5回裏を終わって3対0で負けていたときのことだ。
今まで黙っていた顧問の先生が円陣を組むよう声をかけた。
「オイ、キミ達、そろそろどうにかしないと...」
「ハイッ!」というボク等の声にいくらか元気が欠けていたのは、相手の市立一中のピッチャーの出来が余りに良過ぎたからに他ならなかった。
「キミ達がさっきから追い込まれてから空振りしているインコースの球は、あれは手元で沈むのか?」と先生は答えを求めるようにキャプテンに視線を向けた。
「ハイッ! シュートが沈みます。それと、ストレートもナチュラル・シュートします」
「・・・・・・・・」
円陣は沈黙した。
「インコースは全部捨てて、追い込まれる前に当てていこう」と先生は心配気に言うのだった。
【Del Shannon / Out of Time】
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