気づいてみれば2カ月以上放置していた・・・・・・・大丈夫か、俺
まぁ、購入する枚数は格段に減ってるし、なかなか書く気になるモノと出会わないってのもあるし、更新が途切れがちになるのは仕方ないかなとも思うのですが(苦笑)
そんななか、久しぶりのエントリーはコチラ。
嵐
『LOVE』
2013/10/23リリース
ジェイストーム
JACA-5373
前作『Popcorn』からちょうど1年でリリースされた嵐の新作は、“LOVE”をテーマにしたコンセプチュアルな作品というコトなんですが・・・・・・・・個人的には首を傾げる出来でした
買ってから何十回とリピートして聴き続けたんですが、スキップしないことが苦痛に感じるくらい各曲の出来に差があるんです。あくまでも主観ですが、コンセプチュアルな仕立てにも係わらず曲の寄せ集め感が強い。
全体的にアッパーな曲が多いのにグルーヴが感じられない。ワクワクやドキドキが少ない。
オープニングの「愛を歌おう」が全てを語っている様な気がして仕方ないんです。何でしょうね、この“お寒い”感じは・・・・・・“ゆず”が“VOJA”をバックにミュージカルでも演っている様で。
2曲目の「サヨナラのあとで」は、「My revolution」が始まったのかと思う様な小室テイストのミドルチューンでフックが無いし。
「P・A・R・A・D・O・X」に関しては、先端のカッコいいモノを作ろうとしているんだろうけど、魅力的なモノになっているとは言い難い。とにかくメロディが面白くないのが致命的。クレジットを見る限り、作詞・作曲・編曲の全てが複数で作られている様だが、船頭多くして船山に登るという諺を思い出してしまった(笑)
翔くんのソロはSteady&Co.や初期ドラゴンアッシュを思い出しちゃうし、ニノのソロは相変わらず確信犯としてハートウォームを演出してるし(笑)、相葉ちゃんはイイ意味で不安定な声を生かせない退屈なスロウナンバーなのが残念過ぎるし、潤くんのソロはジャイヴチューンをアップトゥデートした曲で悪くないんだけどね。
「Rock Tonight」や「Starlight kiss」って、もっと若い後輩グループが歌うべき曲なんじゃないの?特に前者は違和感アリアリで。勢いだけが先走ってる感は否めないな。後者はディスコなんだけどグルーヴが弱い。ディテールが粗い感じがする。
ラストの曲が「Tears」というバラッドなのも、リピートを辛くさせる要因(苦笑)だって、この曲で終わって「愛を歌おう」に戻るんですよ・・・・・・・
ただ、良い曲もありました。「FUNKY」は、ちゃんとグルーヴを感じられるディスコチューン。弦一徹さんの真骨頂である、疾走感を感じさせるストリングスが生きてます。いい意味でベタなフックが強いサビメロも秀逸。小田原豊のドラムと美久月千晴のベースが素晴らしい「CONFUSION」はカッコいいロックグルーヴ。笹木ヘンドリクスの堀崎翔が弾くギターも好きです。
それと、「Endless Game」や「Calling」が非常に良く出来たシングルだったというコトが再確認できました。アルバム中でもクオリティの高さが良く解る。この2曲の流れはホントに好きです。
とまぁネガティヴ気味のレヴューをしてきた訳ですが、このアルバムの価値は4曲目にあります。リーダー:大野くんのソロ「Hit the floor」1曲だけでアルバム1枚分払っても損はしないと思うくらい(笑)
この曲には過去のグルーヴチューンのエッセンスが詰まっていると感じています。ディスコにシティポップのテイストを混入し、コンテンポラリーソウルや初期ユーロビートやフュージョン風味も垣間見える。スティングの「ブリング・オン・ザ・ナイト」やゴスペラーズの「Get me on」、スペクトラムの「ファースト・ウェイブ」、スティーヴィー・ワンダーの「Don't you worry 'bout a thing」といった辺りも透けて見えたり。80年代~90年代のシティグルーヴ(角松敏生とか)をブラッシュアップしているけど、あくまでメロディはキャッチーでフックが強いってのが良いんです。
嵐の魅力ってのは、どんなにカッコよく作ってもパーフェクトにCoolと言い切れない佇まい。だからこそ、ほんの少しのベタな味わいを漂わせるのが要諦だと思ってるので(笑)
それと、いままで語気の弱さを感じていた彼のヴォーカルが、今までになく強く感じられた事も特筆すべきかと思います。
この曲のアレンジはお馴染みの石塚知生ですが、「CONFUSION」も「Calling」も彼。今回のアルバムで彼がアレンジした3曲は全てアタリだったことも付け加えておきましょう。
さて、今回のアルバムの問題点は2つ。
“LOVE=愛”みたいな感情をコンセプトにアルバムを作った時点で、ポップというコンセプトを掲げた前作『Popcorn』を超えられる訳が無いということ。
今回のアルバムのミュージシャンクレジットを見て、参加アーティストの少なさに愕然とした。前作と明らかに違い、生楽器の比率が下がってる。特にドラムが参加している曲が3曲しかない(うち2曲は個人ソロ)のが残念。打ち込みが悪いとは言わないけど、色んなミュージシャンを大胆に使うのもアイドルユニットの長所だと思ってるので、その辺は再考して欲しいかなと。
ポップを極めた前作から、硬質な音に移行するのが感じられた今年のシングルへの流れを見ていて、今回のアルバムは相当クールスタイリッシュな方向に行くかと思ったのですが、少しズレが生じているのかなと感じました。
そういえば、ドリアラくらいからアルバムのクレジットにディレクターの名前が入らなくなった気がします。音楽的な指針を示す存在が見えない事が少し心配ではあります。
それでも前作はイイ出来だったので、なんとも言えない部分もあるんですけどね(苦笑)
ただ、これだけ厳しいレヴューを書くのも期待が大きいからだと思って暖かく受け止めて頂ければ幸いです
今のJ-POP市場で数少ない、良質な楽曲を送り出す存在だと信じているからこそのレヴューだと。