遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

「教文短編演劇祭2019」(後半)

2019-09-04 11:49:28 | 報告!

2019/9/3

・空宙空地『ショウアワセルフ』。

・時計に見立てた舞台上で、一組の夫婦が短針と長針のようにぐるぐるばたばたと人生を全うしようとする話。

・二人は針ではなく人間なので、進む速さだって変わるし、出会ったり、すれちがったり、ともに歩んだりする。

・ただし一時停止や時間をさかのぼることはできない。どんなにがんばっても。

・堂々巡りに見えるけど、同じ瞬間は一度もない。

・ドタバタとした泥臭い足音に悲哀を感じる。自分を重ねてしまう。そういうお客さん多かったと思う。

・二人だけでも、構図が貧相にならないように工夫されてる。

・元々演技だけでも勝負できる二人がここまで体を張ってたら、若手とかどうしたらいいんだろう。

・星くずロンリネス『ヒーローシチョウ』

・抜群に気が効いてる紹介VTR。抜け目ない。

・人前に出ると緊張してまともに話せなくなってしまう市長が、ヒーローショーを通じて成長する話。

・最初の立川圭吾くんのセリフが聞き取りやすくて安心する。短編作品は、立ち上がりがほんと大事。

・ヒーローショー要素と市長の成長要素と回文要素が別々に回転している感じがしてちょっと混乱する。要素が多い。

・それでも客席は沸く。発想力の腕っぷしが強い。

・全作品の上演が終わった後、審査員の鴻上尚史さん、石塚慶生さん、戸田恵子さんの講評。

・勝った負けたもいいけど、こんな方々に直接自作の感想を聞けるのは、ものすごいご褒美。

・鴻上さんは、厳しめのこととやさしめのことを一息で仰る感じ。スパッと切って一瞬で傷薬も塗っていく。カマイタチ(妖怪)みたい。

・とはいえ、自分はそのころ上手袖にいたので、あまり集中して聞くことができず。

・ホワイトボードを運んだり、チャンピオンベルトを袖で受け取って委員長に渡したり、地味に動く。目立たない感じであってほしいけど、どうだったんだろう。

・俳優賞は空宙空地の関戸哲也さん。

・空宙空地を最初に知ったのは、もう一人のおぐりまさこさんの一人芝居だったし、作演出のイメージがあるからちょっと意外な感じ。それでも、決まってしまえば他の選択肢はなかったように思える。

・アフターパーティーで自己紹介もせずウカツな感じで江田さんに話しかけてしまったのは反省したい。

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「教文短編演劇祭2019」(前半)

2019-09-04 11:10:05 | 報告!

2019/9/3

・台本審査を担当したり、劇作家協会に入ってたりする関係で、当日大した役割もないのにスタッフ的な立ち位置で参加させていただく。

・おかげで、事前に台本は読んでいるものの、ほぼ観客目線で各作品を見ることができた。

・マイペースの『ラスト・ショウ』。

・中堅漫才コンビの解散したいほうと、解散したくないほうが、お互いのボケとツッコミで戦う話。

・台本審査では、持ち点8点のうち2点も入れているので、ハラハラしながら見る。

・笑える笑えないというより、漫才を演劇で表現している感じがやっぱりおもしろくてホッとする。

・夢を諦める話。ポジティブに書くには難しい題材に果敢に挑んでいる。

・Gフランケン『ドッキリ・タイムズ』。

・リアクション芸人が、極限までドッキリ企画に付き合わされる話。

・着替えの大変さは計算外だったみたいだけど、どこの団体よりも出演者の動きが速かった。

・その疾走感は作品との相性もよくて、結果普通にやるより面白くなったと思う。

・視聴率ではなくてアクセス数のほうかなと思ったりもする。テレビというよりネットっぽい。

・前半2団体は比較的若手ということもあって、大ホールの広さに激しさで勝負する感じ。

・どちらもお笑い芸人の話だったけど、ショウというテーマ上、このくらいのかぶり方は仕方ないのかも。

・Mike堂『おそらく地球は消滅します。』。

・地球の滅亡を目前にして、全裸に憧れる人と全裸趣味の人が出会う話。

・地球滅亡、全裸趣味という派手な設定とは裏腹に、かなりきちんとした会話劇。

・全裸に喜びを見出す心の機微、本当に求めていたのは全裸ではなかった、超越していると思っていた人が生身の人間だった。

・大ホールできちんと会話劇を成立させている。笑いも起きていて演者の腕を感じる。

・勢いの強い二作品の後だったことはたぶん追い風。

・全裸の加減は正解がないのでほんと難しいと思う。

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報告:即興組合第27回本公演『シアタースポーツ』(2日目)

2019-07-29 22:19:27 | 報告!

