連載終了から実に十九年を経た1988年、フジテレビ系列による第二作目のテレビアニメ(88年10月9日~89年12月24日)の放映開始に伴い、「なかよし」10月号より、再び『アッコちゃん』の新作がリメイク連載される。(~89年9月号)
こちらも『おそ松くん』同様、レトロブームに便乗したテレビアニメとのタイアップ企画で始まったシリーズ連載だ。
第二作目のアニメ版では、アッコのキャラクターが第一作目の良家のお嬢様キャラをイメージさせるヒロイン像から一変、アクティブで男勝りな女の子像に設定されることになる。
また、前作のアニメ版では外国航路の船長という役どころだったアッコのパパが、当時テレビドラマの主人公にフィーチャーされる程花形職業として認知されていたニュースキャスターとして登場した以外にも、ママが超売れっ子の絵本作家という設定が付け加えられ、アッコ達ファミリーの住む家も、ロココ調建築の洋館から近代的なテラス付きハウスへと変更された。
これらのシチュエーションもまた、原作リメイク版のディテールに受け継がれ、作品全体にバブル景気時代のファッションや小道具、ライフスタイルが顕著に反映するなど、「なかよし」版の新原作は、「りぼん」版の旧原作とは全く趣の異なるファッショナブルなイメージを纏うと同時に、80年代少女趣味の嗜好を溶け込ませたキャッチーな美少女コミックへの傾斜を強めていった。
なお、「なかよし」版は01年に日本語と英語の台詞を併記したバイリンガル版も刊行。赤塚作品では00年、10年に『バカボン』、17年、19年に『おそ松くん』のバイリンガル版がリリースされ、幅広い世代の語学教育に活用されている。
第二作目のテレビアニメ・シリーズと「なかよし」版新原作の連載が終了した約八年後の1998年、『ひみつのアッコちゃん』は、再びフジテレビ系列において、三作目(98年4月5日~99年2月28日)のアニメが新作として放映される。
最高視聴率20・7%をマークするなど、レイティング面において、大健闘を見せた88年版『アッコちゃん』だったが、早々の段階で後番組の企画が決定していたほか、シリーズが高視聴率をキープし、余力を残したまま番組を終了することで、新たな『アッコちゃん』を再生し得ることも可能だという、テレビ局側のインテンションが働き、比較的短期のうちに放送終了した悲運のプログラムでもあった。
そんな諸般の事情を受け、暫しのインターバルを置いて復活を遂げたのが、第三シリーズである。
やはり、この第三作版『アッコちゃん』も、先行の二作のアニメ版と同様、作風や各種設定、キャラクターメイクに至るまで時代に沿ったアレンジが施され、原作本来の『アッコちゃん』とは、従来以上に似て非なるパラレルワールドの様相を呈していた。(尚、第三作放映開始に伴い、曙出版・曙文庫レーベルにて、『ひみつのアッコちゃん』第1巻が刊行される。赤塚のコミックスが同社より新刊としてリリースされるのは、77年の『天才バカボン』第31巻以来、実に二一年ぶりのことであったが、売り上げの不振からか、第2巻の発売はなされず、赤塚にとっての曙出版での刊行は、同書をもってピリオドを打つ結果となった。)
特に、美少女ヒロインの潮流が大きく変移した時代に作られただけあって、アッコのキャラクターは、原作の原型を一切留めていないビジュアルへと翻案され、オールドファンを愕然とさせる結果となった。
だが、作品の根底に流れる女の子と鏡の永遠の繋がり、憧れの姿に変身したいと願う女の子共通の深層意識をリアライズしたテーマは、時代を超越して、あらゆる世代の少女達に深いシンパシーを与え、親子二代に渡って『アッコちゃん』のファンだという人達も少なくない。
そういった意味でも、世代を超えて女の子を魅了し続けた『ひみつのアッコちゃん』は、夢見る少女達にとって、永久に変わらぬ憧れの存在であり、ハイファンタジーな魔法少女アニメにおけるクオリティー高きスタンダード作品と言えるだろう。
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