バーニーズ物語☆エリン舎

バーニーズブリーダーとして、今年の8月で27年。
健康でバランスのとれたバーニーズを世の中に

年賀状用写真

2010年11月06日 23時57分32秒 | 日々のわんこ
ジェイ君が、また馬尾症候群の症状を見せたので、あいち犬猫医療センターに行きました。

ルカ・ジョイ君のパパである加藤先生に推薦状を書いていただいて、お陰様で希望の研修先病院が決まり、たまたま報告に来ていた青島の上の娘に、
いっしょに付いて行ってくれるよう頼み、



ヒート2ヵ月後のとおこテーラーい~なと擬似妊娠反応をしているノバまでも連れて行きました。

大勢でいくならと カメラを持って、年賀状用の写真を撮りました。

い~なノバ


とおこい~なノバ


とおこ、い~な   い~な は、相変わらず写真慣れしており、ポーズをとります。




どんな角度から撮っても、美人に見えます。


ただ、黙って順番を待っていられない岩倉は、いつものごとく、わんこたちの歯石取りをはじめました。


い~な


この状態じゃぁ~ ポーズを取れません・・・。アハッ

雷蔵くん

2010年11月05日 23時03分20秒 | 日々のわんこ
雷蔵君のママからで、
『 名前は「雷蔵ライゾウ」に決めてます。
立派なアメリカの血統の子に似つかわしくないかも…ですが、お願いします。
独身時代、漫画家の叔母と一緒に住んでいた時に飼っていたコリーが蘭丸、その後にきたハスキーが藤丸、2匹亡くなった後にきたバーニーズが歳三だったので、その流れです(^_-) 』

頂いたに 『 えっ~ 叔母様って、きっと 一条ゆかりさんだぁ~ 』 とスタッフ一同大騒ぎ~。

今まであったお問合せやご予約は、
お客様: 『 一条ゆかりさんの書いている漫画の三毛のわんこですよね?子犬予約しますぅ~ 』
弊舎:  『 ありがとうございます。』

お客様: 『 一条さんが飼っていたので、バーニーズと暮らしたい。』
弊舎:  『 ありがとうございます。』

お客様:『 歳三君の出身犬舎ですか?』
弊舎:  『 いえ、残念ながら違います。 』
お客様:『 どこのブリーダーさんか、ご存知ですか?』
弊舎:  『 申し訳ございません、わかりません。。 』

お客様:『 一条ゆかりさんと暮らしている子をください~ 』
弊舎:  『 ? 』  などなど

岩倉は、一条さんもいっしょに雷蔵君をお迎えにいらっしゃるとお聞きして、「 やっとお礼が言える。 」 と申しておりました。
花島は、一条ゆかりさんの大ファン。 『 有閑倶楽部 』 全巻以外に ほとんどのコミックを所有していて、サインを頂こうと話しておりました。
小野(翔ちゃん)は、 『 有閑倶楽部 』 の大ファン。花島と同じで サインを頂こうと思っておりました。
青島は、高校生のときに 唯一買う漫画 『 りぼん 』 は、一条ゆかりさんの作品が載っているからという理由で買っていて、数十年前に 『 りぼん 』 に載っていた一条さん自身の写真を拝見して、 『 こんなきれいな漫画家さんがいるんだ。書いてらっしゃる主人公にそっくり 』 と思ったそうです。

いらっしゃいました、一条ゆかりさんです。抱かれているのは、雷蔵君です。 やはりとてもお美しい方です。〇〇歳にはとても見えないです。


お話をお伺いすると大学生のときに雷蔵ママは、一条さんと暮らしていたわんこの世話を全部していたそうです。
雷蔵ママもとてもきれいな方です。一条さんととても似てらっしゃいます。
どこかのモデルさんをしていらっしゃるのか?お聞きしようとして忘れてしまいました。


雷蔵パパは、マラソンもしてらっしゃるスポーツマン。高校生と中学生のお姉ちゃんとお兄ちゃんもいるそうです。
運動系の雷蔵君にとって、いっしょに走ってくれるご家族は、何よりありがたいと思うのではないでしょうか?