即興組合、2日目が終わりました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今日は14時と17時の2回。

例によって、遠藤自身が選ぶ遠藤雷太賞(いいキーワードを提供していただいたお客さんへの賞)を中心に振り返ります。

まず14時の回。

「JBOY」と「JJ」(チーム名)の戦い。

まず、お客さんの熱気が素晴らしく、乗せられないように気をつけながら採点しました。

お客さんに盛り上がっていただけると、ヒール仕草がやりやすくて助かります。

遠藤雷太賞は「タピオカミルクティー」。

昨日、「闇営業」を採っているぶん、二日連続でベタな時事ネタはとても選びにくかったのですが、一番良かったと思います。

時事ネタ有利の法則があるのかもしれません。

内部目線で打ち明けてしまうと、プレイヤー間で、出てくるキーワードを予想することはあります。

ただし、それは世間話レベルで、実際にどんな話を作るのか打ち合わせするようなことはありません。

そのときに誰とやるのかも、どんな制約があるのかもわからないので、意味がないのです。

むしろ、事前準備はその場その場の発想の邪魔になるという考え方なんだと思います。

お話は、タピオカ不足に悩む店長のもとに怪しげな売人がやってきて、「売ってほしくばタピオカに対する情熱を見せろ」と迫る話。

話の筋を抜き出すと単純。

ただし、タピオカ好きアピールの謎の儀式が始まってみると、今まで我々が思っていたタピオカとはなんだったのかわからなくなってくる。

一つの流行語が概念ごと解体されていく感じがシュールで面白いと思いました。

他には、バースディソングに強引にねじこまれた「somebody tonight」や、「厚揚げ」「アイライナー」「ポンポン」「墓参り」など、どれもいいパフォーマンスを引き出していたと思います。

制約の活かし方や表現力の高さで面白かったり笑えたりする作品が多かったんですが、冷静に話の筋を抜き出すとごく単純なものが多く、ストーリー担当のジャッジとしては差がつけにくい回でした。

 

オーラスの17時の回。

「昭和」と「和三盆」(チーム名)の戦い。

遠藤雷太賞は「死をもって償え」にしました。

ストーリーが進む中で、危ないアクションシーンや際どいセクシーシーンになると、スタントマンと称して、相手チームを呼び込み、自分達の代わりに演じてもらうという形式の作品。

単に入れ替わるだけでは話が膨らみにくく、なかなか盛り上げるのが難しい印象です。本職のスタントマンのようにホントに危ないことやセクシーなことができるわけではないので、メリハリがつけにくい。

今回は侍同士(たぶん)の戦い。バトルシーンはスタントマンが演じます。決着の刹那、女が身を挺して戦いをとめるシーンを挟みます。これで話が膨みました。

そのあとは、くどいくらいセックスシーン?を挟んでうやむやに終わっていましたが、決闘(死)からセックス(生)の流れで、一応話にはなっているのかなと。

キーワードの活かし方、形式との相性、話の盛り上がり、それぞれのバランスが一番よかったと判断して選びました。

他には「ドリームキャスト」「ちゃぶ台」もよかったのですが、キーワードの活かし方が弱かったように思いました。

ドリキャスなら他ハードとの違いもほしいし、ちゃぶ台がテーマなら、単にちゃぶ台のある風景だけでは活かしているとは言いにくい。

ちなみに自分が一番高得点を出したペーパーズ(あらかじめお客さんにセリフや単語を書いてもらった紙を、ランダムに読み上げ、シーンを作る)ですが、キーワード賞としてひとつふたつ選ぶのが難しい形式でした。

「仮面ライダー」と「パリピ」と「闇営業(昨日も出ていた)」の戦いで、「電卓」を武器に「闇営業」を倒すという流れはとても面白かったんですけども。

あと、最終ラウンドの「ポン酢と加藤浩次」は、即興組合の長い歴史でも屈指の珍ワードだったはずです。

チーム「和三盆」が加藤浩次からアプローチし、「昭和」はポン酢から話を組み立てる。

なかなかに耐える戦いだったと思いますが、やりきりました。

今回は形式がうまく噛み合わなかったり、結局犯人がみつからなかったり、想定外のことが多かったように見えました。

これもインプロだという言い方もできますが、それよりも、そんななかで踏ん張れる人こそ真のインプロバイザーであるという見方をしたほうが、おそらく楽しめたんじゃないかと思っています。

