今年も早3分の1が終わろうという今、嵐の今年第一弾シングルのレヴューを書こうとしています。
昨年の傑作アルバムのレヴュー以来、どんな感じになるのか若干の不安も(苦笑)抱きつつ期待して待っていました。
嵐
「I'll be there」
2017/4/19リリース
ジェイストーム
JACA-5654~5655(初回限定盤)
JACA-5656(通常盤)
タイトルチューンをテレビの音楽番組で初めて聴いた時は「おっ!コレはイイんじゃないの?!」と感じたのです。
アルバム曲やカップリングでは時々あったジャズテイストのアッパーチューンでシングルのタイトル曲としては非常に珍しいタイプだった事もあって新鮮に感じたものです。
ただ、何度も聴いているうちに自分の好みとの微妙なズレが気になる感じになってきて・・・・・結局初聴がピークだったという結果に(苦笑)
もちろん、自分の好みとの乖離という話なのでクオリティ云々の問題ではありません。
圧とキレのあるホーン、控えめながら(特に2番で)軽やかに転がる鍵盤、ベースのリズムも抑揚があって良いです。そのゴージャスな演奏に負けないヴォーカルの圧がちゃんとあります。嵐というヴォーカルグループの実力が本当に解る作りです。
ただ、このタイプのジャズアッパーが少し古臭く感じてしまうのはホントに個人的な好みの問題。
しかし、このシングルはカップリングも含めて全体で考えればメチャクチャ素晴らしい。初回盤のカップリング「Round and Round」と通常盤の「unknown」「Treasure of life」は3曲が全て最高の出来映えです。タイトル曲と全てタイプを変えてて3曲とも名曲という凄さ。コレ、ファンしか聴く機会が殆ど無いのは勿体なさ過ぎると思うんですけどね。
「Round and Round」はキレキレのホーンとグルーヴィなベースラインがカッコ良すぎるアッパーファンク。端正な鍵盤が情緒を加えているのも好きだしシンセソロも効いてます。転調してのサビは、ジャクソンズ「Blame It On the Boogie」のオマージュと思しき仕上がり。実にカッコいいんです、コレ。5人の歌が本当に魅力的に生かされているのが感じられます。
「unknown」は更にオトナの魅力に溢れたアンビエントグルーヴ。それぞれの声質が生きた完璧な歌割、ユニゾンの圧の強さ、このテンポでのRapが醸し出す成熟した色気、これほどの表現力が・・・と驚かずにはいられない一曲。インストゥルメンタルを聴いてみて、そんなに凝ったバックトラックには感じられないんですよ。吉岡たく氏にしてはシンプルだなと思うくらいで。5人のヴォーカルが乗っかった時の華やかに開ける感じが物凄いです。彼らの歌の力を感じられずにはいられない。
そして「Treasure of life」に関してはその歌の力が更に感じられる。凄過ぎてちょっと泣きそうになりましたよホント。イントロのピアノ聴いた時、また感動的なヤツかな?なんて穿った見方しちゃったんですけど(苦笑)サビの破壊力がハンパなかった。こんなフックが強いキャッチーな歌メロだと一歩間違うとクサくなり過ぎてダサくなる可能性もあったと思うんだけど、実に軽やかに気持ち良く上質なメロの髄だけを届ける。Cメロの最後の迫力からラスサビ冒頭のフェイク辺りへの流れ、控えめにしかし存在感を示すエモーショナルなギター、本当に音楽の力で涙が出そうになった。恣意的に感動させる様なあざとさが一切無いのにジーンとしてしまうヴォーカルの表現力に彼らの力をヒシヒシと感じるのです。このタイプの曲は今までも何曲かあったと思うのですが、過去の曲に比べて「Treasure of life」に強く引き込まれてしまうのは、本当に嵐というヴォーカルグループが成長した証だなと思うのです。
これだけの普遍的な良メロを持った楽曲を、ファンでない方々に届ける手立ては無いものだろうか・・・・
そんな事を考えてしまうくらい素晴らしいシングルでした。