良かったね、雷蔵君~。すばらしいご家族と暮らせることになって・・・。おめでとう

とても高校生と中学生の子供がいると思えない雷蔵ママと雷蔵

時々、雷蔵君は、一条託児所?にも行くそうですぅ~
しつけが入っていないでごめんなさい しつけ 入れてくださいねぇ~

頂いちゃいました一条ゆかり先生のサイン サッサと書いてくださった雷蔵君。 う~む さすがーーー似てるぅ~


個人的なものが2枚ないので、3枚とも弊舎に飾ることにしました。 ごめんね、花ちゃん、翔ちゃん~

うれしい! たのしい! 大好き! (つづき)

2010年11月04日 23時42分15秒 | 日々のわんこ
昨日は、たくさんの方が遊びにいらしてくださいました。
ありがとうございました。

まずは、ちゃん・・・

もとい、桃子ちゃん です。。。 ちゃん、桃子ちゃんのふたりは、そっくりです。

桃子ちゃんです。 何を見ているのでしょう?


そう、ニモパパさまが撮って編集してくださった ちゃんのTV出演DVDです。


ママが大好きなライトニング君。


今日は、ママとふたりでお出かけで、ご機嫌ですぅ~


顔がとろけちゃいました・・・。 エヘ


最初にライ君と桃子ちゃん宅が到着ぅ~


次にぐぅちゃんが到着~


↓ ぐぅちゃん~


その次に君と


ローズちゃんが到着~


偶然、ココちゃんのご家族もいらっしゃいました。ありがとうございました。


それからami君とロコちゃんが到着~ 君、襲われてる?


あっという間にこんなにたくさんに。うれしいなぁ~ たのしい!


大好きなわんこのお友達は、話がはずみますねぇ~ 


チビたちの抱っこを強制的にお願いしました。ありがとうございました。


ビデオ撮りです。かわいい時は、たくさん写真やビデオを撮りたいですね~


偶然?反対側にいらっしゃる方々が、鏡に映っています。


うれしい!たのしい!大好き!な1日でした。
ありがとうございました。またいらしてくださいね~お待ち申し上げますぅ~

わんこと暮らす方へ

2010年11月02日 23時58分05秒 | 日々のわんこ
わんこと暮らす方から メールを頂いた。
はじめてわんこと暮らすのは、不安がいっぱいなのは、誰でも同じ。
私たちスタッフも全員がわんこが好きでたまらなくって、この仕事を選んだのではない。キライだったのにこの仕事をしているスタッフもいる。キライだったからこそわかるわんこの世界。不安だったからこそわかるわんことの暮らし。そんな思いで、メールの返事をした。


ルース君ご家族

わんこと暮らしたいと思ったらいろいろな準備が必要ですが、一番大切なのは飼い主としての「心の準備」です。
まずは、わんこのいる暮らしがどういうものなのかをイメージしてみてください。

食事の準備、排泄の処理、運動、お出かけ等々いろいろな場面が浮かびましたか?

たくさんのことを1度に申し伝えても混乱されると思いますので、今回はひとつだけ申し上げます。

人の都合で、振回したり、感情の捌け口でわんこに当たらないでください。
たとえあなたがわんこにそれらのことをしても わんこはそのときは、萎縮しますが、その後、すぐ忘れてくれたり、水に流してくれたりして、またいつものようにあなたを愛してくれます。
わんこは、無償の愛を提供してくれます。
だからこそ、まだ起きていない不安をぶつけたりする前に、自分たちの勉強不足でわんこの世界を否定する前にたくさんの勉強が必要です。

まず、弊舎のテキストを何度も読んでください。(エリン舎HPに載っている子育てのテキストは、15年前に作られたもので現在のテキストとかなり内容が異なります。)
何度も読んで、わからないことは、何でも聞いてください。