 

以上、こんな感じです。

どこまで皆さまにとって納得感のある採点ができたかどうかはわかりませんが、精一杯やりました。

お誘いいただいた即興組合の皆さま、ありがとうございました。

そして、遠藤雷太賞を受賞された四名様、おめでとうございました。

最後に、ご来場いただいた皆さま、あらためてお礼申し上げます。

 

また機会ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

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報告:札幌オーギリング『ライジング・アンサー』

2019-06-11 21:21:30 | 報告!

札幌オーギリング再始動興行『ライジング・アンサー』、無事に終わりました。

ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

遠藤は構成という役割で参加しました。

案外重要な役どころだったため、開演まではホントにハラハラしていましたが、始まってしまえば、終始ゲラゲラ笑って見ていました。

色々反省点もありますが、ここで書いてもしょうがないので、印象に残ったことをつらつら書いておきます。

・添ちゃんの青タイツと楽太郎くんのガウン。

・実況解説から怒声レベルのツッコミを受ける禍メイ氏。(演劇関係者が見たら結構びっくりしそう。ちなみ客席は爆笑)

・タツ・コジマ女史がボードを破る時のウキウキぶり。

・「乳首の直径」が流れるだけで盛り上がる客席。(テーマ曲で誰が乱入してくるかわかる、プロレスでよく見るくだり)

・すえひろくんの「面白いことを言う前に自分で笑ってしまう」からの回答で客席爆笑。(話し方講座なら絶対に怒られる行為)

・人間臭さに磨きがかかるおいちゃん。

・Yes!アキトくんの一瞬で芸人だとわかる見た目。振られてからギャグをするまでの速さ。

・一対一の最終試合でちゃんと興行のピークを持っていく、両選手の腕力。

・終わった後、横澤さんにこのブログを褒められたこと。

DVDで見る人もいると思うので、ちょっとだけネタバレ気にしつつ書くとこんな感じです。

個人的には、高級レストランというより、縁日の屋台のような程よい親しみやすさと雰囲気のある興行になったらいいなあと見ておりました。

いかがだったでしょうか。

また機会ありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

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報告:教文演劇フェスティバル2019 短編演劇祭 台本審査会

2019-06-04 23:10:43 | 報告!

2019/6/4

教文演劇フェスティバル2019で行われる短編演劇祭の台本審査に、審査員の一人として参加してきました。

毎回同じようなことを書いてますが、ほかの審査員の方々に比べ、演劇における実績がほとんどない自分がこういう場に参加するのは本当に恐ろしいことです。

できるかぎり応募していただいた方々に納得してもらえるよう頑張ったつもりです。

と、殊勝なことを書いてみましたが、自分ほど、演劇を見てああだこうだ言うのが好きな人もいないのではないかと思っています。

ほんとは、実績はないぶん、誰よりも読み込んでやるぞと意気込んで取り組みました。

結果、全18団体すべての作品に400~1000字程度の審査会用メモを作り、ある作品では登場人物の出ハケ表を作ったり、ある作品では裏取りのために作中で出てくる地域の観光協会に問合せをしたり、色々やってました。楽しく取り組めたと思います。

本戦進出団体は実際に見ていただくとして、惜しくも落選してしまった作品の中では、「ニライカナイの風」が見られないのは残念です。他でもない教文大ホールでやっているところを見たかった。

あと、審査会で触れる機会はなかったのですが、「硝子の仮面」も見てみたかった。同じく審査員の深浦君も触れていましたが、気の置けない関係の二人がそれでもお互い少しずつ演技をしている様子がスリリングでした。

もし、別の機会でも上演されるならぜひ見たいです。

自分が参加した過去2回では本戦参加が8作品だったのに対し、今回は4作品のみ。

実際、厳しい戦いだったと思いますが、そのぶん、本戦参加作品には期待が高まります。

ここからは普通の観客として楽しみに本番を待ちたいと思います。

運営の皆さま、応募していただいた皆さま、審査会をご覧になった皆さま、どうもありがとうございました。

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報告:札幌はまなす会 第3回セミナー「くらしの中でみつけた ちいさなしあわせと大喜利」

2019-04-12 13:46:56 | 報告!

