『天才バカボン』というタイトルが全てを示すように、この作品の本来の主人公は、バカボン一家の長男・バカボンである。
しかし、パパの予断を許さぬ馬鹿さ加減が話題を独占し、遂にはパパに主役の座を乗っ取られる格好となってしまった。
連載開始から暫くの間は、パパとともに愚行奇行を繰り返していたバカボンであったが、回を重ねる毎に、パパの暴走から取り残され、その存在感は徐々に薄らいでゆく。
連載当初のバカボンのキャラ設定は、学習能力が著しく低く、悪童連中から愚弄され、騙されては地団駄を踏むといったパターンが多かった。
あくまでそれは、人を全くもって疑わない、純真無垢な心の現れであったと言ってもいいだろう。
だが、そうした知恵足らずな部分も、ハジメが生まれ、兄としての自覚が芽生えるうちに、パパの度を越した非常識に対し、たしなめるスタンスを取るなど、年相応のバランス感覚を身に付けるようになる。
パパやハジメのように、激烈な個性や突出した非凡さを持ち合わせてはいないバカボンだが、その得難い魅力を挙げるなら、何と言っても、あらゆる人や動物に対して、別け隔てなく優しさを与えられる点であろう。
近眼のハンターに狙われた熊に、自らの絣着物を着せて匿ったり(「アッホーアッホーと山へいくのだ」/67年35号)、年老いた野良犬が冬を越せるよう、家で飼おうとしたりと(「パパはイヌでバカボンはネコなのだ」/67年41号)、バカボン絡みの心綻ぶエピソードは枚挙に暇がない。
また、「サルマネ菌のウン命だ」(67年34号)では、刑務所を脱獄し、バカボン家に押し入ったものの、サルモネラ菌に当たり、命からがらとなった凶悪犯を親切に介抱し、今一度、罪を償うよう改悛させるという、慈愛に満ちた豊穣な人間力の一端を垣間見せている。
山本さんはバカボンの他にも、チョロ松とカラ松(第1作)・チカちゃん(第2・3作)、そしてア太郎を演じてました。あの声は幼少の頃には忘れられない声でした。
(今年は「ロボコン」50周年なのにな)
コメントありがとうございます!
山本圭子さんの訃報、驚きました。
赤塚アニメゆかりの方々が更に鬼籍に入られてゆきますね😢
私の中では、やはりバカボンの声といえば、山本圭子さんでした。
山本圭子さんの御冥福を改めてお祈り致します。