審判講習会 参加報告書
令和元年8月8日
報告者 金谷 純代
この度参加しました、審判講習会について報告します。
講習会名 (大会名) |
令和元年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技 JBA主催 審判研修会 |
参加者 (報告者) |
金谷 純代(所属カテゴリー)社会人連盟 |
期 日 |
令和元年7月27日(土) から 令和元年8月2日(金) |
会 場 |
サンアリーナせんだい いちき串野木市総合体育館 吉田文化体育センター |
講 師 |
有澤重行氏 福岡敏徳氏 青木俊博氏 久米克弥氏 阿部聖氏 北沢あやこ氏 北島寛臣氏 小田中涼子氏 |
報告① ■ 講義
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「処置ミスゼロの3POメカニクスの実践」 ~ ベーシックの確認と徹底、情報共有の重要性に着目して ~ 研修①「研修会テーマ選定の意図・大会運営について」 担当講師 有澤重行氏・福岡敏徳氏 〇テーマ設定の意図・背景 ・2020東京オリンピック開催 ・Bリーグ ・Wリーグ ・NBAプレイヤー ・1億円プレイヤー ・プレイヤーファースト → ファンファースト ・インティグリティ案件 ・SNSでの情報流布(良い意味・悪い意味で注目される) ・インターハイにもプロ・プロ予備軍がいる 〇実際に起きている事案 ・外国人留学生暴力事案 ・試合中におけるトラブル事案 ・SNSやマスコミによる投稿や炎上(判定に対する不満など) オープンマインド ミスをどう乗り越えていくか クルー中のコミュニケーション不足がミスを招く わかりやすいプレゼンテーションや細やかなTOとのコミュニケーションを行うことで防げるものもある 〇映像(導入) ・EOQ ・タイマー管理 ・レフェリーIQ ・プレゼンテーション ・TO連携 ・クルーコミュニケーション ・AOS ・ボーナス ・ベンチコントロール ・3or2 〇行動指針(確認) ・30分前 TOクルーとPGC実施(進行はCC) ・CC → 試合終了後 ゲームについて報告(Googleフォーム及び会場責任者) 研修②「3PO MECHANICS プレコーリング~高校生で起こりうるケースについて~」 担当講師 北島寛臣氏・青木俊博氏 1.「3PO MECHANICS 」 ◇はじめに ・今大会のテーマである『処置ミスゼロ』を現実のものとするためには全ての基本である3POメカニクスの理解は必要不可欠。 ・良いゲームの運営を行うために必要なのはクルーワークとベーシックの徹底。 ・クルーの1人でも意識が欠けていたり理解が不足していては良い結果は生まれない。 ・今回の講習で審判員が情報を共有していくことで、起こりうる様々な現象へ準備していきたい。 ・映像を見て、どのような準備を行うか皆さんと共有したい。 ・メカニクスへの理解を自信に変化させて他の事への気配りが出来るようになれば『処置ミスゼロ』へ向かってゲーム運営ができる。 ・よいゲーム → クルー全員の成果 うまくいかなかったゲーム → クルー全員の責任 ① ローテーションについて 【リード】 〇ローテーションをする時に意識すること ・トレイルレフリーがセンターラインを越えた時に、どのポジションにボールがあるかを確認 (セットアップ・クローズダウンどちらにつくか ボールライン) ・クローズダウンポジションへの移動(必ずクローズダウンポジションを経由) ・スイッチサイドを完了させる時のポジションについて(何を理由で移動するのか、バックステップでの移動×、ボールラインまで行って完了させる) 〇ローテーションを中断すべきケースについて ・3クイック(パス ドライブ ショット) ・スイッチサイドのタイミングでパスバック ・ショットクロックが5秒以下の場合 ・クイックショット・クイックドライブがあった場合 ノーワーキングエリアで止まらない(ミドルラインを越えていたら行ききる) ノッキングすると正しい判定もできないし、メカ崩れの原因になる 【センター】 〇リードがローテーションをしてきた時に意識すべきこと ・ストロングサイドのローポストにアクティブなマッチアップが存在した場合 (急いでTに上がらない、自分のプライマリー内のプレイと共に プレイを手放さない) ・ストロングサイドのローポストにアクティブなマッチアップが存在しない場合 (見に行く必要があれば、スイッチサイド完了前でもポジションを移動させるケースもある→ポジションアジャスト) 【トレイル】 〇リードがローテーションを始めた時に意識すべきこと ・リードがスイッチサイドするスピード=トレイルがセンターになるスピード ・Pick the paint T→C ・スキップパスへの準備 (シューターをウィークサイドへ立たせてのスキップバスに対応→プロテクトショット) ② その他、今大会で意識すべきこと 〇クロスコール 精度が落ちる 仲間を信頼 〇POC 細かい部分に拘って信頼されるレフェリーへ 〇Position Adjust クロスステップ 正しい位置にいないと正しい判定にはつながらない より多くの情報を集められるポジションを得る 〇最後に 残された時間に同じミスをしない為に何をすべきかを考える ネガティブ思考はプラスを生み出さない ポジティブな考えでチャレンジを忘れず大会を成功させましょう。 