2019/4/10

札幌はまなす会のセミナーが終了しました。

ちょっと遅くなりましたが、ご来場いただいた皆さま、まことにありがとうございました。

集中しすぎたせいでしょうか、私自身あまり議論中の記憶はあまりありません。

ただ、各種発言の行くべきところと止まるべきところの調整がうまくいかず、反省の多い出来だったような気がします。

事前に追い込みすぎたのが、裏目に出てしまったようです。

うっすらですが、みんなで謝罪をしたことだけは覚えています。

記憶が無いのでなぜ謝罪したのかはわかりません。

大喜利なんて悪の行為におよんでいなければいいのですが。どうだったんでしょうか。

おそらく第3回のDVDも発売されるでしょうから、しっかり検証したいと思います。

ともあれ、ご来場いただいた皆さまにはあらためてお礼申し上げます。

少しでも皆さまの幸せにつながる提案ができていれば幸いです。

幸せとは何か。遠くへ行ってしまった熊谷先生のぶんも、引き続き、この問題に向き合っていくこうと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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【報告】『大喜利寺〜奈落〜』

2019-01-21 14:13:01 | 報告!

2019/1/19

大喜利寺が終わりました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

人前に出るのは久しぶりだったわりに、そこそこ手数も出せてホッとしております。

個人的には「まだだめ」のお題で、読み手の塚本さんにサイコパス系のアウトレイジ首領キャラを当てられたのが気に入っています。せっかくの機会だったのでもうちょっと掘り下げたかった。

オーギリングなどでお馴染みのメンバーに加えて、タチナミくん、根本くんといったニューフェイスも面白く、大喜利慣れもしていて、共演者として頼もしく感じました。

ただ、自分自身が後半失速気味で、変化球的なお題にはあまり対応できませんでした。

案の定、全部終わって一晩たってからいい答えが思いついてしまう大喜利フラッシュバック現象にさいなまれております。

いけそうな回答もちらほら思いつくので、お題を見た瞬間に、「難しそう」とひるんでしまうか、一歩踏みこむのか、心の持ちようでだいぶん変わったんだろうと思います。

こういう反省で身もだえしてしまうのも、運動のあとの筋肉痛のようなもので、それはそれで心地よいものです。

4月には「札幌はまなす会」も決まっています。

おいおい告知を出していきますが、やっぱり蜘蛛の糸をのぼっても、たどりつくのは新しい地獄なんだなと思った次第です。

楽しい地獄で困ったものですが、またどうぞよろしくお願いいたします。

涅槃、涅槃。

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【報告】BLOCH PRESENTS 2019『 LONELY ACTOR PROJECT vol.27 』

2019-01-09 01:25:24 | 報告!

BLOCHプロデュース「LONEY ACTER PROJECT vol27」が無事に終わりました。
ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今回は出演者の一人、野澤麻未さんのオファーで脚本を書き下ろしました。

書いたのは『55年目』というお話。

井上ひさしさんの名作『化粧』の仕掛けだけお借りして、自分なりのエンタメとして作ったつもりです。

原案は2001年からありましたが、役者さんにはものすごく面倒な作業とリスクを強いる作品なので、もうやる機会はないだろうと思っていました。

書く機会を与えてくれた野澤さん、演出を引き受けてくれたしまだあきひろ君には本当に感謝です。

一般的に演劇において脚本はとても大事なものです。

しかし、一人芝居は、何をおいても役者さんの資質が問われるものだと思っています。

野澤さんは、もともと役者としての場数が少ない上に、延々とメイクの段取りが続く本作をやりきるのは相当しんどかったはずです。

しかし、日々のメイク練や稽古を通じてどんどん錬度を上げていく様は自分にとっても大変刺激的でした。

メイク指導で関わってくれたyhsの青木玖璃子さんにも感謝です。

ちなみに、アンケートやツイッターのリアクションを見ると、わりとポジティブな話ととらえていた方が多かったようですが、本作は「やめることをやめた女の末路」でもあります。

意図してそうしたわけではないんですが、演出次第でポジネガどちらにもとれるリバーシブルな本です。

今回の座組みでは暗いお話が多かったのでポジティブな味付けは正解だと思いますが、逆に振れた話もちょっと見てみたいと思いました。

題材が題材なので脚本面の反省点もありますが、次回公演の機会があれば、より錬度を上げた『55年目』をお見せしますのでお付き合いいただければ幸いです。

あらためて、観に来ていただいたお客さま、作品作りに関わってくれた皆さま、ありがとうございました。

 

◎主な参考資料もあげておきます。札幌市HPにはさっぽろ文庫の電子版もあります。

井上ひさし全芝居 (その3)
クリエーター情報なし
新潮社

 

昭和20年の記録 (1980年) (さっぽろ文庫〈14〉)
クリエーター情報なし
北海道新聞社

『北海道演劇史稿』北海道演劇史編集委員会編(1973年) 北海道教育委員会

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報告:第68回北海道高等学校文化連盟石狩支部 高校演劇発表大会 北海道札幌平岡高校演劇部『オリオリ』

2018-10-12 00:49:46 | 報告!

