□作品オフィシャルサイト 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
□監督 デヴィッド・フィンチャー
□脚本 エリック・ロス
□原作 F・スコット・フィッツジェラルド
□キャスト ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン、
ジュリア・オーモンド、エル・ファニング
■鑑賞日 2月14日(土)
■劇場 109CINEMAS川崎
■cyazの満足度 ★★★★(5★満点、☆は0.5)
<感想>
ある男の数奇な人生。 それは168分の中に静かに叙情的に凝縮されていた。
生まれたときがまるで80歳の老人に見える赤ちゃん、ベンジャミン・バトン(ブラッド・
ピット)。 この世に生を受けながらも実の親にはあまりの醜さから捨てられてしまい、
老人施設で黒人女性に助けられ育てられる。 そして彼は6歳の少女デイジー
(ケイト・ブランシェット)と出会う。 不思議に彼女とは気が合う。
そして彼にとっても彼女にとってもかけがえのない愛しい人となる。
バトンはどんどん若返っていく。 ハンサムでたくましくなったバトンと、バレエダンサーに
成長したデイジーは、同じ年代で再会し、恋に落ちる。 しかしながら彼は、普通でない
バトンのデイジーの将来を悲観し、デイジーの幸福を願って、自ら別れを告げ旅に出る。
ブラピとケイト・ブランシェットは過去『バベル』で共演している。 特に感じたのは
ケイトが今までの作品の中でも秀でて美しいと思った。 バレーダンサーという設定も
そうなのかもしれないが、ちょっとクラッと来てしまった。 一方のブラピもどんどん若く
なっていって、20歳前後の前髪を下げた顔はまさに『テルマ&ルイーズ』でスーザン・
サランドンとジーナ・デイビスに甚振られていた(笑)ときの顔にピッタシ。
彼が若返っていく際の衣装も美術監督は40年代はゲイリー・クーパー、50年代は
マーロン・ブランド、60年代はスティーブ・マックイーンをイメージ(参考)にしたそうだ。
そして撮影場所もあのカトリーナ(ハリケーン)被害から復興途中のニューオーリンズ
だったとか。
どんどん若返っていくと最後は母親の胎内にとオチを先読みしながら観ていたのだが、
結局デイジーの腕の中で逝く。 この当たりは二人の運命とも言えるオチが用意されて
いた。 デイジーの娘役をジュリア・オーモンドが演じていたが、彼女を初めて見たのは
ハリソン・フォードと共演した『サブリナ』だった。 この映画はそもそもヘップバーン映画の
リメイクだったが、ヘップバーンとはまた違った魅力があったと感じた。 彼女を観るのは
久しぶりのような気がするが、結構老けた感は否めないが当時彼女は30歳だったが
年齢より若く見えた。
人生の、過ぎ去った時間は巻き戻すことは出来ない。 しかしながらこのある意味、
逆説的な人生の捉え方は、その人生のただ生き抜いた時間の長さではなく、生きている
時間の濃さと満足いく人生の送り方が出来ているかどうかなのだと、遠まわしに警鐘を
鳴らしているようにも思えた。 たとえばそれはニュアンスの違いこそあれ、昨年の
洋画ベスト1に挙げた『最高の人生の見つけ方』や直近に観た『ヘブンズ・ドア』の
ように。
まだまだ人生半ばだけれど少し自分の生きたここまでの人生のこの映画に合わせて
巻き戻してみたような気がした。
最後にクイニー役のタラジ・P・ヘンソン。 彼女は実の母親ではなく言わば育ての親
なのだが、この映画ではさりげなく要所要所を締めていたように思った。
彼女が第81回アカデミー賞の助演女優賞に選ばれたことには納得のいくところだ。
余談になるが、この映画を観て昨夜観直した映画がある。 それは『きみに読む物語』
だ。 自分自身が年齢を重ねて、何年かに一度観直してみたい作品の一つで、その
タイミングがこの『ベンジャミン・バトン~』を観た後だった。 この映画、2005年の
2月に劇場で観たのでちょうど4年前、意外に早く観直したものだ。
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年代のあらわし方は、とっても納得いって、よかったですねぇ。
ブラピとブランシェットは「バベル」の共演で、「セブン」と「ファイトクラブ」は違うと思うのですが・・・。出てましたっけ?
>数奇ではありましたが、人生を生きるうえでは、表面上年とっていこうが、若返っていこうが、同じだろうな・・と改めて感じたしだいです。
なるほど^^
最後は若いのに認知症でしたもんね(笑)
>年代のあらわし方は、とっても納得いって、よかったですねぇ。
幼年期ははしょられ気味でしたが・・・。
>ブラピとブランシェットは「バベル」の共演で、「セブン」と「ファイトクラブ」は違うと思うのですが・・・。出てましたっけ?
すみません、勘違いでした。 訂正しておきましたm(__)m
何らかの思いを巡らせられる、
そんな作品ですよね。
ミルクより葉巻ですからね。(笑)
生まれていきなりしゃべりだすし。
かろうじて映画とかぶってたのは
おもちゃの兵隊で遊んでたこと・・かな。
大学へも行くし兵役志願もする。
何より家族と住んでいる。ここびっくり。
もちろんそのために起こるさまざまな問題が
彼にふりかかるわけですが
けっして結婚生活は甘いラブストーリーでは
なかったようで
映画のほうがロマンチックでした。
>生きるということに対して、何らかの思いを巡らせられる、そんな作品ですよね。
そうですね~ 不思議な逆周りの“生”ですが、見た目だけで精神は普通の人生のようです。
>原作はマジでジーちゃんからスタートしてミルクより葉巻ですからね。(笑) 生まれていきなりしゃべりだすし。
へぇ~、そうなんですか(笑)?
>かろうじて映画とかぶってたのはおもちゃの兵隊で遊んでたこと・・かな。
なるほどねぇ(笑)
>けっして結婚生活は甘いラブストーリーではなかったようで映画のほうがロマンチックでした。
そっか^^
じゃあ原作を読まないでもいいかな(笑)
とんでもない発想から導き出した結果が、あの”きみに読む物語”と同じだなんて。
最近見た映画のなかでは、一番魅力的だったと思います。
>見終わって時間がたつほどに、味わい深くなっている物語です。
そうですね^^
>とんでもない発想から導き出した結果が、あの”きみに読む物語”と同じだなんて。 最近見た映画のなかでは、一番魅力的だったと思います。
発想の割には全編が静かに流れ、その部分でも「きみ読む」と共通している部分がありましたね^^
80歳の老人の姿で若返っていく。
奇抜なストーリーながら、
この世に生まれ、人生の折り返し、
そしていつかは誰しも訪れる死
自分の人生を思わず振り返ってしまう…
そんな映画でした。
老いたくないですね…
時間が戻せたらいいのに…
>奇抜なストーリーながら、この世に生まれ、人生の折り返し、そしていつかは誰しも訪れる死 自分の人生を思わず振り返ってしまう…そんな映画でした。
ただ老人の風体で生まれたけれど、内面は普通なんですよねぇ^^
>老いたくないですね… 時間が戻せたらいいのに…
それは誰しも臨むことでしょうね~