200×年、世界は闇に満ちた。
太陽が爆発した訳でも巨大な雲が日光を遮るわけでもなく世界から輝きが失われたのだ。
嘆く人々。
それを追い打つかのように空から巨人が現れた。
「さぁ対価を払って貰おうか」
巨人は当然の権利を主張するように言った。
人々は反論した。
突然現れ私達を絶望させ何が対価だと。
巨人は不愉快そうに答えた。
「私の主張はお前達の価値観を照らし合わせても何の問題もないものだ」
「確かに私達の世界にも立退き料という勘定はありますが
いきなり現れて居座り金を出せというのは明らかに不法です」
巨人は更に不愉快そうに言った。
「私が要求しているのは立退き料ではなく光熱費だ。
お前達の書物にもちゃんと記録されているだろうが。
『地は混沌であって、闇が深遠の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた』
巨人は人々からあらゆる種類の財産を没収すると満足気に笑った。
「中々の実入りであった。さて・・・次はどの世界を照らすとしよう」
その言葉を聞く者は既になく人々は悲嘆の内に母なる闇へと還っていった。