北海道札幌平岡高校演劇部『オリオリ』を見てきました。

スケジュール的に諦めていたんですが、色々偶然が重なって全体の2/3くらい見ることができました。

遠藤は脚本を提供しました。書き下ろしです。

ただ、書いている段階で部員のみなさんとは面識がなく、いわゆる当て書きではありません。

講評でそうではないかという指摘もあったようですが、そう見えたなら、それくらい役に寄せられた演者が巧かったということになります。

遠藤は一応教育学部を出たものの、学校という環境から離れて幾年月もたった部外者です。なので、部外者だからこそ書けることを書くようにつとめました。

具体的に意識したのはこんなところです。

・不登校を扱った話のステレオタイプに落とさない。学校に戻ることをゴールとしない。

・部活動を題材にしていても、部活動自体を目的化しない。なぜ部活を行うのかきちんと疑った上で自分なりに普遍性のある答えを出す。

・そう簡単には謝罪→和解という非当事者から見て都合のいい物語にしない。

・登場人物をすべて高校生にする。

・教訓的な要素をできるだけ廃して、カラっと笑えるコメディにする。

あんまり高校演劇らしい話にはならないかなと思ったんですが、実際見てみるとそんなことはなく、このジャンルの懐の深さを感じました。

「登場人物を高校生にする」は、せっかく高校生が演じるのに高校生以外の役をやるのはもったいないという意味です。

まともに高校生の役ができる期間なんて、一人の人生のなかでせいぜい4~5年です。あとは大竹しのぶクラスの超一流になるか、ギャグ要素をまぜないと見てられません。

この「自然に高校生の役が出来ることの尊さ」って、当の高校生が自覚するのは難しいんじゃないかなと思ったわけです。

このへんのこだわりは初めて書くからで、脚本家としての力みでもあります。また機会あればもっと柔軟に考えてもいいのかなと思っています。

肝心の舞台なんですが、脚本家の狙いをよく理解してくれ、かなりの確率で意図通りに笑いが起きていました。心底、ほっとしました。

たぶんお客さんからは簡単そうに見えたと思いますが、かなり地味で膨大な調整作業があったはずです。

外部コーチ的な立場で参加していた熊谷嶺くんの力も大きかったと思います。

本番が始まってしまえば脚本家はのんきなもので、自分が面白いと思っているものを書いていることもあり、たぶん他のお客さんよりゲラゲラ笑いながら見ていました。

登場人物は四人。みんな生き生きとしてほんとかわいい。

特に陽菜(役名・謝る側の子)は、自分の脚本以外ではあんまり見たことない感じのキャラクターなので、難役だったと思います。

よくあそこまで作ってくれたなと感謝しています。

高文連的には優秀賞。

高評価ではありますが、作品的にもう一化けしそうな雰囲気もあったので全道でも見たかったです。

最後にタイトルについて。

不登校の自室、自縄自縛状態の陽菜の精神状態がそれぞれ「檻・檻」でしたし、絶対に許せないことを許すために必要な時間を「折々」としました。

ついでに、「OLIOLI」にすると、ハワイ語で「愉快」「楽しい」という意味になります。

ご覧になったお客さんはもちろん、演劇部の皆さんも、愉快で楽しい作品になっていたら幸いです。

全部まとめてお礼申し上げます。ありがとうございました。またがんばります。

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報告:きまぐれポニーテール ふたり芝居フェスティバル 「Pair Play Parade」

2018-10-10 23:57:01 | 報告!

