1982年8月
眠り損ねた夜 明ければ何事もなかったように夏の朝がいて... 午前九時 カフェの...
そんな・こんな・静かな夜
夏が何事もなく過ぎ また いつもと同じ秋 そんな・こんな・静かな夜 突然 ド...
暇を持て余していたことばかりがその理由ではなかった
それは、かつてヨーロッパの国々を旅していた頃のことだ。 列車が揺れ、ふと午睡...
紐育
昼下がり。 とりわけ殺風景なダウンタウンの街路を この秋最初の風が吹く。 昨...
ガレット・デ・ロワでお茶にしましょう
木々の葉が柿色に染まるこの季節。 山並みを背景に、紅葉が『日本の秋を語るに必要な風景』であることは疑う余地はありませんが、都会のビルの谷間の、くすんだコンクリートで...
ハイビスカスの酒
茂み深く醸されたであろうハイビスカスの酒を 夜ごと握り拳程の椰子蟹が飲みに来る...
きみの呼び声
雲量七。曇りがちの週末。 コロナ三年目のこの夏もまた、友達を呼ぶに呼べずで残...
きみに書く『千一夜物語』、もしくは言葉の錬金術
もし、きみがいなくなったら...。 きみと知り合ってから今までのことは書けても『これから先のこと』は書けなくなる。 ぼくにとってそれは、想定外の更にそのも...
掌が包むその秋色
ほんの数週間前に 南の島で白砂をすくったきみの手は、 今、公園で落ち葉を載...
いつか来る日
急になんらかの障害・制約が生じ、ライフワークと決めていたことを放棄せざるを...