夢の羅列<毬と暴力>
つづき。
私と老婆は薄暗い廊下で対峙している。
私は、私が発した言葉の月並みさに自分自身でがっくりとしている。
しかし、老婆に対してはまだ虚勢を張っている。
120cmの老婆は、私の質問に答えようとせず「フフフ」と嗤っている。
老婆が現れた時にはまったく余裕を感じていた私であったが、
一瞬で劣勢に立たされた。それもこれも、
私の普段の修練の足りなさゆえであり、たとえ夢の中であっても、
浅い底を露呈させてしまうのだった。
しかし、もうどうにもならないなら、
あの老婆を正面から蹴飛ばしてやればいいのではないか。
そして口笛でも吹きながら階下へ降りればいいのではないか。
世の中とは案外そんなものである。
その時代においての、その社会に限っての小賢しい理屈や常識など、
より大きな力によって、それがほんの気まぐれであったとしても、
簡単に吹き飛んでしまうのだ。
いや違うな。
今、理屈や常識に囚われているのは私の方だ。
目の前で忌まわしく嗤う老婆は小さな理屈や常識では登場をしなかった。
反対に私は勝ったの負けたの蹴飛ばすのと、どうにも理屈っぽい。
……いや、やはり違うな。
やっぱりここは爆発的に蹴飛ばしてあの存在を消滅してやるべきだ。
私こそ理屈に囚われている、などと考えている時点でもう普通っぽいな。
理屈を抜きにするなら、考える前に足が出ているはずだ。
あの小さな老婆をなんの躊躇もなく、
まるで毬のごとくに蹴飛ばして、首が飛ぼうが死のうが生きようが、
あとはヘラヘラ笑っているはずだ。
いや、それではただの基地外か。
というより、おしっこしたい。トイレを探していたのだった。
その時、後ろから不吉な風のように私の横をすり抜けたのは……、
つづく。
つづき。
私と老婆は薄暗い廊下で対峙している。
私は、私が発した言葉の月並みさに自分自身でがっくりとしている。
しかし、老婆に対してはまだ虚勢を張っている。
120cmの老婆は、私の質問に答えようとせず「フフフ」と嗤っている。
老婆が現れた時にはまったく余裕を感じていた私であったが、
一瞬で劣勢に立たされた。それもこれも、
私の普段の修練の足りなさゆえであり、たとえ夢の中であっても、
浅い底を露呈させてしまうのだった。
しかし、もうどうにもならないなら、
あの老婆を正面から蹴飛ばしてやればいいのではないか。
そして口笛でも吹きながら階下へ降りればいいのではないか。
世の中とは案外そんなものである。
その時代においての、その社会に限っての小賢しい理屈や常識など、
より大きな力によって、それがほんの気まぐれであったとしても、
簡単に吹き飛んでしまうのだ。
いや違うな。
今、理屈や常識に囚われているのは私の方だ。
目の前で忌まわしく嗤う老婆は小さな理屈や常識では登場をしなかった。
反対に私は勝ったの負けたの蹴飛ばすのと、どうにも理屈っぽい。
……いや、やはり違うな。
やっぱりここは爆発的に蹴飛ばしてあの存在を消滅してやるべきだ。
私こそ理屈に囚われている、などと考えている時点でもう普通っぽいな。
理屈を抜きにするなら、考える前に足が出ているはずだ。
あの小さな老婆をなんの躊躇もなく、
まるで毬のごとくに蹴飛ばして、首が飛ぼうが死のうが生きようが、
あとはヘラヘラ笑っているはずだ。
いや、それではただの基地外か。
というより、おしっこしたい。トイレを探していたのだった。
その時、後ろから不吉な風のように私の横をすり抜けたのは……、
つづく。