きまぐれポニーテールさんの「Pair Play Parade」札幌・東京公演全日程が終了しました。

ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。

今回は自分のかかわったお話と、各作品、東京生活の感想を簡単に書いてまとめとさせていただきます。

なお、画像は宣伝デザインのむらかみなおさんによるものです。

遠藤(雷)は『まわるる』という作品の脚本と演出を担当しました。

亡くなったある男を巡って、初対面の女性二人が観覧車のゴンドラ内で主導権を奪い合う話です。

以前『箱』という上下に動くエレベーターの話を書いたので、今度は回転移動するゴンドラの話にしました。

モデルになったのは札幌市内にあるあの観覧車です。

臨場感を出すために、実際のゴンドラよりもかなり狭い演技スペースにしています。

なお、劇中に登場するあのチケットは実在します。

その存在を知った時は「なぜ?誰が?いつ?」と激しく混乱したものです。

演じていただいたのは、きまぐれポニーテール主宰の寺地ユイさんと、パインソーの山崎亜莉紗さん。

二人芝居の本質は対立だと思っているので、できるだけシンプルに、寺地さんと山崎さんの演技合戦が堪能できるよう作ったつもりです。

まだまだ掘れる話なので、機会あれば再演もアリかなと思ったりしています。

 

『烏骨鶏の骨』

・札幌公演の特別企画。

・自死をサポートする業者とそのお客さんの話。

・短編小説を三次元化したような後味。

・菊池寛の『身投げ救助業』をちょっと連想する。

・役者さん2人はこの座組みの中で最年少コンビ。

・若いながらも老獪かつ変則的な台詞回しで攻める佐藤優将くんと、それに惑わずサクサク進行する髙倉綾乃さん。

・折角の若さを爽やかさではなく暗さに使っている。

・目先の面白さに飛びつかずストイックかつ丁寧に仕上げている。

『寝るとひらく扉』

・東京公演のゲスト組。

・記憶を失い、閉じ込められた二人が謎の部屋から脱出しようとする話。

・最初の選曲が東京公演のスターターに相応しい。

・こういうのホントは北海道組がやらなきゃいけなかったのではと思ったりもする。

・最初のカホンのリズムで台詞をかけあうところが楽しい。

・二人芝居フェスなのに始まって明るくなるといきなり三人いる。

・サイトータツミチさんのキレキレの肉体と、本業は朗読という飯干大嵩さんの言葉、そして隙あらば役者さん以上の存在感を出してくるカホン奏者Yoshiyaさんの3WAYマッチ。

 ・11/30~12/1、飯干大嵩さんが主催する朗読会「VIVID」が札幌であるそう。行きたい。

『生まじめ Sting Ting』

・少年とじじいが世界の災厄と戦う話。あるいは奇祭。

・遠藤洋平くんの過去の一人芝居も祝祭感が強かったけど、二人いると関係性が生まれるので、いつもどおりやっていても物語っぽく見えてくる。

・好き勝手やってるようで、小道具(ウェハース、シール、ちんちん)の使い回し方がうまい。

・ホームとも言える世界観で狂気を炸裂させる遠藤くんと、相手の領域内でもしっかりその狂気をを受け止める木山正大くん。矛と盾。

セッション、心電図の音、箱のソト見など、小ネタが一々おもしろく、何度見ても笑ってしまう。悔しい。

・木山君のチャゼル感。ほんとはお客さんを選ぶネタは好きじゃないので、みんながセッション見ればいいんだと思う。

『チワワ・スタンプ・インシュランス』

・落ち目のイラストレーターが同棲中の彼女から目茶目茶怒られる話。

・20分以内で収める注文どおりの脚本。話とは関係ないところで静かに反省する。

・あの『言いにくいコトは、、』で俳優賞をとった熊谷嶺くんを向こうに回して、池江蘭さんは圧倒的な手数と正論でねじ伏せる役割。

・やる気満々で先輩を刺しにいく後輩が頼もしすぎる(実年齢はそんなにかわらないはずだけど)。

・大の大人が正論で思いっきり怒られて半泣きになる展開の切れ味。

・やられればやられるほどかわいいという受けの美学的な展開にほっこりする。

 

各作品の感想はこんな感じです。 

東京生活では、着いて早々ひどい股ずれを発症してしまい、日に日に歩くのもしんどい状態になっていました。

公演と打ち上げ終了後に、近くにいた遠藤洋平くんにそのことを愚痴ったら、ちょっと強引に大きめの荷物をひとつ持ってくれました。

あんな作品作っといて、やさしいのはずるいよね(いい話風にまとめたつもり)。

 

※東京滞在中、唯一と言っていい個人的なお楽しみ。千駄ヶ谷の将棋会館へ。扇子の言葉は孟子らしいけど、原典のニュアンスは置いといて、脚本を書くときに励みにしたい言葉。(この画像だけ、さっき自分で撮った)

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