こちらの続きです。
ヤフオクで購入したコンプレッサーが届いたので交換しました。
コンプレッサーの交換
コンプレッサーを取り外す為にはプーリーにかかっているベルトを外さなければいけません。
ベルトのはずし方は車種によって異なります。
私の車はオルタネーター(発電機)でベルトの張りを調整しているのでオルタネーターの取り付け部分を緩めてベルトを外します。
まず、オルタネーター下側にあるボルトを17mmのソケットレンチで緩めます。
手が入りにくい場所なので木材をソケットレンチの柄に当ててハンマーで叩いて緩めました。
次に上側にある固定ボルトを12mmのソケットレンチで緩めます。
次はベルトの張りを調整しているボルトを緩めるのですが、戻した時に張りが同じになるように調整ボルトがねじ込まれている金具と長穴が開いている金具にマークをしておくと楽です。
私は調整ボルトのナットに入る側にマークをしてしまいマークが消えて役に立ちませんでした。
戻した後に張りが足りずに始動時にベルト鳴きが発生して慌てました。
幸い、緩める前の画像を撮ってあったのでねじ山の数を数えて同じ状態に戻すことが出来ました。
調整ボルトを緩めたらベルトを引っ張りながら横にずらしてコンプレッサーのプーリーから外します。
コンプレッサーに取り付けられている配管を外します。
取り出しの邪魔になるので黄色の矢印を付けた冷却器(コンデンサー)につながっているゴムの配管は冷却器側も外してエンジンルームから取り出しました。
配管にゴミが入ると故障につながるので養生テープを貼って保護します。
コンプレッサーは上側1本、下側2本のボルトで固定されているのでそれぞれ取り外します。
交換するコンプレッサーを取り付けてベルトを掛け、張りを調整してオルタネーターを固定します。
配管を取り付ければ交換作業は完了です。
冷媒の充填
コンプレッサーの交換作業で配管とコンプレッサーの中は空気が入った状態です。
空気が混入していると効きが悪くなってしまうので一旦、真空にする必要があります。
冷媒充填用のホースでは真空引きする事が出来ないので改造しました。
圧力計を取り外して真空引きのポートを追加する作戦です。
使った部品はこちらです。
①R134a エアコン ガス チャージ ホース メーター付
②新潟精機 BeHAUS ニップル PTチーズ 同径 R1/8xRc1/8xRc1/8 N-611
③小型ワンタッチ継手 適用チューブサイズ:6mm ネジサイズ:R1/8
真空ポンプ側にも使うので2個必要です。
10個入りなので8個余ってしまいますが、仕事でも使っているPISCO製を使いました。
こちらを2個の方が安いのと無駄が無くて良いかもしれません。
④チューブ 6mm x 4mm 3 m
⑤ハンドバルブ ユニオンストレート 3方弁タイプ
2方弁タイプでも良いのですが、真空ポンプを止めるときに真空側を大気圧に戻す「リーク」という操作が必要なので3方弁タイプにしました。
2方弁タイプの場合はバルブを閉めてから真空ポンプを止めた後、真空ポンプ側のチューブを引き抜きます。
まず、スパナやモンキーレンチを使ってエアコン ガス チャージ ホースから圧力計を取り外します。
接着剤(液体シール剤?)で固定されているので少し力が要ります。
そこにPT1/8(R1/8、Rc1/8)ねじのチーズを取り付けるのですが、中国とはねじの規格が違うのか、かなりゆるゆるでした。
仕方がないのでシールテープを多く巻いて無理やり取り付けました。
チーズの一方に外した圧力計にシールテープを巻いて取り付けました。
こちらはちょっときつめでしたがなんとか入りました。
チーズのもう一方にPT1/8ねじのついた6mmチューブ用のワンタッチカップリングを取り付けました。
6mmのチューブにバルブを取り付けた物をつなぎその先に真空ポンプをつなぐ事で真空引き可能になります。
勤務先に真空ポンプが有りましたので使わせていただきました。
真空ポンプには色んな種類があります。
中には弱いものもありますので注意が必要です。
現在使われている圧力の単位はPa(パスカル)で1気圧は1013 hPa(ヘクトパスカル)=101,300Paです。
古い単位としてTorr(トール、トル)があります。1気圧は760 Torrです。
エアコン用の真空ポンプに必要な性能を調べて見ると1000マイクロとかいう数字が出てきました。
単位がないので何の事かわかりません。
パスカルだとするとかなりの高真空です。
Torrにしても結構な高真空です。
Torrは水銀柱の高さをmmで表したものです。(1気圧の水銀柱の高さは760mm)
Torrではなく水銀柱の高さを意味しているのかなという感じがしました。
昔は水銀柱の高さ1mmの圧力を1mm Hgと表現していたこともありましたので1000マイクロは1000マイクロメートルHgということなのでしょう。
1000マイクロ、つまり1000マイクロメートルHgであれば1mmHgですので1/760気圧になります。
空気が残っていたとしても冷媒に対して1/760以下(冷媒は低圧側で2気圧程度なのでさらに半分以下)になるので影響は少ないと思われ、おそらく間違っていないと思います。
この条件を満足できる真空ポンプはロータリーポンプ(油回転ポンプ)です。
1段タイプと2段タイプが有りますが1段タイプで十分です。
本格的なものは3万円以上しますが、中国製の安い物ならネット通販で7,000円ほどで購入出来ます。
ただ、接続口がフレアと呼ばれる先を広げた銅管などを接続するタイプになっているので上記のような6mmチューブに変換するのが大変かもしれません。
いっそ、真空引きもできるチャージホースとセットになったものを入手したほうが簡単です。
初期不良の物もありそうなので考えどころですね。
