ここ数か月で買ったCDはどれもこれも素晴らしく、長く傍に寄り添ってくれる作品ばかりでしたが、実はこのアルバムが最も愛すべき名盤だと思い単独で記事を上げる事にしました。
フィロソフィーのダンス
『ザ・ファウンダー』
2017/11/22リリース
PHILOSOPHY OF THE WORLD
UXCL-140
昨年の今頃、彼女たちのファーストアルバムのレヴューを書きました。大絶賛したと同時に、早くセカンドアルバムを出して欲しいと思ったのですが、きっちり1年で待望のリリース。本当に嬉しい。
そして、期待していたハードルを遥かに飛び越えるクオリティの名盤を送り出してきた。凄いです。
もう30年以上ポップスを聴いてきました。ここ10年くらいはアイドルポップの素晴らしさをブログにも綴ってきました。そんな私でもこれほど心動かされるCDに出会うのはなかなかできない体験。
まずプロデューサーの加茂啓太郎氏の手腕が見事です。歌割りなんか、もうコレしかないというレヴェルでピタっとハマってて。そして作・編曲の宮野弦士くんの才能に惚れ惚れする。まだ20代半ばだというのにこれだけの楽曲を作りサウンドメイクを手掛けている事に驚きしかない。このまま行けば冨田恵一氏のような存在になると確信。
前作以上に4人の歌がものすごく成長しているのも、このアルバムを名盤たらしめる重要なファクター。絶対的エースストライカーである日向ハルちゃんは押し引きの抑揚が効くようになって表現の幅が格段に広がっている。中盤のダイナモ、佐藤まりあちゃんの安定したアイドルヴォイスは力強さも兼ね備える様になってグループの土台を支えると同時に聴き手に刺さる役割を担う。変幻自在のファンタジスタ、奥津マリリちゃんの歌は元々強い声のフックが更に印象的になっている上に圧の強さが格段に増している。ハルちゃんに匹敵するパワーを感じる時すらある。そして一番の驚きは、十束おとはちゃんだと思う。聴き手を選ぶ好き嫌いのハッキリでる声質と歌い方なのに、このアーバンファンクな曲群に見事にマッチしている・・・・というか、させているんだろうなと。歌全体の中でココしかないという部分を絶妙にパート割りしているし成長度合いも一番凄い。ジグソーのラストピースが綺麗にはめ込まれた感じがする。
楽曲に関しては今やネットで色んな評が見られるであろうし今更私が細かく書くこともないと思います。ただ、このアルバムほど捨て曲の無い作品は滅多にありません。一度たりともスキップさせたことがない。全ての楽曲がその位置に存在して12曲で1つの作品であると主張している。殆どがライヴで披露されたり配信シングルとして出ている寄せ集めなのにそう思わせてくれる。各曲のクオリティと考え抜かれた曲順の成せる技。フィジカルのアルバムである意味を感じられる素晴らしい仕事っぷりです。
アース・ウインド&ファイアーやボズ・スキャグスのエッセンスを感じる曲、「FLY」を書いた野戸久嗣が作曲したSMAPを想起させるミドルファンク、ボンボンブランコを彷彿とさせるパーカッションが効いたラテンアッパー、シタールやタブラが印象的なインド風ファンクポップ、ライトメロウなアーバンポップやゴスペルライクでダイナミックなバラッドなど多彩な楽曲を見事に自分たちのモノにしている。最高です。
こんな動画を見るとライヴを見てみたいと思わされる。こんなアイドルは滅多にいません。アイドルというだけで忌避するのは勿体なさすぎると思いませんか?