八月も終わりが近づくと、 避暑地に点在する平屋造りの家々は、 一軒また一軒と、 日を追うごとに雨戸が閉じられ、 人はみな渡り鳥のように都会に戻っていきます。 今となっては、 盛夏の頃のあの賑わいも蜃気楼のよう。 毎年同じ夏が来ても、 人それぞれに異なる夏があったのに気付かされるのは、 いつも八月の終わり。 夏の間の恋心もどこかへ行ってしまいます。 【OPUS - Room335】