メルカリやラクマなどで中古品を手に入れるのも良いかもしれません。
使用実績があれば使えるはずですし中古なので安価です。(出品者の良心に依存します)
売れてしまっていますが、中には7,000円で出品された方もいるようです。
メルカリで「真空ポンプ エアコン」で検索すると出てきます。
現時点では10,000円で出品されている方がいます。
メルカリは紹介キャンペーン中ですので使ったことが無い方は下記の招待コードを使っていただくと1,000円分のポイントがもらえますのでご検討ください。(8/31まで、私も1,000円分のポイントがいただけます。)
メルカリ招待コードは「VBYTYW」です。
充填する冷媒も必要です。
私の車の規定量は360gでしたので200gの2本セットを購入しました。
冷媒充填用のホースに冷媒の缶を接続します。
きっちり締めこまないとねじ込み部分からガス漏れしますので止まるまで強めに締めこみます。
このとき、冷媒の缶に穴を開ける為の針を抜ける方向いっぱいに回しておかないと冷媒の缶に穴が開いて冷媒が漏れてしまうので注意が必要です。
右は使用済みの空になっている缶です。
未使用のものは真ん中の穴がありません。
接続する部分は灰色のゴム状の樹脂で覆われていて漏れ防止になっています。
チャージ ホースの針をいっぱいにねじ込んでおくと針とこの樹脂で気密が保たれているようでガスはほとんど抜けないようです。
もし、間違って針を出したままねじ込んだ場合は急いでそのままねじ込んでさらに針をねじ込むとガス漏れが止まるので何とかなると思います。
エアコン配管の低圧側のカップリングに冷媒充填用ホースを接続し、真空ポンプを配管に繋いで真空引きしてみました。
15分程真空引きしてバルブを閉めて様子を見ます。
ここで圧力計の針が上がって来るようではどこかで漏れています。
15分程しても圧力計がかわらないことを確認しました。
圧力計の目盛りは正確ではありませんのであくまでも目安にします。
内側の黒い文字の0が大気圧、針がさしているところは1mm Hg以下です。
緑色部分に白い文字で「76」とあるのは1気圧に対して-76cm Hgということのようですが、ガス漏れ(リーク)が無ければ十分到達できる真空ポンプを使いましたので、どう見てもずれています。
壊れていたコンプレッサーでも真空引きしている分にはそれほど漏れはありませんでしたので冷媒を入れて見ることにします。
念のため、もう一度真空引きをしてバルブを閉め、真空ポンプを止め、真空ポンプの真空側を大気圧に戻します。(リーク)
冷媒の缶に差し込まれる針を止まるまでねじ込むことで冷媒の缶に穴が開きます。
上述したようにこれだけでは針と缶の樹脂で気密が保たれているためガスは出てきません。
そこからゆっくり針を抜いて行くとガスが流れる音がします。
少しガスを注入してから針をねじ込んで一旦ガスを止めて、漏れている音がしないか確かめました。
修理前のような音はせず、また、圧力計の針も動かず、漏れていないようなので再び針を抜いて冷媒を充填しました。
まず、エンジンを止めた状態で200g缶1本を充填しました。
冷媒の缶の中は液体になっています。
液体から気体になるときに周りの熱を奪うので缶が冷たくなります。
気温が高く湿度も高かったので霜がついて液体の状態の残量がわかりました。
缶が冷たく無くなったら液化している冷媒が無くなったことになります。
1本目が空になったので、一旦、低圧側のカップリングから充填用ホースを外して空になった缶を取り外します。
忘れないように缶を破る針を引っ込めて2本目の缶を取り付けます。
1本目同様に缶を破る針をねじ込んで缶の出口を破ります。
ゆっくり針を抜いて行くとガスが出てくる「シュー」という音がしますので少しガスを流してホースの中の空気を追い出しながら低圧側のカップリングに接続します。
エンジンをかけ、エアコンの風量最大に、エアコンをONにしてコンプレッサーを動かします。
充填用ホースの針をいっぱいに抜いてガスを充填します。
この段階でエアコンの吹き出し口から冷風が出ていました。
私の車のエアコンは冷媒の規定量が360gでしたので1缶と3/4缶でほぼ規定量になります。
冷媒の缶の重さとホースの重さを量っておいて重さを量りながら入れるのが最適です。
高圧側の配管(細い方)にサイトグラスという冷媒を確認するための窓があります。
エアコンをフル稼働させた状態でこの窓の中に泡が大量にある状態は冷媒不足ということのようです。
わずかに泡が見える程度が適量ということになっています。
右側に泡があるのがわかります。
蛍光剤入りオイルを注入していたので蛍光剤の緑色になっています。
蛍光剤を使ってなければ無色透明の液になります。
規定量の冷媒注入後はよく冷えるようになりました。
2週間経過した段階で冷え方に変化がありませんので漏れているところはなさそうです。
今回の修理では配管部品やバルブコア交換用工具など、必要なかったものを買ってしまいましたので余計な出費(5,000円ほど)をしてしまいました。
本当に必要だった部品等の金額はもともと持っていたガス チャージ ホースを除いて16,000円ほどです。
一番高かったのがコンプレッサーの9,400円(送料込み)です。
真空ポンプを買っていたら接続口の変換を含めて25,000円ぐらいになっていたと思います。
それほど大変な作業ではなかったので機械いじりができる方はチャレンジしてみても良いのではないかと思います。
作業時間は2時間ぐらいでした。
一昨日、次の点検の日程調整の電話があり、エアコンの話が出て、自分でコンプレッサーを変えたと言ったら営業担当の方にあきれられてしまいました。
ブレーキなどと違い安全性に影響のないところに関しては自力修理でも問題ないはずなのでこれからも続けてゆくつもりです。