・希房 きぼう
バラ科、枇杷の種無しの品種として、開発している。枇杷の果実中には大きな種子が存在し、その重量割合は15~20%と他の果実と比較し高いことから、ビワの種子無しを念願としていた。
千葉県農業総合研究センターでは、種無しの品種が実現し千葉ブランドとして種子なしビワ「希房」と命名している。
育成は1985年より開始し交雑の母親を田中の品種として植物成長調整剤ジベレリンなどを使いおこなった。
1991年には、「長崎早生」、「戸越」、「土肥」、「房光」、「楠」の5品種と交配し、翌年に得られた種子を播種して以後、結実樹齢に達した個体から果実特性を調査している。
目標を既存品種と同等の大きさと品質として糖度、酸度、果肉硬度とした。
2002年5月に「田中」由来の四倍体と二倍体の「長崎早生」の交雑個体の中から、育種目標に適した系統として「3N-N28」を選抜し2003年に「希房」と命名して品種登録の出願を行い、2006年に品種登録した。
施設の加温栽培で開花は11月中旬~12月下旬、成熟期は5月下旬で、旬とする。果実の形態は重量70g(果肉重量割合90%)長卵形で、横断面は円形で果頂部に軽微なネック(障害)が生じる。
果皮は橙黄色でやや赤味を帯び果皮はやや厚みがあり、やや剥きにくい傾向。果頂部のがく片は約2倍に肥大し、がく孔の幅及び深さも対照品種と比較して拡大し、内部に直径1cm程度空隙(全果実容積7%)が生じている。肉質は軟らかく果汁に富み糖度11.5%、酸含量0.22g/100g程度と種有りと変わらない。
今後の課題として有種子果実より労力を要し経費がかかり栽培面積は多くない。このことより植物成長調整剤の効率的な処理方法の技術開発、果面の汚損がみられ商品化率が低く、これらの対策、究明を必要としている。
現状では生食が主と思われる。果肉の色素は、カロテノイド(βーカロテン)であり酸味は少なく有機酸は、リンゴ酸が主。葉を入浴剤にできる。
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