BRADIOライヴの余韻覚めやらぬ状況ですが、そんな時にピッタリの心地良さを湛えるアルバムがコチラ。
『Portrait in Rock 'n Roll』
2015/6/10リリース
自主制作盤
UWAN 001
いつもグルーヴチューンのレヴューを主に書いてますが、こーいう作品も実は好き。それは、多分父親が聴かせてくれた60年代ポップスとかの影響があるのかな、と今になって思ってたりする。
とにかく聴いてみて驚いたのは、圧倒的な完成度のナイアガラオマージュである事。そして、それを20代半ばの彼らがやってのける事。
先達に対するリスペクトと抽斗の多さ、そしてメロディやアレンジのセンスの良さがずば抜けている。
ワンアーティストや単一ジャンルに拘って突き詰める聴き方をして、そこから生み出される楽曲を否定するつもりは無いが、私に必要なのは彼らの様な才能の方だ。こんな優れた作品が自主制作で、限られた店舗での販売と通販でしか入手できない状況・・・・・・・昨今のCD販売の事情を思うと、少し寂しくなります。
いえもとめぐみ嬢の、絶妙な加減で引っ掛かりを残す心地良い歌声。
角谷博栄くんのプロデューサー・アレンジャー・コンポーザーとしての圧倒的な才能。
この名盤を支える同世代の俊英たち。
いいプレイヤーが集まって、生楽器の味わいを生かして、大滝詠一や山下達郎や松任谷由実が拓いた道を更に広げていく。先達と同じように、古の財産をきちんと受け継いで、そして磨き上げて。
4曲目の「雨降る部屋で」と7曲目の「Station No.2」が個人的フェイヴァリット。特に「雨降る部屋で」のアルトサックスの音色にシビレまくり。
このアルバムには、この国のポップスの未来があります。
彼らの様な存在がいてくれる事が、日本のポップスシーンの希望の光です。
この作品が一人でも多くのポップスファンの耳に届いて欲しい。そう願って止みません。
なお、詳しい楽曲解説は例によって“Web VANDA”の“ウチタカヒデ氏の記事”をご覧頂くと良いかと。あと、オフィシャルサイトにあるウチ氏によるインタヴュー記事などもご覧ください。