きみの靴の中の砂

いつまでも一緒にいたいと思いはじめていた

 

 

 お盆休みが終わると、夏休みに入って以来、海水浴客を乗せて臨時寄港していた、東海汽船の大島航路便も最終を迎える。

 最後の貨客船を見送ったあとの桟橋には、晩夏の残光と潮騒にまみれた喧騒の名残が、行き場を失ったように漂う。そうして、漸くいつもの鄙びた静寂が戻ってくる。

 時折、小さな湾の向こう端、つまり旧海軍館山航空隊のあった辺りから、海自の白い大きなヘリコプターが頻繁に離発着するのが見える。

 学校は、いよいよ来週から...。

 高校最後のこの夏も、ふたりは毎日、桟橋で逢った。
 次第に、いつまでも一緒にいたいと思いはじめていた。
 
 

 
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