遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

久留米大学附設高等学校 『豆球~マメキュー!!~』(全国高等学校演劇協議会)

2022-08-31 22:54:39 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/8/28

豆球部に入部した新入生が、他校との試合や他の部員たちとの関係を通して自分自身と向き合い、成長する話。

そもそも豆球とはなんだという誰もが思うことは、部分的に説明して、あとは見ている人の想像に任せる方針。

ふざけているようで、豆球部の話は既存の大体の運動部の比喩として置き換えができるし、下手に既存の競技に決めないほうが観客間の知識の格差を気にしないで済む。

万人が盛り上がりやすい青春スポコン(死語かも)の構造のみ取り出してうまく活用している。

ちょっとマッチポンプ的だけど、豆を使った伏線とその回収も賢い。

豆をボーリングの玉を一回り小さくしたような豆っぽくない造形にしたのも絶妙。

ワンクールのドラマまたはアニメのフォーマットを使って、テンポの良さを出したり、伏線の回収をコンパクトにできる。

この方法なら、謎の女を謎のままにしていても違和感がない。なんだかんだあったんだろうなと自然に思える。ほんと賢い。

久留米大学附設高等学校 『豆球~マメキュー!!~』
https://www.openrec.tv/movie/e5rknwxo4rv

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山口県立光丘・光高等学校 『陰影』(全国高等学校演劇協議会)

2022-08-29 21:28:55 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2022/8/28

高校生ヒグチが憧れの同級生との思い出を深い後悔とともに回想する話。

ヒグチは、クラスのまとめ役として、面倒臭い他の同級生たちに振り回される。

特に溜息が個性的な女子がイラ楽しい。

ハットリ(ハッタリ?)は、そんな面倒なクラスメイトたちをうまくコントロールしながら彼女を助ける。

こういう優秀な参謀役はスマートだけど、文句言われながらなんだかんだで泥臭く先頭に立ち続けるのも別の才能。

ヒグチはそんな自分の優秀さには気づかず、自分のことで精いっぱいになっている。

最初から何か悪いことが起きる匂わせが強いので、ロクな最後にならないことは見ている人みんなが分かっていたと思うけど、それでも実際に顛末を見るといたたまれない。

あんまり見たことないタイプの作品だったけど、強い後悔は間違いなく青春の一面だし、たしかに高校生が演じることが強みになるタイプの話だった。

山口県立光丘・光高等学校 『陰影』(全国高等学校演劇協議会)
https://www.openrec.tv/movie/e5rknwjo4rv

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

札幌啓北商業高校 『七夕』(全国高等学校演劇協議会)

2022-08-21 23:18:24 | 演劇を見てきた

2022/8/21

一人暮らしをする祖母に久しぶりに会いに来た孫たちが、ことあるごとに高額商品を売りつける怪しい男を追い払う話。

善意の人をとことん利用する人たちを見て、結構イヤな気持ちになる。こういう切り口もあるのか。

一歩間違えると、犯罪防止をPRする作品みたいになりそうなところ、最終的には孫と祖母の絆のようなものに落とし込んでいる。

それだけだと、だいぶん教訓的な話になってしまうので、祖母の「孤独」がどこまで表現できていたかがキモになる作品だと思う。

装置がものすごい。

お金とモノだけはたくさんあるという、高齢者独特の内装。

家庭用大型冷蔵庫まで持ち込むこだわりぶり。

今後は本作に出ているような祖母すら減って、孤独でお金もない老人が増えていくんだろうなと思うと、いたたまれなくなる。

あと、SNSで知り合った人には、ホントに注意した方がいいと思う。

OPENREC 作品1
https://www.openrec.tv/movie/12ro03jdmrn

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

座・れら『アンネの日記』

2022-08-09 14:37:01 | 演劇を見てきた

2022/8/6

・第二次世界大戦中、ユダヤ人の少女アンネが、他のユダヤ人とともに、屋根裏に隠れ住み始めてから、ナチスに連行されるまでを綴った日記。

・最終的にどうなったのかを知ってぶん、見る前からなかなか気が重い。

・それでも、定期的に見ておいたほうがいいタイプの作品はある。

・そういう制度があったのはわかっていても、実際に人間の胸に大きな星のマークを付けているのを目の当たりにすると、とても嫌な気持ちになる。

・四六時中あんなもの付けて生活しなきゃいけないのは辛すぎる。

・わかりやすく誇張されている部分もあるんだろうけど、作中人物が全員個性的で見やすい。

・特に最初のほうのアンネ。状況にあっていない明るさというか、異物感というか、誰彼かまわず距離を詰めていく感じがハラハラする。

・ハヌカでのふるまいを見ていると、自らムードメーカーとしての役割を請け負っている感じもある。

・屋根裏部屋に隠れ住むような特殊な生活でも、年端も行かない少女なので当たり前のように成長している。

・もともと日記なので伏線や前ふりがない。

・戯曲としてのなんとなくの構成があるのはわかるものの、いつ彼らの「日常」が奪われてもおかしくない状態が長く続く。息苦しい。そして怖い。

・作中で描かれているのは、殺された人たちが、一人一人実在していたこと。

・たまたまアンネが日記を残して、たまたまオットーが生き残ったから、後世の人間にも彼らが存在していたとわかる。

・ひとつの大きな悲劇があったのではなくて、大きな悲劇が無数にあったんだということが理解しやすい。

・それは、日記でも小説でも映画でもなく、関係性を描くのに長けた演劇だから表現しやすいことなのかも。

・総攻撃が始まったときには、「今度こそ、この人たちは助かるのではないか」とちょっと思ってしまったし。

・あと、舞台装置の建て込み具体、空間の埋め具合がすごい。

・屋根裏の屋根裏(上手の上のほう)みたいな場所がタイのタイみたいで好きだった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする