Charlie ParkerのBillie's Bounceを解説します。
前回までで基音と対比音で音列が構成されているというモード的なフレーズを説明
してきましたが今回は今までのモード的な横の流れに対し、和音的な縦のサウンドの
話になります。
上の楽譜の最後の段はビーバップでよく使われる「2度5度」のフレーズです。
これを右のように1オクターブ上がった部分を元に戻すと右のようになります。
「B」から「A」に下降する音列で最後は「B・G#・A」と「B・G#」は「A]の装飾音に
なっています。元のフレーズでは「B・G・G#・A」と「G#」は経過音になっています。
次の譜面では元のアドリブとそれに使われている経過音や装飾音の部分を分離して表しています。
赤丸で示していますが多少、おおざっぱなところがありますがご理解をお願いします。
まず見ていただきたいのは、コードトーンからコードトーンへの経過音です。
1小節目のように「D]からスケールの「E」半音上の「E#(F)」を経過音にしてコードトーン
「F#」次は「G#・G・G#・A」と同じように経過音が使われています。半音階は基本的に
無調ですので2音のコードトーンの間を全て半音階で埋めてもコードのサウンドに影響は
ありません。3小節目の「E・F・E」は「F」は「E」の装飾音で「E」は「D」の先行音
で倚音と言います。ここではコードトーンに対して上からアプローチする音です。
次の「C」は「D・C・D」という音列の装飾音ともとれますがここでは「C」は
対比音にしました。楽譜では原曲、装飾音、それらを取り除いた主要音となっています。
ここで分かることは、経過音はスケール音が基本で、経過音の次に来るコードトーンの
あいだが全2度であればそこに半音の音が挿入できる。
3小節面のようにコードトーンに対するアプローチ音(E)で、このアプローチ音に対し
ても装飾音を付け加えることができる。
次の楽譜でも1小節目の経過音、2小節目の装飾音、3小節目の先行するアプローチ音。
4段目では1,2小節目でブルーノートが使われています。ここでの「A♭」は「G・A♭・G」
ですが、その前の「D・F」のマイナーサウンドがあるのでより強くブルース感が出ています。
1小節目の「A♭」が「A♭・F・休符」となっていると次の「G」に対する対比感がでるの
ですがここでは「G」の装飾音で、2小節目の「G・A♭・G」でもう一度、装飾音だと
念押ししています。ここでは「F」はブルーノートでモード的な基音単位とはなっていません。
「D・F」の次に「E・G」とか「G・C」などで強い対比を表すフレーズがあるモード的
となる可能性はある。
次の楽譜でもほとんどはこれまでと同様でコードトーンに対して先行するアプローチ音や
修飾音、経過音で説明できます。
段目の16分音符のフレーズも同様に説明できます。
1小節目の「D#」は次の「E」への半音のアプローチ音、次は「Em」のコード、
次の7thの「D」から「D・C#・B・G・F#・E・D・C#」と次の小節まで続きます。
ここでスケール音「C#」に対して「B・B#・C#」「B」に対し「A・A#・B」とアプローチ
音でスケールに変化を付けている。
ここまでで気が付いた人もいると思いますがフレーズはほとんどの場合コードトーンに
対して作られていることです。到達点はコードトーンです。コードトーンからコードトーンへ
その間を経過音がスケール音で半音階でつなぐ。経過音やアプローチ音にも修飾音が付き。
アプローチ音にアプローチ音を付けるなど単調になることをさけている。
今回は音の一つ一つよりも上の3段に分かれた楽譜の音型で見ていただきたい。
実際に2段目の修飾音やアプローチ音だけで演奏してみたり、3段目の主要音だけを演奏
してみてください。
マイルス・デイヴィスはインタビューで「必要な音だけを演奏したいんだ!」って言って
いるのを聞いたことがあります。ユーチューブで見たことがある人もいるかもしれません。
モード的な場合はスケールの基音単位と対比単位をいう二つのくくりを自由にどの音へも
いきます。 コードは曲の流れを作っているだけで旋律に対して干渉し来ないのが基本です。
もちろんコードに対して対応することもありますがそれが多発するとモード的から逸脱し
てしまいます。曲中のきっかけや仕掛けは決め事ですからこの範疇ではありません。
コード的な場合は常にそこ瞬間にコード音があり、その音に対して何をするかということ
を考えます。
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