・シナモンCinnamon しなもん
クスノキ科、スリランカ(セイロン)原産といわれる。常緑の高木で暖かい地域に生育して、葉が皮質で夏に淡黄緑色の小花を咲かせたのち楕円形の黒い液果を実らせている。
奈良時代(8世紀)に胡椒、クローブ、香水とともに中国を経て渡来する。桂(かつら)の根から採取したものが肉桂(にっけい)であり、その呼び方が転じて樹木そのものをニッケイと呼ぶようになったものと思われる。
漢方では、樹皮を桂皮(ケイヒ)、若い小枝を刻んだものを桂枝(ケイシ)と呼ぶ。
肉桂はお菓子やカレーのスパイスなどとして使 われる。樹皮を発酵陰干ししてステック状、粉末にしたもの、蕾、葉、根なども利用する。
スパイシーな爽やかなあまみのある芳香(シンナムアルデヒドCinnamaldehyde[桂皮アルデヒド]、オイゲノール)のあるスパイスでパウンドケーキに練りこんだり、フルーツコンポート、さつま芋甘煮にステック状のものをいれ一緒に煮込んだり、振り掛けたりする。
中国の香辛料五香(ウーシャン:主に山椒、八角、陳皮、ういきょう、シナモン)の材料、桂皮酒とし用いられる。
民間療法で健胃、発汗、解熱、鎮痛に用いている。樹皮、葉と若い枝から精油し特有の芳香、辛味のある黄色の液体でニッキ(肉桂に由来)飴、芳香剤、防虫剤に使われ合成でも製造する。
カシア(インドシナ産、辛味[シンナムアルデヒド:皮膚、粘膜を刺激する]が強い)が安価で代用とし用いられる。シナモン、ニッケイ、カシアをあわせ肉桂とも呼ぶ。
クスノキ科植物は精油を含んでいることが多く中でもシナニッケイの仲間はその香りから薬用や香料として珍重している。特徴的な芳香成分はシンナムアルデヒド、オイゲノール、サフロールなど。近縁のセイロンニッケイ(C.zeylanicum)や中国南部や台湾原産で辛味の強いニッケイで別名ニッキ(C. sieboldii)はシナニッケイと比較しやや甘味があるためシナモンという名称でお菓子など食品の香りづけに用いることが多い。薬用としては品質が劣るため日本薬局方には収載がない。
ニッケイは、樹皮よりも根の皮はやや香りがあり辛味が強く京都名物の「八つ橋」などの風味づけとして利用している。
シナモンの香りの成分の1つクマリンの過剰摂取で、肝障害を誘発することがわかっている。クマリンは、セイロンシナモンよりもカシアに多く含まれる成分でドイツでは、耐容一日摂取量(人が一生涯にわたり摂取しても健康への影響上問題ないとされる一日当たりの摂取量)を、体重1キログラム当たり0.1ミリグラムに定め、注意喚起をした。調査の結果、平均値で、スパイスではクマリンをセイロンシナモンから13.7ppm、カシアから3257.5ppm、シナモンを含む菓子では19.7ppm、サプリメントでは2640.0ppmのクマリンを検出している。
1ppmとは、1キログラムの食品から1ミリグラムを表す。
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