〇〇しなくてはならない!なんてことは、ひとつもありません。
人に対して、多くの人が愛や思いやりを持って、接するようにわんこにも多くの思いやりと愛を持って接してください。

わんこたちは、いつも今、起きている全ての状態を自然に受入れ、生きています。
彼らを見ていると起きていない不安をかかえている自分が、馬鹿らしくなります。
『 自然に生きる 』これほどすばらしい生き方はないと考えています。
自然に生きることを毎日している彼らと暮らすことは、すばらしい生き方をしている先生が、いつもそばにいるようなものです。
またわんこといっしょに出かけたり、庭に離してあげたりして、いつもと違うテンションで遊んでいる彼らを見るととても幸せな気持ちになります。
シッポを振って愛を与えてくれるわんこたちに、今の自分たちができる限りの精一杯を与える。

それが、わんこと生きる私たちの大切なことと思いますが、いかがでしょう?

わんこのしあわせは、飼い主さま次第で決まります。そして、愛するわんこがしあわせであってこそ、物がなくても思ったことが起きなくても 人も自然に幸せに暮らせるのです。

私たちもできる限りのことをわんこに対してしていますが、まだまだ理想にはほど遠く、毎日努力している状態です。ぜひ、ごいっしょに悩み、ごいっしょに自然に生きませんか?
1日の終わりに ホッとする時、まだまだな私たちですが、しあわせを感じます。

わんこ嫌いだったのに、今は、毎日、わんこに多くのことを教えてもらっています。ありがたいことです。


われらが親分?岩倉

2010年11月01日 20時20分25秒 | 日々のわんこ
今日は、11月1日。
ひさしぶりに弊舎のわんこ紹介に戻ろうと思ったけど、どの子からか忘れたので、いっそ われらが親分 エリン舎社長の岩倉を紹介。


顔は、怖いと思われることが多いのですが、彼ほど人にもわんこにも優しい人はいないと思います。
できる限り、飼い主様の希望に沿うように考え努力します。
根っからの正直者。
だまされることは、多々あっても人をだましたことがない・・・。  と思います。


たくさんの人を尊敬していて、数え切れないほどです。
馳さんご夫妻はじめ、飼い主さんのほとんどを尊敬しています。お会いした方々は、必要で会っていて、みな、自分の先生と思っていますし、スタッフの人たちにも言っています。
同業者の先輩方々も尊敬しています。

アメリカで自分の言葉でコミュニケーションをとろうと英語の勉強を毎日しています。努力家です。

欠点は、125ccバイクのレーサーだったせいか、かなり耳が遠い。。。だから声も大きい。
普通にしゃべっているのに怒っているように聞こえます。移動中の車でかける音は、隣の車の人も驚くほど。
それからかなりのシャイ、はじめての人には、挨拶ができないことがあります。
商売人としては、失格!

植松先生のコミュニケーションで、「岩倉は、犬の大親分だから言うこと聞かないとダメ!」 とわんこが他のわんこに教えていると聞いて、なるほどと思えてしまう。

ちょっと繊細、超優しい岩倉の楽しみは、出身者のブログを毎日欠かさず読むこと。時々、ブログにしゃべっていて怖い~。
今年、大台に乗りましたね。って、老けて見えるから大台って、何歳って思われるんだろ?
まっ、いいか!

そんな岩倉が見つけてきたサイト。
とても気持ちが伝わる文章なのでなので、紹介しちゃいます。

命、与えられた大切な命。めぐり合った命。新しい命に出会うたび、いつも思います。命の重さは、みな同じ。

どうして?

