Little Tree

日々のいとなみのなかで感じた子どものこと、季節の移ろいやこころに映る風景

「遠い杭、近い杭」・・・

2008-09-29 20:22:12 | 子育て
冷たい雨の降り続くなか、お昼過ぎに横浜駅で母と待ち合わせをして
コーヒーショップで、姪の進路のことや何やら一時間ほどおしゃべりをした後
ホームまで行って見送ってきました。

それにしても、kirikouといったら…

帰る早々、いつも遊んでいるヤンチャな二人と一緒に、地区センターに行ってしまいました。

ジャレているだけなのか?喧嘩をしているのか?これでも加減しているのか?

どうにも、危なっかしく見える男の子同士の関わりも
一人っ子の彼には必要なことなのでしょうか?

私も妹一人しかおりませんし、男の子のことが今ひとつよく解らないこともあって

内心は、ハラハラドキドキしながら、言うことは言いつつ
口出しをし過ぎないようにグッとガマンしながら
後は、信じて送り出すしかありません。


春先にも、ご紹介した河合隼雄先生の「こころの子育て」の文庫本を、
パラパラとめくってみたところ

最後のほうの『森へ』の中で(以下引用)

「Q 親の話など聞いてくれず、絆が切れてしまったようです。

 A 強い絆よりも深い絆で結ばれることを考えたらいいです。」とありました。

『 子どもと関係を作るということを考えると、だいたい一緒に話をしようとか遊びに行こうとか、すぐそんなことを思うでしょう。しかしそんなことじゃなくて「ねぇ、お母さん」と、子どもの方から自然発生的に働きかけてきたときに、子どもの動きにスッと乗ることが大切なんです。(中略)
 親子の関係でよく言われるのは、「絆」ということです。「絆」というのは、お互いにどこかでつながっているということです。いざとなったらお互いにつながっているというのはもちろんプラスですが、マイナスの方から言えば自由を束縛されているということになります。だから絆は「ほだし」とも言って「しがらみ」と同義語なんですね。…
 「強い絆で結ばれている」という言い方がありますが、ぼくは絆は強めるよりも深めることが大事やと思います。「絆を深める」とぼくが言うときは、絆の糸を長くして、ずっと深めていくのが理想なんです。お互いの関係の深いところを、なるべく遠く、それこそ「無限遠点」にまで持っていく。その点を介してつながっていれば、相手がどこか遠くへ行ったって大丈夫。…その糸を短くして強めてる人は、相手をコントロールしているだけです。ところがどんどん深めていくと、相手はすごく自由になっていくんだけれど、ちゃんとつながっている。(中略)
 …自分の思い通りに相手が動いていなくても、共通点みたいなものがだんだん深くなってくるんです。そうなれば、もうどこにいたって大丈夫です。信頼の深さです。それには、理解が伴うし友情が入ってくる。親子でも恋人でも夫婦でも友情によって厚みを持つようになるんです。』(引用ここまで)

ほんとうに、河合先生がおしゃるとおりだろうなぁ…と思いつつ

これから、kirikouがどんどん大きくなっていく中で
向こうから言ってくる機会が少なくなって
その大切なタイミングを逃さずに、対応していくには
コチラにも余裕や覚悟がいるのかもしれないのでしょうけれど…

実際のところは、なかなかウマクいくときばかりではありません。

そんなことを考えていたら…次のページには

「Q 悩み始めると迷ってばかり、さっぱり結論が出ません。

 A 葛藤を抱え続けられるというのが「おとなの条件」です。」とのこと。

『 子育てを本気でやっていたら、いろいろな問題が起きてくるし悩んだり迷ったりすることはよくあると思います。だから悩みや迷いがあるのが問題なのではなくて、問題があるのにちゃんと悩んだり迷ったりしないことが問題なんです。ぼくらの仕事なんかも、心がずっと迷ってなかったらできないと思いますよ。迷いを持ちこたえる力は大事です。ぼくはそれを「葛藤保持力」と言っているんです。(中略)
 家庭というのは、お父さんの持っている歴史と、お母さんの持っている歴史とが両方流れ込んでくるところでしょう。だから矛盾するものをどう調和させるかという課題を、根本的に抱えているわけです。そういう葛藤を体験的に学んでいくのが家庭なんです。…
 いろいろな葛藤を持ちながら、グッと耐えてそれを持ち続ける。それが「おとな」なのだ、というのがぼくの定義なんですよ。』

なるほど、さらに深いお言葉デス!!

あまり引用ばかりする訳にも参りませんけれど、次の質問の最後のところで
 
『 ぼくは、夫婦というのは川の中に立っている二本の杭みたいなものだと言うんです。そして夫婦の関係というのは杭と杭の間に張る網なんです。相手として近くの杭を選んだ人は網は張りやすいけれど魚の収穫は少ない。遠くの杭を選んだ人は網を張るのに苦労しますが、張ってしまうと収穫は大きい。その時似たもの同士で近くの杭との間で網を張るか、違うところ対立するところに魅力を感じて遠い杭との間に張ろうとするかは、その人の運命としか言いようがないです。』(引用ここまで)


我が家は、kirikouと私と夫のまさに三角形の関係を保っている家族なので

先生のおっしゃっていることが、ほんとうにシンプルなままに
重なるようにして、見えてくるのかもしれませんね。

kirikouについては、イヤになるほど私に似ているところと
案外、夫に似ているところもありますし

夫婦については、基本的には趣味や興味のあることに関しては、かなり遠い杭のようでもあり
志向的には、どこか似たもの同士のところもあったりして。

まぁ、その出逢いが「運命」かどうか?ということは、とりあえず置いておいても
どんな、ご縁があったのでしょう?今、こうして家族を構成しているわけなので

家族としての営みを、悩みつつ迷いつつ…

ア~ダコ~ダの紆余曲折を繰り返しながら、
とりあえずの間は、続けていくといたしましょうか。


ところで、皆様のご家族は、いかがでしょう?


あんまり深刻に考えてしまうのは、如何なものかとは思いますけれど

たまには、家族についてのアレコレを考えてみるのも、案外ワルクはないかもしれません。


家族の中に生まれて、時を経て新しい家族を作り…
そして、いつか一人になる時が来るとしても。



何やら、思いもよらなかった川岸にたどり着いてしまったようですけれど
雨の降る夜は、そんな気分になることもあるのでしょうか?


皆様も、暖かいお布団など用意して
お風邪など召しませんように、くれぐれもお気をつけてお過ごしくださいネ!!


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