二代目へんな子ちゃんといえば、彼女の十八番ともいうべき「それだけではあるまい!」という決め台詞が、連載当時、『週刊女性』の愛読者の間で、有名なフレーズとなったが、この冷笑的な言い回しは、赤塚が天才と認める数少ない漫画家の一人である谷岡ヤスジの代表作『ヤスジのメッタメタガキ道講座』で書かれた台詞を頂戴して生まれたものではないだろうか?
本作の連載を開始する前に、赤塚が上梓したエッセイに、その根拠となる一節を見ることが出来る。
「ペロペロキャンディをなめてるあ(・)の(・)ガキ(名和註・ガキ夫)が、バーに行ってホステスを前にこう言う。
「ここは酒を飲ませるだけではあるまい」
このセリフは今でも覚えているが、ほんのガキが、じつは女とヤらせる所だと見抜いている場面で、この無駄のないセリフに、吾輩は喝采を送ったものである。」
(『地獄の交遊録』コア出版、89年)
傍観者的な態度を保ちながらも、他人の心をつぶさに読み取る得意の瞬間読心術で、相手に心理的な打撃を与え、翻弄させる際に、へんな子ちゃんが言い放つ決まり文句としては、なるほど要領を得ており、彼女のシニカルなキャラクターを浮き上がらせる、その象徴となって余りある最強フレーズと言えるだろう。
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