犬を愛するすべての人へ      原作・ジム・ウィルス
あのころ。
あなたはいつもわたしを見て笑ってくれましたね。
まだわたしは小さくて、抱かれたら胸にうずもれるくらいで。
あなたの足もとで飛び跳ねたり。
あなたの手を噛んでいたずらしたり。
あなたの口笛を聴いて首をかしげたり。
あなたの目を見ながら「クーン」と鳴いたり。
赤い首輪を買ってくれて、「うちの子」とわたしを呼ぶあなたといることが、うれしくてしかたなかったのです。
けれどときどきわたしは「いけない子」になりました。
靴やクッションをボロボロなるまで噛んで。じゅうたんの上でおしっこをして。
するとあなたは決まってわたしの鼻元で指を当てて、きびしい顔でこう聞くのです。

「どうして?」

でもすぐにニコリと笑ってわたしをあお向けに転がし、おなかをなでてくれましたね。
あなたの仕事はとても忙しかったから、大事なわたしのしつけには長い時間がかかりました。
それでも、ふたりでがんばってきましたね。
あなたの仕事に出かける前は、ふたりでゆっくり散歩です。
夕方になれば、陽だまりで鳥の声を聴いてうとうとしながら、仕事を終え疲れて帰ってくるあなたを待ちました。
休みの日には、公園にいったり、ドライブにいったり、たまにはアイスクリーム屋さんに寄ったり。
「アイスは犬にはよくないんだよ」と言ってコーンしかくれなかったけど。

夜になればあなたのベットにもぐり込みます。
すぐに暑くなるから枕もとに顔だけだして。
耳もとであなたが話しかけてくれたのは、胸に秘めた将来の夢、誰にも内緒だった初恋。
そのことばのひとつひとつをいまでも憶えています。

そんな夜、「ああ神さま、わたしなんて幸せなんでしょう。これ以上なにも望んではいけませんよね。」
そう思いながら眠りにつくのでした。

でも。

少しずつ少しずつ、あなたの見ている方向が変わっていきました。
わたしの姿から、高い目標の仕事や出世へと。長くなる、仕事にかける時間。
増えていく、仲間と語り帰らない夜。
それでもわたしはずっとあなたを待ちました。
あなたが家にたどり着けば、けしてグチなどこぼさずにはしゃぎ回りました。
落ち込んだり傷ついたりしている姿を見れば、すり寄ってあなたの手を舐めてなぐさめました。
そしてまちがった決断をしたことに気づいても、黙ってあなたについていったのです。

そう、あなたが恋に落ちたときにも。

「どうして?」

とは訊かずに。

その女の人はあなたと違ったところがありました。犬が好きではなかったのです。
それでもわたしは、あなたの奥さんとなった彼女を家に迎え入れじゅうぶんな愛情を伝え、言うことも良く聞きました。
あなたの幸せは、私の幸せだったから。やがて、またひとり家族が増えました。
赤ちゃんが産まれたのです。透きとおるようなピンク色の肌!
なんともいえなしミルクのいい匂い!
胸をしめつけるように響く泣き声!
すっかり赤ちゃんの虜になってしまったわたしは、かたときも離れずにかわいがりたいと願いました。
それなのに。そのかわいい赤ちゃんとわたしは、まったく触れあえなくなってしまったのです。
奥さんといっしょにあなたまでもが、赤ちゃんを傷つけるのではないかと心配して、わたしを遠ざけました。
赤ちゃんの見えない別の部屋とケージの中で、一日のほとんどを過ごすことになってしまったわたし。泣き声すら聞こえてきません。かまうことが許されない囚われの身。

