茅ヶ崎のアメリカンダイナーからテイクアウトしてきたチリコンカンをトッピングしたバーガーを、昼にイチ子とふたりで空きっ腹の胃に詰め込んでいたときだった。
「プルメリアの花って毒があるの?」とイチ子が聞く。続けて、
「プルメリアの仲間の夾竹桃には毒があるって、どこかで読んだことがあるよ」
ぼくの知識では、
「どうなんだろう...。南の島じゃレイを作るくらいだから、樹液にさえ触れなければ平気なんじゃないのかなぁ」そんな、聞いてもどうでもいいような答えしか出来なかった。
*
イチ子が気にしていたわけは、その日の夕方、判明した。
どこから種子が運ばれてきたのか想像するにも及ばないが、家の南側の石垣の下で西日に影を伸ばした三十センチばかりのプルメリアらしき苗木を見つけた。
イチ子は早いうちからそれに気付いていたのだろう、ぼくにはナイショで...。
【Al Stewart - Sand In Your Shoes】