2020/3/27
・生身と見まごう四体の女性の人形が作られていく過程を描いた話。
・全部で2時間。3話構成になっているので、そこまで長くは感じない。
・会場に入る前に手のひらを消毒。お客さんはほぼ全員マスク。普段見られないコンカリの換気のやり方。
・客席の椅子は通常通りの配置だけど、一席ずつ空けて座る。パンフが置いてあるのでわかりやすい。
・非常時のやむをえない対策ではあるけど、正直、座りやすいし、見やすい。
・お客さんが声を出して笑うような作品ではないので、仮にこの作品がダメなら演劇は全部ダメかも。
・面白さの方向を一語で表すと耽美。
・こういう面白さは小劇場のジャンルでは希少。
・普通はやりたくても技術が伴わない。笑いと違って、偶然性による面白さは期待できない。
・人形を演じる生身の役者、繰り返されるあや取り演出、装置の移動と組み立て、着替え、動線だけでも決め事がたくさんありそうな大勢の黒子たち。
・演出の手数が多く、そのひとつひとつに美しさが求められる。これは大変。
・自分があの中にいたら絶対あやとりで絡まる。台無し。
・そんな作品なので、必然的に舞台上には緊張感が生まれてくる。
・野球に例えると、0対0の投手戦を見る楽しさに似ている。
・舞台は上手下手と奥の三方向を紗幕で覆っている。
・黒子が出入りする、チラッと見えて消える、出入りしそうでする、しないの塩梅が薄気味悪くて楽しい。
・凝りだすとキリのない数々の表現を、全部高いレベルでまるっとまとめきったところに、劇団の組織としての積み重ねと強さを感じる。
・最後の暗転の仕方もおもしろい。カラフル。
・野暮なんだろうけど、秋山さんはどうしてあんなに人形作りにこだわったんだろう。桜貝はわかるんだけど。
・愛玩する感じもでないし、何かの使命感、仕事、趣味、どれもピンと来ない。
・愛情と道徳的な正しさは案外両立しないのは承知で、ジェンダー論的に観るとどうな感じになるんだろう。
・近々、『人形の家』の公演もあるけど、人形観の違いが面白そう。人形になるのはだいたい女性だけど、男女逆転しても成立するのかな。
・答えが出ないことでも、いろいろ考えてみるのは楽しい。