『ひみつのアッコちゃん』や『キビママちゃん』といった正統派少女漫画と『ヒッピーちゃん』、『へんな子ちゃん』から『つまんない子ちゃん』へと連動する一連のチビッ子ヒロイン路線の中間地点的な位置付けとなる『男の中に女がひとり』(「なかよし」67年6月号)、『女の中に男がひとり』(「なかよし」67年7月号)の二作もまた、少女雑誌に発表された作品とは思えぬほど、心沸き立つ異色のショートストーリーに仕上がっている。
『男の中に女がひとり』は、男家系に一人生まれた、お転婆で男勝りな我が娘に手を焼く父親が、彼女をおしとやかな性格に変えようと、あの手この手の手段を追いたてて奮闘する泣き笑いに満ちたファミリー喜劇。
『女の中に男がひとり』は、イジメを受けた双子の妹の仇を討とうと、妹そっくりに女装した兄が、妹の通う女学校へと乗り込み、早速、妹をイジメた同級生の女の子に徹底した意地悪を仕掛けてゆくが、敵もさる者、男に負けない強烈な女の子で、しかも、彼女には、誰にも言えない大事な秘密があったという、あっと驚く衝撃のどんでん返しへと見事に着地した、小品ながらも優れた作品の一本だ。
『女の中に男がひとり』は、その後、同様のアイデアとプロットを用いて、何人かの漫画家によって描かれることになるが、やはり笑いの強度という点に関しては、後続の諸作品に対し、雲泥の差を示している。
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