トロントまで150マイル
オンタリオ州との国境にも近い、この街の八月の午後は、静寂の広がる沼地を思わせる。 ダルシマーを抱えた、若いインディアンらしい風貌の女が、シティホールの正面階段に座って...
ターコイズ・ブルーのインク
今年も一緒に夏の休暇を過ごせなかったと、きみの不満げな文面。いつになったら二人で...
嗚呼、吶喊(とっかん)の如き八月の光
草の匂い。 いつしか陽も高さを増した。 嗚呼、吶喊の如き八月の光。どこからか ...
なにやら、あたりが賑やかになってきたような気がするのだが
陋宅の目と鼻の先に都道が交差する大きな四つ辻があり、そこを起点として小山の尾根に...
いったい誰に話しかけているのか?
八月、濡縁から見上げる高気圧。 きみは、秋の花柄の浴衣も涼しげに 「この赤いのが和金、こっちのお腹の白いのが羽衣...」 いったい誰に話しかけているのか? ...
いずれの詩人だったか
海水浴客が都会への帰り支度を終える頃から、遠く稲村ヶ崎の向こうへ陽が落ちるまでの...
百日紅(さるすべり)が咲く頃
百日紅が紅色や白い色の花を咲かせる今日この頃ともなると、かつては田園であった東京郊外のこの辺りも豊作を祝う秋祭りの準備を迎える。 市内のおよそ六万五千世帯のうち、今、...
今年最後の西瓜になるかもしれない
かなだらいに浮かべた笹の葉を突っつきながら、今年は夕立が少ないとイチ子が言う ----...
葉月 / 昼寝の夢
聞こえてくるのは夏の音ばかり。 【Rumer / Goodbye Girl】
福神漬
辻々に胡瓜の馬や茄子の牛 昔、川沿いの村々では、お盆がすむと胡瓜の馬や茄子の牛...