何もない部屋に私はいる。
窓もない。ドアには頑丈な鍵がかかっている。
どのような仕組みか周囲からは一切の音が遮断されている。
家具は椅子一つなく
当然ながら心を楽しませる絵画や
好奇心と知識欲を埋める為の書籍もない。
思考も鈍い。
ここに入る前に飲まされた薬によって頭を使う事は禁止されている。
何もない。
ただゆっくりと苦痛な時間が過ぎていく。
何かしたい。
何でもいい。
とにかく何かしなければ気が狂ってしまう!!
部屋に入ってから2週間が過ぎた。
ドアの鍵が外され男が入ってくる。
「いかがでしたか?」
「気が狂いそうだよ」
「仕方がありません。こうやって適度にリセットをしなければ人は
膨大な娯楽にもやがて飽きて退屈で死んでしまいます」
「平均寿命が延びるのも考えものだな」
「全くです。あなたがこの部屋に入ってる間にまた新薬が発明され寿命は更に500年延びたそうですよ」