夢の羅列<紙の名前>
つづき。
敷居と廊下の床との段差にゴミが溜まっている。
旅館業を営んでいるのに、なんだか汚いな、と私は思ったが、
そこは夢の中のこと、怒るような気にもならず、それよりも、
なぜか、ゴミの内容に目がいった。
「なんだ、これは」
ゴミというよりも紙屑といったほうがいいだろう。
白い紙を小さく千切った切れ端に、ひとつずつ印が押してあるのだ。
印はどれも三文判のようで、ざっと見たところ4,5十枚はあるだろうか。
みな違う名前が押してあるようだった。
それが敷居のあたりにゴミのように散らかしてあるのだ。
何のために。
それが素直な疑問であった。
呪いか。
それとも詐欺か何かの準備品か、もしくはすでに使われたものだろうか。
私は薄暗い夢の中の廊下にしゃがんだまま、
目の前に散った紙片の意味に思考を絞ろうと集中した。
その時、背後で微かな物音と人の気配がした。
つづく。
つづき。
敷居と廊下の床との段差にゴミが溜まっている。
旅館業を営んでいるのに、なんだか汚いな、と私は思ったが、
そこは夢の中のこと、怒るような気にもならず、それよりも、
なぜか、ゴミの内容に目がいった。
「なんだ、これは」
ゴミというよりも紙屑といったほうがいいだろう。
白い紙を小さく千切った切れ端に、ひとつずつ印が押してあるのだ。
印はどれも三文判のようで、ざっと見たところ4,5十枚はあるだろうか。
みな違う名前が押してあるようだった。
それが敷居のあたりにゴミのように散らかしてあるのだ。
何のために。
それが素直な疑問であった。
呪いか。
それとも詐欺か何かの準備品か、もしくはすでに使われたものだろうか。
私は薄暗い夢の中の廊下にしゃがんだまま、
目の前に散った紙片の意味に思考を絞ろうと集中した。
その時、背後で微かな物音と人の気配がした。
つづく。