研修②「3PO MECHANICS プレコーリング~高校生で起こりうるケースについて~」 2.「プレコーリング ~高校生で起こりうるケースについて~」 〇Marginal Contact について RSBQ 事実・責任・影響 マージナルとイリーガル、ノーファールの違いをゲームを通して理解し、示す 〇POCについて 身体のどの部分のコンタクトがファールだったが、説明できることが求められる シンプルに見たものを信じて Decisive ・悪い手・腕・肘の整理 Clip①~③ FOMの確保 ・スクリーンClip④~⑥ 止まっていて、両足床、シリンダー内 スキップパス、スクリーンからの3P、2P ・ブロッキング・チャージングClip⑦~⑭ オフェンスに明らかな責任がない → DFファール Referee Defense ・プロテクトシューターClip⑮~⑯ オフェンスプレイヤーがショット後、ケガを避けるために必要に応じてこけることは〇 Foot → 3or2 Foul → シューターファール Floor → シューターが着地できるか Fake → フェイクはないか ・UF Clip⑰ クライテリア どれに当てはまるか クルーで話し合う トリガーを引く 手短に ・トラベリングClip⑱~⑳ ゼロステップ ・TF Clip㉑ OFor DF 処置 再開方法 ・インサイドの整理Clip㉒~㉜ 手の使い方
研修③「処置ミスゼロを目指して ~オフィシャルズの連携と役割~」 担当講師 久米克弥氏・小田中涼子氏 〇処置ミスを事前に防ぐためには・・・Refereeとしての役割 Rule → 当然知っている Mechanics → クルーで徹底 Pregame → クルーで確認 基本を徹底してゲームを実施 〇処置ミスが起こる要因は? クロック タイムアウト 選手の数 ナンバーコールミス 請求のタイミング 同時刻入退場 シュータースイッチ 3or2 ルールの理解 ショットクロックプレイマリー ・防ぐことができる → メカ崩れ ルール適用ミス 不適格なポジション ・予測できない → ノイズ メンタル 機材故障 〇トラブルが生じた場合、オフィシャルズとしてどう乗り越えるか 処置ミスに繋げないために ・ツール(ルール・クルー・TO) refereeが導いていく ・選手やコーチに伝えられるように ・時計を見る習慣の徹底 ・TOをリラックスさせる コミュニケーションの取り方の工夫 〇オフィシャルズの役割って?・・・何のためか? ・正しい判定(処置ミスなし) 〇ケーススタディ(動画)を通して 1 New rule(shot clock) 2 EOQ(early buzzer) 3 EOG(last shot) 4 Main clock(miss restart) 5 24sec(violation)
講義④「インティグリティと審判」 担当講師 審判担当ダイレクター/審判委員長 宇田川貴生氏 ・インティグリティ 誠実さ・真摯さ・高潔さ ・人間力向上なくして競技力向上なし ・ふれあい(NF/UF) ふるまい(TF) 悪質(DQ) ・referee → 確認できたもののみ対応 誰に対してもフェア それはそれ、これはこれ。 コミュニケーション リスペクト 協力・連携
講義⑤「処置ミスゼロを目指して ~Official’s Tools(3PO)/IOT~」 担当講師 阿部聖氏・北沢あやこ氏 1. Three-point or Two-point 男女の試合限らず、どのカテゴリーでも、3ポイントシュートは多くのチームの戦術となっている。そのため、あらゆる手段で放たれるショットの確認をプライマリーだけで判断するのは難しい場面が多くあるため、クルーでの協力が必要。 映像 ①3or2 Lead help ②3or2 Screen on the ball,Sudden shot ③3or2 Lead peak,Straight up gesture ④3or2 Lead peak,Fast break ⑤3or2 Screen on the ball,Open shot フット→3or2 アップ→ファールあるなし ランド→着地 ピック&ロールの後 ボールライン(L) ボールレベル(C) スマートにプレゼン 意見が異なった場合 ボールがデット コミュニケーション HELPオフィシャルの意見を重視 2.Out of bounds communication アウト・オブ・バウンズは、バスケットの試合では非常に多く起こります。どうしてもファウルの判定を重視してしまう方を多いかもしれませんが、アウト・オブ・バウンズを正しく判定していくことは、スムーズな試合運営に欠かすことができません。3POではアウト・オブ・バウンズを正しく判定するために、クルーでの協力が必要な場面が多くあります。 映像 ①Out of bounds communication,Correction Center help ②Out of bounds communication,Correction Crew work ③Out of bounds communication,Correction Crew work 3人とも確認できない時 ジャンプボールシチュエーション(アロー)3人目が示す バウンダリーカバレージの理解 3.Presentation プレゼンテーションはレフリーとしての技術の大きな要素の一つ。