・一般名と化学名Generic name and chemical name いっぱんめいとかがくめい
薬店・薬局で「重曹下さい」で炭酸水素ナトリウムだけの表記では、なかなか買ってもらえないこともあるようです。同じ物質でも英語(カロテン)とドイツ語(カロチン)読みで同一のものか、別のものか、区別が付きにくいことがあります。カロテンとカロチンは同一のものです。
日本の中でも各地で食品の呼び名が異なることがあります。近年は、日本名と英名が入り混じって使われています。タイトルで購入意欲に差がでてくるのではということで、よく知られる一般名と化学名とよく知られる別名と共に列挙してみることにしました。
正式な化学名はIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry:国際純正・応用化学連合)の定めたIUPAC名としています。化合物の構造を示す体系的な命名法としIUPAC命名法が国際標準として使われます。化学名は構造式を正確に示していますが、文字数が多く長くなります。一般名では、化学構造的あるいは生理学的に類似した物の群は同じ語幹(stem)を用いて命名することが多くあるといいます。
さらにアスピリンは元々は製品名としていたのが一般名となっているのですが、「アセチルサリチル酸」という慣用名です。天然物から分離したサリシン、その分解物のサリチル酸、更に構造を一部変更のアセチルサリチル酸という経緯で開発が進んだものです。
ビタミン類では、ナイアシン、パントテン酸のように化学名で呼ばれているものもあります。近年にビタミンとしての作用が確認されたものでなじみのある名称が使われているのです。
ビタミンAとレチノールRetinol
ビタミンB1とチアミンThiamine
ビタミンB2とリボフラビンiboflavin
ビタミンB6とピリドキシンPyridoxine
ビタミンB12とコバラミンCobalamin
ビタミンCとアスコルビン酸Ascorbic acid
ビタミンD2とエルゴカルシフェロールErgocalciferol
ビタミンD3とコレカルシフェロールCholecalciferol
ビタミンEとトコフェロールTocopherol
ビタミンK1とフェロキノンPhylloquinone
ビタミンK2とメナキノンMenaquinone
ビタミンK3とメナジオンMenadion
ビタミンUと塩化メチルメチオニンスルホニウムクロライド(MMSC:S-methyl methionine sulfonium chloride
一般名、慣用名、化学名が混在している食品・食材を少し並べてみました。
食塩・塩・塩化ナトリウムSodium chloride
炭酸ガスと二酸化炭素・無水炭酸
重曹と炭酸水素ナトリウム(Sodium bicarbonate:合成膨張剤・ふくらし粉)・重炭酸ナトリウム・重炭酸ソーダ
カセイソーダと水酸化ナトリウム
酒とアルコール・エチルアルコール・エタノール・酒精
どくだみ・蕺草・蕺・じゅうやく十薬・重薬・之布岐(シブキ)・毒溜め(ドクダメ)・魚醒草(ギョセイソウ)
サッカリンSaccharineと安息香酸スルファミド
主にビタミン類の記載となってしまいましたが、どうやら購入意欲も、情報が豊富な人ほど高まってくるのではないでしょうか。
医薬品では、企業の経済活動としての商品名(商標名)と規準によって国際的に使用できるとして定められた薬効成分となる化学物質の名前とさらに一般名(Generic name)の3つの名称があるようです。
新規の構造を持つ物質の製造が進み製品化されるまでの経緯でいくつかの名前が付けられています。
医薬品では化学名 (Chemical Name), 治験番号 (ResearchCode Number), 一般的名称 (Nonproprietary Name,Generic Name), 公定名 (Official Name), 商標名(Trade Name) 更 には慣用名 (Trivial Name), 略称名(Abbreviated Name) といった多くの名称が用いられているようです。
一方で医薬品では、反対にビタミン類を科学名にしてわかりづらくしている面も見受けられますね。
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