[写真はオマケ]
[起源]
花言葉は中世に現在のトルコを中心とした帝国オスマントルコが事の始まりの様だ。
(オスマントルコ=オスマン帝国:第一次大戦後ぐらいまで現在のトルコ・ギリシャ・北アフリカ・イエメン・南部東欧などが領土だった)
17世紀ごろのオスマントルコでは花・草・果実や宝石・石や鳥の羽根などに意味を持たせそれらを相手に贈ったり送り返したりすることで思いを伝えた。
主にハレム(ハラム・ハーレム:宮廷内の女性居住地)での遊びとして行われていてselam(セラム)と呼ばれていた。
(セラムはアラビア語で「あいさつ」を意味する「satam」が語源)
それを18世紀に英国のトルコ外交官の婦人メアリー・モントレイー・モンタギューが友人や親族にあてた手紙で紹介した。
(モンタギュー夫人は1年間オスマントルコに在住した)
この手紙は後に書籍化され『トルコ書簡集』(Letters from Turkey)として出版された。
その他に18世紀にスウェーデンでは国王の宴の場でオスマントルコの花に象徴・意味を持たせた「花言葉」がラ・モトライエによって紹介された。
(モトライエはオスマントルコに4年間在住した。)
19世紀に入るとフランスのパリでマダム・シャルロット・ド・ラ・ツールが「花ことば」を出版すると花言葉が流行した。
(ラ・ツールが花ことばをどうやって知ったのか経緯は不明)
パリで流行した最大の理由は上流階級や貴族間で横行していた不倫・不貞のやり取りのため。
現代日本で語られている花言葉は中世の中近東から19世紀までにヨーロッパで作られたものが元になっている。
また新しく世界に広まった品種の花言葉は日本で作られたものも多い。
現在では日本の花卉(かき)業界が新しい品種に対して花言葉を作っているようだ。
[色に対する意味]
<これから紹介する色に対する印象は主にヨーロッパや中近東でのもの>
赤:愛・情熱・受難・恥辱・羞恥
黄:不信・その他の好ましくない性質
緑:希望
青:高揚した霊的特質
紫:権力・王位
白:純粋さ・無邪気さ・一途さ
黒:死・悲しみ・哀悼
黄色が象徴するものとして「好ましくない性質」が当てられている理由として諸説ある。
1)昔フランスでは裏切り者の家の戸口を黄色に塗った。
2)中世の画家が裏切り者のユダの着物を黄色にした。
3)幾つかの国ではユダヤ人はキリストを裏切った民族として黄色い服を着る法律を作った。
西洋の芸人は黄色を用いないと言われている。
ただし、現在の米国では赤の次に好まれる色は黄色だという統計が出ている。
紫色が象徴するのは「高貴なもの」
これは古代地中海で採れるムラサキガイを原料にした染料で、あらゆる染料の中で最も高価だったことが由来。
ただギリシャ神話では紫色のヒヤシンスが悲哀のシンボルになっている。
そのためマツムシソウには「悲しめる花嫁」や紫のオダマキには「失恋」や「捨てられた恋人」と言ったマイナスイメージのシンボルを持つ。
(紫色は中国文化の影響を強く意識した聖徳太子が制定した「冠位十二階」でも上級の色とされている)
青色が象徴するのは「空の色」
純粋や希望も表し着物の色では「神々しい黙想」「信仰」「誠実な心」を象徴している。
白・緑・赤が象徴するものは一般的な色彩に対する象徴と同じ。
[現代黄色に対する印象]
ヨーロッパや中近東・地中海沿岸・北アフリカ以外の黄色に対する花言葉はプラスイメージのものが多い。
南アフリカや南北アメリカを原産とする花の花言葉がそれに当たる。
ヒマワリやマリーゴールドといった花はアステカ文明では神に関わる花。
そういったものにマイナスイメージなものがあるわけがない。
さらに日本で黄色に抱く印象は多くの場合「明るい」や「幸福」
近代の品種の花言葉が日本で作られていることもありプラスイメージのシンボルや花言葉が多くなっている。
[考察]
起源や経緯を知ったことで個人的に花言葉や誕生花について思っていた疑問が解けた。
その疑問は、
a)マイナスイメージの花言葉があるのは何故か。
b)花言葉が作られたのは主にヨーロッパと聞いていたがギリシャ・ローマ神話の影響があるのは何故か。
c)誕生花なのに草・樹木・実も取り入れられているのは何故か。
<マイナスイメージの花言葉>
オスマントルコやフランスのパリで作られた花言葉は相手に思いを伝えるためだがその思いの中にはマイナスイメージのものも必要だった。
そのため相手を断ったり特定の誰かを卑下する必要があったためと思われる。
また19世紀のパリで花言葉が広まった時、当時の文化として上流階級や貴族でありながら不倫をしていない人は悲しい人という扱い。
そういった人を表現するための花言葉もあったためようだ。
<ギリシャ・ローマ神話の影響>
オスマントルコで遊びの一つとして作られた花言葉だが領有地の一つには現代ギリシャが含まれている。
歴史を紐解けば現代ギリシャは古代ギリシャ>アレクサンダー大王時代のヘレニズム文化>ローマ帝国>ビザンチン帝国(東ローマ帝国)>オスマン帝国と領有されて現在に至る。
いずれの領有時代でもギリシャ・ローマ神話が余暇を過ごすときの読み物や観劇の一つとして扱われてきたことは想像に難くない。
むしろギリシャ・ローマ神話がイスラム文化(オスマン帝国の主な宗教)と融合しのちにパリに渡ってキリスト教の教えと融合し今日に至るのは自然な流れと言える。
<誕生花なのに>
オスマン帝国のselam(せらむ)では花だけでなく草・樹木・実の他に宝石や石・鳥の羽根なども意味を持たせて使われていた。
その流れが残ったため誕生花というくくりの中に草・・樹木・実が含まれて現在に至ったと考えられる。
また現在、誕生花の他に誕生石や誕生鳥などが存在するのも同じくオスマン帝国のselamが由来と思われる。
[AIグッチーの誕生花]
以前にも紹介したように現在、日本の文化には誕生花・誕生石・誕生鳥の他に誕生樹や誕生果が存在する。
明らかに樹木・果実・草で花でないものについては誕生花とするには抵抗がある。
既に存在している誕生花は歴史と先人に敬意を表して「誕生華」として扱い純粋に花が咲くものを「誕生花」として扱うのが自然と思っている
いつの日かAIgucchy(AIグッチー)なりの誕生花を作りたいと考えている。
誕生花についてまわる花言葉についてはマイナスイメージのものを受け入れつつ意味や由来(伝承)を紹介するのが良いのではないかと思っている。
[追伸]
ちなみに今日、11月24日の誕生花にはピラカンサ・ガマズミ・サガギク・カトレアオラー・アキザキクロッカス・サフラン・ストック・セントポーリア・トロリウス・ネリネ・ペペロミア・モミジ・アオイ・ヤツデがある。
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