今日の1枚は、本当に偶然に導かれてドハマりした作品。
にげたひつじ
『nigetahitsuji』
2014/2/5リリース
TOWER RECORDS JAPAN
TRJC-1027
このアルバムとの出会いは2月9日。妻と大阪の国立国際美術館へアンドレアス・グルスキー展を見に行った時でした。京都のホテルに向かうまでの時間、梅田マルビルのタワレコで試聴機に入ってたコレを聴いて、2人して“悪くないけど・・・・・・買うまでも無いかな・・・・”などと言っていた(苦笑)
今思えば、それは電車の時間が迫っていたコトもあって、気持ちに余裕が無い状態で耳にしていたコトが多分に影響していたのだろう。その時はレジに運ぶことなく終わる。
次に彼らの名前を目にするのは2月13日。このブログにコメントをくださった“&- (アンドー)”さんのブログを訪ねた時。前日の記事が“にげたひつじ”の前作(過去音源のコンパイル盤ですが)で、2曲の動画が貼り付けられていました。それを聴いて、夫婦2人して“これ、ええやん(笑)”と、徐々に彼らの魅力にハマっていく。
それから2週間ほどして地元のタワレコ。再度、試聴機に鎮座している今作を発見。聴いてみる・・・・・・・・・・即行でレジに(笑)
それからずっと聴いている。本当に素晴らしいアルバムだと断言できる。
1曲目の「朱色のレディバード」からラストの「MS」まで7曲に酔いしれる23分間。
サイケデリックなイントロから心地良いギターカッティングに自然と流れ、キャッチーなサビと鍵盤が繰り出すフックの嵐、バックで存在感を示すのはヴィブラフォン?とにかく気持ち良すぎる「朱色のレディバード」。ミドルテンポで身体を揺らしまくるグルーヴを醸し出す「マクロミン」もサビの気持ち良さがハンパない。「気持ちは珊瑚色」のイントロに至っては、自分のツボを突かれまくって苦笑いすらしてしまう始末。
ここまでの3曲で今年のベストアルバム最有力かと思わせる(笑)
もちろん、4曲目以降も見事な楽曲が揃っています。
すごいなと思うのは、これを2人でやっているというコト。ベースやドラムのグルーヴ、効果的なパーカッションやヴィブラフォン、気持ちいいカッティングや耳に残る鍵盤、コンポーズやアレンジやミキシング・・・・・・・多彩で多才。
一見クセが強くて好き嫌いありそうなヴォーカルも、聴き込むうちに馴染んでしまう。
前作も含めて聴きましたが、感じるのは古の音楽に対する向き合い方の素晴らしさ。ゾンビーズやカーティス・メイフィールド、フォートップス、トッド・ラングレン、スティーヴ・ウィンウッド、スティーリーダン、ボサやフリーソウルやブリティッシュインヴェイジョン辺りも含めて、過去の音に対する咀嚼力の確かさとリスペクト具合が絶妙。それだけでなく、ちゃんと現代の作品として魅力ある音に磨きをかけているポテンシャルの高さが光る。
これだけ作り込んだサウンドであるにも係わらず、出来上がった曲にはイイ意味でのラフさがあって、ガチガチに隙が無い音になっていないのも凄い。
マニアックなファクターを盛り込んだ凝ったトラックに、キャッチーでフックの強いメロディが乗っかる気持ち良さ。シティポップやAOR、渋谷系が培ってきたメロウグルーヴの21世紀からの回答がここにある。そんな風に感じた名盤です。
彼らの魅力に気づかせてくれて、&- (アンドー)さんに感謝m(__)m