蔵書を大量に処分するとき、何冊かの始終紐解きたい愛読書は当然残すが、その範疇に入るかどうかの判断に迷う、いわゆる汽水域にある本もまた沢山あるから、それらの扱いに苦慮する。しかし、それを丸ごと残すと処分にならない。わかり易く言えば、本のゴミ屋敷になりかねない。そんな知人が二、三人いる。
そこで、たまに思い出したときに拾い読みしたくなるであろう本は、備忘に表紙を撮影してから処分した。今の時代、どうしても再読したければ、方法はいくらでもある。知識欲と所有欲とを履き違えないことだ。
また、時折表紙の写真を見る機会があれば、その時、記憶にある内容を反芻できて、すっかり忘れてしまうことは余程年寄りにならない限りないだろう。まあ、箸にも棒にもかからない年寄りになった時、果たして本が相変わらず大切なものなのかどうか、それはわからない。