ああ、愛おしい赤ちゃんに会いたい。そう考えながらドアばかり見ていました。赤ちゃんが少し大きくなり、やっといっしょに過ごすことを許されました。
すると、ほんとにすぐ、ふたりは友達になり、赤ちゃんはよく、わたしにかまってきました。
背中の毛にしがみついてよろよろとつかまりだちを。
マシュマロのような指でひげをひっぱり。濡れた鼻に何度も何度もキスをして。
大きな耳をめくってわざと大きな声で叫んだり。
もし、このかわいい生き物に危機が訪れたならば、わたしは命がけで守ったことでしょう。
それほどわたしは子どもの何もかもが好きでした。特に、子どもに触られることが。
なぜならば、そのころあなたはもう、めったにわたしに触れようとしなかったから。
わたしは夜ごと子どものベットにもぐり込みました。
昔、あなたのベットにもぐり込んだように。そしてあなたから聴いたのと同じく
子どもらしくどんどんふくらむ将来の夢や、あなたのお母さんにも言えない悩みを聴くのです。

そうしながらふたりがいっしょに待っていたのは、夜が更けると通りから聞こえてくる、あなたが車をガレージに入れる音でした。
ぼろぼろになったわたしの写真を財布からだして、「犬を飼ってるんです」と、人にうれしそうに話をする。それが昔のあなたでした。
「犬を飼ってるんですか?」と訊ねられれば、「ええ」とぶっきらぼうに答えて話題を変える、それがいまのあなたです。

わたしにお金がかかるのをもったいない思いはじめた、あなたのそんな心も、わたしは感じています。
あなたの中でわたしの存在が変わったのでしょう。「あなたの犬」から「ただの犬」へと。

別の街で、仕事の大きなチャンスをつかんだあなたは、その希望に満ちたスタートを切るための新居、引越し先を探しています。
「あなたの家族」にとってそれは喜ばしいことです。
あなたは、一歩一歩、夢に向かって近づき、奥さんと子どもは頼もしそうにその姿を見ている。
でも、かつて、あなたがその夢を語っていたころ、わたしがたったひとりの家族だったということを、あなたはいま、思い出しているでしょうか。
奥さんが手に持ったチラシに書いてある、「 ペット禁止 」の文字。
ひさしぶりに車に乗せてもらいワクワクしたのは、ほんのつかの間。
すぐに車が大きな建物に着いて中の部屋に向かう、あなたと奥さんと子ども、そしてわたし。
そこには何かの係らしい女の人がいて、渡された書類を書き終えたあなたは言いました。
「こいつにいい家を見つけてやってくださいよ」女の人は、肩をすぼめ少し眉間にしわを寄せ、とがめるような目でちらっとあなたを見ました。
彼女は知っていました。
たとえ血統書がついていても、歳をとり連れてこられた犬がたどる運命を。
ここには犬や猫たちの孤独と絶望がたちこめていました。
嗅いだことのない匂いとともに。アニマルシェルターは静かです。
「だめ!パパ、ぼくの犬だよ、連れていかせないで!お願い!」突然、子どもの叫び声が響きわたりました。
わたしに向かって飛んできて抱きついた子どもの指を、あなたは、一本一本、はがそうとしています。
あなたが買ってくれた、鮮やかな赤の首輪から。
わたしは気がかりでした。子どものことが。
あなたがいま、わたしや家族の前でしていることで、子どもが学びとるものは何でしょうか?

友情?忠誠心?責任?愛?

それとも生きとし生けるものの尊い命について? 聞いてみたいのです。 あなたに。
「首輪とリードは持ち帰れますけど?」
首を振って係の女の人の申し出を断ったなたは、わたしに視線を合わせず出口に向かいました。
「さようなら」を言わずに。言わせずに。あなたが去った部屋に係の女の人がもうひとり入ってきました。
最初は黙ってわたしを見下ろしていましたが、しゃがみ込むとわたしの目を見て、誰に言うともなく静かに口を開きます。
「引っ越すことなんて、たぶん何ヶ月も前からわかっていたはずなのにね」
もうひとりの人がわたしの背中をなでつづけます。「別の飼い主を探そうとはしなかったのかしら」
ふたりはわたしの両側で顔を見合わせると、うつむき、深くためいきをついてから、つぶやきました。

