古い倉庫の奥にある部屋の中で、竜次は気を失ったまま、縄と鎖で柱につながれていた。好美達は、縄と鎖を急いで解いた。
「竜次君っ…!」
文人が何度も竜次の頬を叩くと、竜次は目を覚ました。
「…文人…」
竜次は、司に何度も金属バットで殴打され、肋骨にヒビが入っているらしく、かなり痛そうにわき腹を抑えていた。文人と忍が両方から竜次を支えて外に出ようとした時、司とその仲間達が待機していた。
「…文人君、竜次を安全な場所に連れて、早くここから逃げなさいっ…!」
「でもっ…!」
「ここは、俺達に任せて、早くっ…!」
「忍君っ…!」
「眼鏡チビ、竜次を俺のせいで巻き込んで、すまなかった…。お前らだけでも、無事に逃げてくれっ…!」
「…洋次君っ…!」
好美と忍、そして洋次は、文人と竜次に逃げるよう促した。だが、竜次は、文人の手を払いのけた。
「…竜次くっ…」
「このまま、あいつらにやられっぱなしで、逃げられるかよっ…」
司の卑怯さと、一晩監禁されたせいか、竜次の怒りが倍増していた。
「…わかった。ムリすんじゃないよ…」
この時既に、好美達は約数百人に取り囲まれてしまっていた。
「お前ら、やれっ…」
司のひと言で、連中は一斉に好美達に襲いかかってきた…。