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夢の羅列<オーケストラ・チューブ-p3・カーテン> 20170930
つづき。
荒れた廊下を歩いていくと男が座っていて、私はHondaと記帳した。
上の欄には「ナザレ」と記帳されていた。
おいおい。まさかナザレのイエスじゃないだろうな。
あらためて受付の男を見ると、頭の良さそうな浅黒いセム系の顔立ちである。
紛争が絶えない地域の某かのグループのトウキョウ派出所か何かが
ここにあったとしても不思議ではない雰囲気である。
だいたいここまで歩いてきた廊下の荒れ具合を見て、おかしいな、と私も少しは感じていたのだ。
「ドウゾ」
メガネの受付が無表情にその背後の黒いカーテンを指して言った。
??。カーテンの向こうに何かがあるということだろう。
建物の入り口からしてそうであったように、どこか文化祭的なノリが拭いきれない。
記帳の欄から推測すると、おそらくカーテンの裏に何人かがいるのだろう。
つまり「ナザレ」もいるのだろう。
ナザレがいるなら、ちょっと覗いてみるか。
私はそんな根拠のない安心感を味方にしてカーテンを開けた、
というより、様子を見るために端を少しずらして中の暗闇を覗いた。すると、
ぐんっと背中を強く押されて、私はカーテンの中に入ってしまった。
中は空気が冷えていた。
これは劇場か。
私が今ポンと押し出されるように入場した場所は一番高く、
そこから客席が扇形に配置されているのが暗い中に見渡せ、
席と席の間のスロープを下った先に一段高く舞台がライトに明るく浮かび上がってよく見えた。
舞台の上では複数組の男女がそれぞれの布団の上で絡み合っていた。
つづく。