嵐の最新シングルについて簡単な感想を書いておきます。
Twitterで呟いた以上の話は出てこないかと思いますがご容赦いただければ幸い。
嵐
「君のうた」
2018/10/24リリース
ジェイ・ストーム
JACA-5759~5760(初回限定盤)
JACA-5761(通常盤)
なお、個人的な音楽的趣味に基づいた感想ですので、その辺りは斟酌してくださいませ。
タイトル曲については可もなく不可もなくといった感じ。前シングルに引き続きドハマリする要素は薄いです。このタイプのミドルチューンとしては「Everything」という金字塔が存在する為、よほどチャレンジャブルにやらないと更新できない気がします。
しかしながら、明確に更新されているのは彼らの歌の説得力。楽曲としては凡庸と感じてしまっても歌の力がある程度はなんとかしてしまっている。
さて、ここ数年の嵐の真価はカップリングの充実度の高さ。今回のシングルも素晴らしいです。
通常盤のM2「Sky Again」はいかにも嵐らしいゴージャスなサウンドが堪能できるCMソング。ソロパートとサビのユニゾンが最早伝統芸の域。安定の1曲。
とんでもないなと思ったのは他の3曲。すごいクオリティです。攻めてるのにちゃんとポップスに着地させてる。
初回のM2「White On White」は荘厳なストリングスからジャジィスロウな歌い出しで一瞬“おっ!?”と思わせてから弾けるウインターグルーヴ。スリリングで切れ味鋭いストリングスが実にカッコいい。各人のヴォーカルも成長度合いが素晴らしく、何よりも歌に感情が乗っかってて実に表情豊か。フェイクやハイノート、ビブラート、ファルセット、ハーモニーとスキルも申し分ない。途中にテンポダウンしたパートをもってくる遊び心と余裕が大人の歌を感じさせる。
通常のM3「Fake it」はシンプルなエレクトロトラックに乗せて色気あるヴォーカルが展開するクールな1曲。パーカッシヴなシンセが印象的ですがバックトラックは本当に音を絞り込んだ引き算で作られていて、私こういうのが大好物です。彼らの歌が乗っかる事で華やかに響く、ヴォーカル力を信頼した音作りが成されていると感じるのです。クール&セクシーなヴォーカルの中にほんの少しだけ少年っぽさを感じて好ましく思ってしまうのは私だけでしょうか?
そして一番の衝撃が通常のM4「Count on me」。すごい好きです。素晴らしいです。嵐史上でもベスト10に入るかもと思えるくらい大好きな1曲になりました。強烈なアッパーグルーヴだけど聴き飽きる気がしない(印象が強いアッパーグルーヴは時に飽きやすい時があったりします)のが驚きなんです。隙間の多い音も好きですが、本質的にはこの曲の様なゴージャスなサウンドが好みです。ホーンとストリングスの上モノがダイナミック且つ抑揚が豊か。ブリブリにグルーヴィなベースが全体を支配しつつ、控えめなカッティングが彩りを添える。バックトラックだけで一つの作品として十分成り立つ上に乗せられた、彼らの歌の表現力に抗えるはずもありません。
ニノは安定感に加えて華やかさが強くなり全体のコントロールが見事。相葉ちゃんの歌はファルセットだけでなく地声でも存在感が強くなり、潤くんの癖のある声がものすごいフックの強さを生み出してハモの深みが半端ない。リーダーのヴォーカルは元々素晴らしいですが、周りのレヴェルが上がり続けている事で更に輝きを増している。
で、一番書きたかったのは翔くんの歌なんですよ。初めてこの曲聴いた時に鳥肌立ったのが翔くんの歌で。ラップ以外での彼の歌は素直に実直に発声してて好青年然としていたと感じていたんですが・・・何なんですか、あのバズーカの様な圧の強いハイトーンは。しかも抑揚と表情が実に豊かでゾクゾクする感じになってて。元々リズム感の良い歌い手が発声で覚醒する瞬間を見た様な気がします。リーダーのハイノートはしなやかで美しくフェンシングの剣の様に思うのですが、翔くんのハイノートは空手の正拳突きの様です。真正面から聴き手を撃ち抜く感じ。訳のわからない例えですが。
とにかく、全員の技量が格段にアップして、嵐の歌の厚みが何倍にもなったと思うのです。これだけキャラクター豊かな歌を操る五声の男性ヴォーカル・グループ、そうそうあるもんじゃないです。本当にこの曲をファン以外の人に聴いて欲しい。これだけの曲を送り出したんだから、一人でも多くの人に聴かせる責務があるんじゃないのかと真剣に思ってしまったくらいです(笑)