アカデミー賞受賞作品の「おくりびと」が昨日ノーカットで地上波初放映された。
受賞時に何度も何度も見た場面が意外にあっけなかったなと。
1800万もするチェロを買いながら、楽団が解散して妻と母の残した家のある故郷に帰った主人公が「納棺師」という仕事と知らず就職した物語。
最初は及び腰であるがいろいろな人の最期の送り支度をしながらやがて、静謐なものに満たされていく彼の心の変化が描かれる。
仕事の内容を言い出せない妻に知られて、実家に帰られてしまう。
「いや、さわらないで」という妻の言葉は「死んだ人を触った手で」という気持ちがあるのだろう。わかる気もした。
やがて、6歳の時に母と自分を捨てた父・・河原で「石文」ということを教えてくれた父の死を知る。
一緒に出た女と暮らしていると思っていたのに、ずっと一人で港の番小屋で暮らしていたという父・・
荷物の中にあった母の住所宛てに来た電報で、父の死を知るが絶対いかないと言い張る主人公。焼く前にあってあげてと懇願する妻。
余貴美子演じる昔6歳の子を捨てたという事務員の懇願や妻の気持ち、好きな棺おけを持って行けと車のキーを投げる山崎務演じる社長。
妻と駆けつけた番小屋には、顔も思い出せない父親が粗末な布団に寝ている。
やがて、葬儀屋が来て尊厳も感じられなく粗雑に扱うのをみて思わず手を払いのける。
怒る葬儀屋に、妻は「夫は納棺師です」ときっぱりという。
そして父の身体を清め始めると、父の固く握られた掌にはその昔、彼が河原で父に渡した白く丸い優しい石が握られていた・・・
彼にはそのとき、記憶のそこから父親のその時の顔が浮かび上がってきた。
彼の流す涙・・その石で一瞬にして父親を許せたであろう。
そしてその石を父の孫が入っている妻の腹にそっと押し当てた。
私が一番心に残ったのは、主人公の同級生の、たった一人で銭湯を守ってきた母親の死に際し、その銭湯に何十年も通っている老人の言葉だった。
『クリスマスを二人で一緒に過ごした、その時に一緒に「銭湯やろうよ」といわれたのは、こういうことだったんだ』と。彼は火葬場で遺体を焼く仕事だったのだ。
長い間、こういう仕事をしてきて自分は「死は終わりではない。門なのだ。ここは違うところに行くためにくぐる門なのだ。」スイッチをONするときに、「また会おう」とつぶやく。
そっか。門か。またいろんな人に会えるんだよね。
本木くんは元々演技力には定評がある。この映画は彼だからここまで成功したかと思う。
でも少し残念は、妻役の広末は・・彼女はいつも同じような演技。ミスキャストに近いかも。山崎は年の功かなかなか良かった。
それにもまして、一番の主役は、バックの山々、自然の美しさ、季節の移ろいかもしれない。
受賞時に何度も何度も見た場面が意外にあっけなかったなと。
1800万もするチェロを買いながら、楽団が解散して妻と母の残した家のある故郷に帰った主人公が「納棺師」という仕事と知らず就職した物語。
最初は及び腰であるがいろいろな人の最期の送り支度をしながらやがて、静謐なものに満たされていく彼の心の変化が描かれる。
仕事の内容を言い出せない妻に知られて、実家に帰られてしまう。
「いや、さわらないで」という妻の言葉は「死んだ人を触った手で」という気持ちがあるのだろう。わかる気もした。
やがて、6歳の時に母と自分を捨てた父・・河原で「石文」ということを教えてくれた父の死を知る。
一緒に出た女と暮らしていると思っていたのに、ずっと一人で港の番小屋で暮らしていたという父・・
荷物の中にあった母の住所宛てに来た電報で、父の死を知るが絶対いかないと言い張る主人公。焼く前にあってあげてと懇願する妻。
余貴美子演じる昔6歳の子を捨てたという事務員の懇願や妻の気持ち、好きな棺おけを持って行けと車のキーを投げる山崎務演じる社長。
妻と駆けつけた番小屋には、顔も思い出せない父親が粗末な布団に寝ている。
やがて、葬儀屋が来て尊厳も感じられなく粗雑に扱うのをみて思わず手を払いのける。
怒る葬儀屋に、妻は「夫は納棺師です」ときっぱりという。
そして父の身体を清め始めると、父の固く握られた掌にはその昔、彼が河原で父に渡した白く丸い優しい石が握られていた・・・
彼にはそのとき、記憶のそこから父親のその時の顔が浮かび上がってきた。
彼の流す涙・・その石で一瞬にして父親を許せたであろう。
そしてその石を父の孫が入っている妻の腹にそっと押し当てた。
私が一番心に残ったのは、主人公の同級生の、たった一人で銭湯を守ってきた母親の死に際し、その銭湯に何十年も通っている老人の言葉だった。
『クリスマスを二人で一緒に過ごした、その時に一緒に「銭湯やろうよ」といわれたのは、こういうことだったんだ』と。彼は火葬場で遺体を焼く仕事だったのだ。
長い間、こういう仕事をしてきて自分は「死は終わりではない。門なのだ。ここは違うところに行くためにくぐる門なのだ。」スイッチをONするときに、「また会おう」とつぶやく。
そっか。門か。またいろんな人に会えるんだよね。
本木くんは元々演技力には定評がある。この映画は彼だからここまで成功したかと思う。
でも少し残念は、妻役の広末は・・彼女はいつも同じような演技。ミスキャストに近いかも。山崎は年の功かなかなか良かった。
それにもまして、一番の主役は、バックの山々、自然の美しさ、季節の移ろいかもしれない。
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