「どうして?」

わたしの檻の中での暮らしが始まりました。最初のころは、誰かが檻の前を通るたび、毎回毎回すぐに飛び起きて見にいきました。
「あなたが考え改めて、わたしを迎えにきてくれるかもしれない!」
そう思って檻に走り寄るのです。これはすべて悪い夢に違いない。そう信じながら過ごしていました。

そんな日々続き、わたしの心はだんだんと弱っていって、あなたが来てくれることは、心のどこかであきらめていきました。それでも今度は、
「誰かやさしい人がわたしを気にとめ助け出しに来てくれたのかもしれない!」
まるでそう自分に言い聞かせるように、檻のすき間から鼻先を出してしまうのです。けれど、子犬たちがはしゃぐ姿を見て悟りました。
歳をとったわたしでは、とうていかなわないと。
シェルターに犬を見に来た人たちを前に、連れて帰ってもらえるかもしれないことを、知ってか知らずか、無邪気に飛び跳ねる生まれて間もない命。

そのときから、わたしは檻の奥に引き込み、そこから動かずにじっとしていることに決めたのです。
職員さんたちはわたしたち仲間の犬や猫みんなに、せいいっぱい、心からやさしく接してくれて、食事もじゅうぶんに与えてくれました。
でも、わたしはもう何日も前から、完全に食欲を失っていました。

そんなある日の夜。係の女の人がわたしの檻に近づく足音が聞こえました。檻が開き、彼女に連れられてわたしは別の離れた場所へ。
廊下を進むうち、仲間の声も聞こえなくなりました。
入った部屋にはテーブルがひとつだけ。彼女はわたしをやさしくテーブルの上まで抱き上げ、耳をなでながらささやきました。

「何も心配いらないのよ」

わたしの心臓はドクンドクンと高鳴っています。そして、彼女の顔を見上げたその瞬間、わたしはすべてがわかってしまったのです。
あなたの気持ちひとつひとつが、手にとるようにわかっていたのと同じように。これから果たさなければならない役目のせいで、彼女の心が深く重く沈んでいるのだということを。
すると同時にわたしは安らぎを感じました。

彼女は頬に一粒の涙を流し、わたしの前脚をやわらかく持ち上げて、ていねいに止血帯をまいています。
わたしは、昔、あなたの手を舐めてなぐさめたように、彼女の手を、そっと舐めました。彼女はゆっくりと静かに息を吸い込むと、わたしの目をみずに、注射針をわたしの前脚に刺しました。

チクリとした痛みとともに、ひんやりとしたものが入ってくるのがわかりました。急に強烈な眠気が襲ってきます。冷たいテーブルに頭をつけ、横になって彼女を見ると、今度はわたしの目を見ています。今度は頬の涙は一粒ではありません。わたしは、そのやさしい目をのぞき込んで、こうつぶやきました。

「どうして?」

「ほんとうにごめんなさいね」彼女には、犬のことばがわかっていたのでしょう。横たわったわたしの顔に頬をすり寄せ、包み込むように両手で抱いてくれました。あたたかい。そして、ゆっくりゆっくり、ことばを続けます。「わたしの役目は、あなたをもっといいところへ送ってあげることなの。そこではね、ほったらかしにはされないの。いじめられたりしないし、捨てられたりもしない。あなたやわたしがいるこの世界よりずっと、愛と平和に満ちたところなの」彼女の声が遠くでここちよく響いています。

声が出なくなったわたしは、最後の力を出してしっぽを一度パサリと振りました。こう伝えたくて。

「どうして?」は彼女に言ったわけではないのだと。それは、あなた。

愛するわたしのご主人への問いかけなのです。わたしはあなたを想っていました。いつどんなときでも。これからもあなたを想いつづけることでしょう。そして、永遠にあなたを待ちつづけます。

ずっと、ずっと、ずっと。

あなたが人生で出会うすべての人が、わたしと同じくらいあなたに誠実でありますように。あなたが 「どうして?」 と誰にも訊かなくていいことを願って。