文化遺産としての赤塚不二夫論 今明かされる赤塚ワールドの全貌

赤塚不二夫を文化遺産として遺すべく、赤塚ワールド全般について論及したブログです。主著「赤塚不二夫大先生を読む」ほか多数。

『おそ松くん』の伴走者としての連載作品 読み切り短編作品

2020-03-21 20:35:57 | 第2章

『おそ松くん』の伴走者として、『おそ松』人気が軌道に乗り出してから描かれた赤塚ギャグについても、いくつかここで触れておきたい。

いずれも、『おそ松くん』の連載終了までに少年誌、児童誌に描かれたギャグ漫画であり、『おそ松くん』に匹敵する大ヒットには至らなかったものの、絶妙なグルーヴを醸し出す軽快な速度感と、笑いの振幅を強調する緩急あるドラマを身上に、個性豊かな登場人物達が画面狭しと暴れまわる、それらのパンチの効いた作風は、当時のギャグ漫画の水準をボトムアップする圧倒的な偏差を弾き出し、高い次元においての傑作、快作を続々と誕生させた。

『おそ松くん』がスタートした一年後から『天才バカボン』、『もーれつア太郎』の連載開始に至る、即ち1965年の「シェー‼」の大流行を挟んだ数年間に描かれた作品群の中で、特筆すべき連載物では、『おた助くん』(「小学四年生」63年~66年他)、『まかせて長太』(「少年」63年~65年)、『メチャクチャ№1』(「冒険王」64年~65年他)、『そんごくん』(「小学四年生」64年~65年他)、『チビ太くん』(「少年ブック」67年~69年)といった諸タイトルが挙げられるが、商業性から背き離れた短期連載、読み切り短編においても、在来の笑いの理論体系をも覆しかねない、爆笑喚起力を備えた作品も多く、無視出来ない。