・紫外線UltraViolet:UV しがいせん
1年で最も日が長く、太陽も高くなる夏至の6月ごろ、紫外線の強さが最大になります。しかし、6月は梅雨があり天候が悪く雲によって遮(さえぎ)られています。梅雨の合間の快晴の日は、真夏の8月よりも紫外線が降り注いでいます。このことから紫外線の月別の量としては、7月、8月・5月、6月の順位です。
太陽が高くなり晴れ間の多い5月から8月、9時から15時の時間帯、12時頃に最も多くなり注意が必要です。
晴の日を100とすると、曇で50、雨の日で30位が地表に降り注いでいます。
地表面の種類により反射率は大きく異なり新雪で80%、砂浜で10~25%、アスファルトで10%、水面で10~20%、草地・土で10%以下です。
標高の高いところのほうが日焼けしやすく標高が1000m上昇するごとに10~12%増加するといいます。山では特に日焼け止め対策が必要です。
植物も外敵から身を守るために皮などの表面に多く抗酸化成分として存在します。夏の野菜、果物は、ピーマン、トマト、ナス、西瓜、トロピカルフルーツなど色鮮やかなものが多くあります。
日光消毒Disinfection by the sunは、日光にさらし、紫外線を利用して殺菌する消毒法です。
波長400nm以下の不可視光線を紫外線Ultravioletと呼んでいます。紫外線には波長ごとに大まかに分けて次の3種類が存在します。
1)UV-A:UltraViolet-A(波長315~400nmなのめーとるの長波長紫外線)
紫外線の95%を占め、浴びると肌が黒くなります。UV-Bよりも波長が長いため、表面から約2mm程度と皮膚の深くまで浸透します。
2)UV-B波(波長280~315nmの中波長紫外線)
大部分は成層圏オゾン層に遮られています。ガラスを透過することはほとんどありません。紫外線の5%程度ですが、エネルギーが強いため肌に与える影響は大きくなります。短時間に皮膚が赤くなりヒリヒリします。皮膚や眼に有害な紫外線で、オゾン層の減少による到達量の増加を懸念視しています。
表皮に存在するコレステロールは熱によって7-デビドコレステロールに変化し、これにUV-Bが作用することでプロビタミンD3を生成しています。プロビタミンD3は血中に溶け出し肝臓に運ばれ変化し、さらに腎臓においてD3ホルモンとして血中に分泌しています。
D3ホルモンは小腸においてカルシウムを血中に取り込み、取り込まれたカルシウムを骨形成する役割を果たしています。
ビタミンD3は動物性食品に多く含みます。
人では、顔や手など体の一部に1日15分程度の露出で十分量であるとしています。ガラス越しの日光浴ではUV-Bの照射は充分とはいえないようです。 直射日光が差さない室内でもガラス窓を開けさえすれば乱反射によって射し込むUV-Bは得られます。
曇天でも晴天直射の4割程度が地上に到達しており、うす曇りなら晴天直射の8割以上が地上に到達します。UV-Bは必要な紫外線ですが浴び過ぎるのは有害です。過度の日光浴は避けた方がいいといわれる傾向です。
3)UV-C (波長14~280nmの短波長紫外線)
成層圏オゾン層に遮られ地上には到達しません。生命の細胞破壊、菌の「不活化」をもたらす有害な紫外線です。紫外線の殺菌作用は1901年にドイツの物理学者であるハーマン・ストレーベルが発見しました。
その後、1936年にアメリカのGE社によって殺菌ランプが開発され、1950年代頃から日本でも一般に普及していきました。
研究施設の殺菌灯などで利用し特に254nmの波長は強い殺菌力があり殺菌線ともいわれます。人工的に製造し大気の殺菌、脱臭、養魚場での水の腐敗防止、鮮度回復などに使われます。
紫外線を同じ位置で直接照射し続けて大腸菌や結核菌を殺菌するのに1分から2分程度を要すると言われます。
[厚生省国立衛生試験所の試験結果]
殺菌率100%にかかる時間(殺菌灯15ワット、距離50cm、寒天培地上の菌を照射、放射線照度1.5W/㎡)
大腸菌:60秒、ブドウ球菌:60秒、結核菌(鳥型):120秒のデータがありました。
洗濯物を紫外線にあてることで、洗濯物についている菌を少なくしたり、殺菌する効果があります。
綿布を用いて、天日干しの殺菌効果を晴天の日に調べたデータがあります。
5センチ四方の綿布を数枚用意し、それぞれの表面に黄色ブドウ球菌を含む水をしみ込ませました。12時に日光が良く当たる屋外に綿布を天日干しして、10分、30分、60分の時間経過ごとに1枚ずつ綿布を回収し、生存している黄色ブドウ球菌数を培養検査しました。
開始直後の黄色ブドウ球菌数は約8100万です。
10分間日光に当てた綿布では1万3千、30分で360と減少、1時間後には0でした。
綿布を日陰に置き、綿布の菌数は、10分後に1600万、30分で470万と減少速度が遅く、1時間が経過した時点でも約270万のブドウ球菌が残存でした。
冬場でも晴れた日なら、日干しによる殺菌は非常に有効なことが判ります。天日干しをする時間帯は10時~14時の4時間がお勧めです。布団を太陽光に当てると2時間で殺菌効果が現われますが、それは表面だけで2時間片面を干したら、裏返し、さらに2時間干しましょう。
細菌を減少させるもう一つの要因が乾燥です。日陰においた綿布も菌数が減少していますが、乾燥のため布に含まれる水分量が少なくなり、細菌の増殖が抑制できます。
細菌が繁殖するには水分が欠かせないので、速く乾いた洗濯物では細菌が増殖することがきません。
天日干しをすることでカビの発生を予防することができます。消毒というと、まず、洗剤、そして、熱湯を思い浮かべ、さらに、日光消毒が極めて有効であることが別の実験により確かめられています。この実験では、細菌として、大腸菌、腸炎ビブリオ菌を対象として行われました。これらの菌液にサラシ布と木製のまた板を浸し、洗剤液処理、消毒液処理、アルコール処理、熱湯処理、日光処理が行われました。
洗剤による消毒では、腸炎ビブリオ菌の生存は減少するものの、大腸菌の生存は多く、日光消毒による生存率は10~3以下でした。消毒液処理、アルコール処理、熱湯処理では菌は検出されませんでした。
この結果を見ると、洗剤による消毒がいかに危ういかが分かります。しかも、洗剤の場合、残留したものが口に入る危険性があります。家庭での消毒には、日光消毒が適していることが分かります。この実験では、太陽光に1時間さらしただけでした。
太陽光に含まれる紫外線が細菌のDNAにダメージを及ぼし、乾燥によっても細菌を死に追いやります。
しかしながら、布団クリーナーの紫外線の照射では、細菌の消毒にはなりますが布団のダニを死滅させることはできないようです。紫外線は、殺菌効果はありますが、殺ダニ効果は、認められていないといったマスメディアの報道もあります。
ダニを死滅させるのに簡単な方法は加熱することであり、温度50度で20分加熱することによりおおむね死滅させることができるといいます。布団のダニ退治には、ダニ退治布団乾燥機と掃除機の組み合わせがよいと思われます。
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