いくら正しい判定をしたとしても、弱々しいプレゼンテーションでは信頼を得ることはできません。判定に説得力を持たせるために、自信に満ちたシャープなプレゼンテーションを日頃から磨いていきましょう。 映像 ①Presentation,Voice,CC Mentality ②Presentation,Double whistle,Block charge ③Presentation,Offensive foul 信用度を上げる 歩く姿・立つ姿・走る姿 対象となる相手との距離や向き合い方 声を使うこと 4.Crew communication 3POを行う上で、アウト・オブ・バウンズを含め、いろいろな場面でクルー間での協力は必要不可欠です。その協力こそ3PO最大の強みでもあり、クルーワークを発揮することが今回の研修会テーマに向けた取り組みでもあります。そのクルーワークを発揮するために、ベーシックの徹底は欠かすことができません。 また近年、クルー間のコミュニケーションはもちろん、選手やコーチとのコミュニケーションもゲームを円滑に進めるために必要不可欠な要素となっています。次のトピックスで挙げる場面をイメージして、自分だったらどうするか、どういう言葉をかけるかイメージしてみてください。 映像 ①Crew communication,Time out ②Crew communication,Shot clock ③Communication ④Crew communication,Time out ⑤Crew communication,Game control この後どうやって進めていくかを話す 自分の意見を素直に出す(後から言わない) 聞き入れる心(オープンマインド)を持つ 表と裏で絵が違うことを理解する 笛のタイミング コートでチャレンジ アクションを起こさないと何も始まらない 同じことの繰り返し わかっていることに磨きをかける 日々の積み重ねが全て こだわりを持つ 5.Discussion バスケットボールの試合では、審判のゲームコントロールはとても重要。そのためにも、私達はコート上で起きたことをしっかり見ること、把握しておくことがとても大切。私達はたくさんの情報をしっかり把握し、より良いゲーム運営を目指して取り組む必要がある。 同じ場面(似たような場面)に遭遇したら、自分だったらどうするか、具体的にイメージしてみてください。 映像 ①Discussion ②Discussion ③Discussion クルーで情報を出す(2人にズレがある可能性がある) ゲームをスムーズに進めるために、誰が何をするのか
□「プレゲーム・ポストゲームについて」 □審判員 行動規範 □プレゲームカンファレンスについて □ゲーム終了後の報告について |
報告③ ■ ゲーム
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■ゲーム 7月28日(日) 白鵬大学足利(栃木) VS 浜松開誠館(静岡) CC 金谷純代(報告者) UI 皆川義紀(広島) U2 佐田明美(大分) ■ゲーム 7月29日(月) 桜花学園(愛知) VS 県立小林(宮崎) CC 金谷純代(報告者) U1 萩尾繁治(福岡) U2 川畑龍輝(鹿児島) 両ゲームとも、オールコートプレスや変形ディフェンスにおいて、センターがどのようにアジャストしていくのかが、ポイントとなるゲームであった。プレゲームカンファレンスにおいて、クルーで確認をしてゲームに臨めたことで、クルー全員で対応することができた。チームファールの数の確認、EOQ・EOGの合図など、クルー全員での共有が薄くなった時間帯があった。個人の反省としては、アングルが取れているものに対して、セカンダリーとして、コールすべきであったものがある。また、クルーの判定に対してのベンチアピールに、CCとしてどのようにベンチコントロールを行うのか、である。この学び、経験をつなげていきたい。 |
所感 |
私たち受講生の為に、丁寧に、そして情熱的にご指導頂いた講師の先生方に心から感謝しております。審判としての技術向上を図るために必要なこと、説得力のある判定をするために大切なことを、講師の先生方の経験やケースを踏まえ、講義頂いたことで、沢山の気づきと学びを得ることができました。ケーススタディなど、仲間との意見交換の中で、簡潔に自分の意見を発信することの大切さを学び、これをオンザコートで行える力をつけることの重要性を感じることができました。処置ミスゼロをテーマとして、沢山の学びを得た上で、実践に臨めたことで、トライできたことがありました。この研修会を通して学んだことを、日々積み重ねていき、確かな力として身に付け、磨きをかけていけるように尽力したいです。このような機会を与えて頂いたことで、他県審判員の皆様との交流を深めることができたことも、私の大きな財産となりました。そして、鹿児島県バスケットボール協会の皆様をはじめ、鹿児島県の審判員の方々には様々な面でお世話になりました。また、今大会の派遣にお力添えを頂きました方々に、厚く御礼申し上げます。 |