン政権は、自分たちの理想とする社会を実現する事にした。
動物園の動物たちを殺しまくり、サッカー広場を公開処刑の場とし、女性に教育と仕事をやめさせた。さらにバーミヤンの仏像遺跡を破壊し、音楽や子供たちの遊びも禁止した。
歪んだ宗教の捉え方を人々に押し付けていった。

アメリカが911のとき、アフガニスタンに戦争を仕掛けて、タリバンらは去っていったかに思われたが今は前より増えている状態。

だから命懸けで闘う女性らもいれば、自爆テロをおこなうテロリストもいるというような状況になっている。

実際にちょっと前には、父か兄かに強要され自爆テロをさせられようとした子供が助かっている。

主人公は、首都カブールへ行き、テロリストらを取材して、テロに巻き込まれドバイに運ばれたのだ。

この映画は、ジャーナリストの使命は?戦地とは?
とか言うよりも、主人公が、何をするべきだろうと言う映画でもある。家族のために戦地での取材をやめるのか、それとも家族に何とかして理解してもらいカメラマンを続けるのか。

待つのが辛いと夫は言う。その通りだろう。なんで行くんだと怒りたくもなるだろう。疲れもするのだろう。

だけど、アフガニスタンという土地が何年も忘れ去られていたように、彼女に伝えて欲しいと思ってる人達は忘れ去られる。

誰もかれもがカメラマンになれるわけではない。誰でも紛争地へ行けるわけじゃないのだ。危険なところへはもう行かないなんて言葉を妻に言わせるのは、本人がその逆だと思っていても、ひどいことだ。奥さんを籠の中の鳥にすることになってしまう。

家族の様子が描かれているの見ながら
色んな立場もあるんだろうな、と思いつつも率直にはこう思った。長女は思ったことも言わず傷ついてるし、夫はマジで面倒くさいし、本当にうっとおしいなって。ごめん。こういってしまったら元も子もないけども。でも最後に長女が理解しようとしてたあの姿は本当に立派だ。

この映画を見るとき、あたしはちょっと買い物に行ってテロにあうこともなく暮らしている場所で、のんびりと画面に向かう。それは本当に有難い事なのだなと改めて思わされる。

行く人が居て初めて知る事が出来る。
見捨てられ、気づいて欲しい人達のことを。だからジャーナリストが危険な場所へ向かう事を、安全な場所から見てるだけの人間が批判する事など出来ないし、あたし達がアフガニスタンと聞いて、最初に危険なイメージを抱くのも、情報があるからだ。

アフガニスタンで起きてる事は他人事だろうか?
東日本大震災で最貧国でありながら日本に寄付をしてくれている国だ。仏教が関係する土地でもある。バーミヤンには巨大なブッダの遺跡がある(一部破壊されている)。
日本人のボランティアが活躍して、中には心無い人間に殺されてしまった人もいる。

アフガニスタンではケシの栽培が問題になっていたり、仕事のない事が問題になってたりもする。他にも色んな課題がある。

でもこの間の選挙では、選挙に行くと殺すと言うタリバンから殺害予告を受けながらも多くの人が投票へ行った。国を良くしたいからだと言って。

アフガニスタンの子供達がみんな平和に学校に通えるようになる事は、国際社会が全力を挙げても不可能な事だろうか。それはないと思う。

主人公はアフガニスタンから、アイルランドへと帰国してくる。そこは緑豊かな別世界で海や景色が本当にきれい。
でも主人公は、帰ってきて喜んでいるわけではない。そうなら始めから行くはずもない。家族に会えて嬉しい気持ちはするだろう。だが、主人公がカメラを持つのは怒りを感じるからだ。別世界にいれば、それはやり場がなく、怒りはたまり続ける。

その怒りは家族には癒せない。

ラストを見て、誰もが怒りを覚えるに違いないと思う。子供にさせようとしているのは、ただ なんの罪もない人たちを殺させる行いで、それ以外に意味はない。

車は出て行く。見送る主人公。

車は出て行く。
テロリストを乗せた車は世界のどこかへと出て行く。

あたしたちはニュースでそれを見る。
他人事では決してない。
他人事としている間はなくならない。
争いがなくならないと思ってる人が多いほど、なくならない。

伝える人がいることへの感謝を感じる。
知ったこの怒りを無気力に変えず考える力にしたい、そう思った。