遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

真夜中の読書感想文 井上ひさし対談集「物語と夢」

2007-10-16 01:12:57 | 読書感想文
真夜中の読書感想文
:ただ漠然と読んでるだけなのも詰まんないから400字詰め原稿用紙分感想を書こうと思い立つ。ネーミングの意味は特になし。強いてあげればノリ。

 井上ひさし対談集「物語と夢」
 
 一人目の俵万智から最後の山田詠美まで…と書くと非常に狭い感じがするが、その間にはミヒャエル・エンデあり、黒澤明あり、各界の大物たちが並ぶ。井上ひさし自身も日本劇作家界の大物中の大物であり、その対談内容は恐ろしく深い。
 佐高信との「日本論」と言うべき対談は、遠藤の次回作品の大きな参考になった。要するに「我々はいかに国家に騙されているか」ということである。
 ずっと取っておきたい言葉にもよく出会う。
「学校は、君たちは学校で苦手なものと、得意なものを選び分けなさいという教育をしていて…」というのも腑に落ちるし、宮沢賢治の「修羅」の正体は性欲なんだというのも、実にいい話である。
 対談の中で、井上ひさしは司馬遼太郎の志半ばの死を残念がったが、私が思ったのは「あなたこそ長生きしてもっともっと色々面白い話を聞かせてください」ということなのである。
(2007/10/15)
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真夜中の読書感想文 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」

2007-10-07 23:14:34 | 読書感想文
真夜中の読書感想文
:ただ漠然と読んでるだけなのも詰まんないから400字詰め原稿用紙一枚分感想を書こうと思い立つ。ネーミングの意味は特になし。強いてあげればノリ。

 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」
 
 読むと30分足らず。映画は2時間あったので、そのギャップにまず戸惑ってしまう。
 はじめから映画版と比べながら読む。
 当たり前だが、ずいぶん違う。
 いちばん大きな違いは、ジョゼと常夫が最後まで別れていないこと。
 恋愛の終わりを鮮やかに描いた映画版に比べると物足りない印象もある。しかし、小説はあえて問題提起にとどめているのだろうとも思う。
 書類も交わしていない、常夫の両親にも伝えていない、そんな形の結婚生活を、ジョゼは完全に肯定している。こうした人生のあり方を、そのままの形で読み手に提示する小説なのだろう。
 そして、その解釈を映画では出した。原作から逸脱しているのは間違いないが、だからこそ映画化する意義があったのだろう。
 それに対し、小説はあくまでさりげなく、上品な内容だったように感じた。
(2007/10/7)
コメント (2)
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